袴田事件に関する総長談話
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- 鈴木宗男君
今日も袴田問題を私は取り上げさせていただきます。
前回、大臣、質問において、法と証拠に基づいて袴田さんは無罪になったという答弁をされました。確認でありますけれども、袴田さんは法と証拠に基づいて無罪になったという認識でよろしいですね。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
そのとおりでございます。 - 鈴木宗男君
そこで、大臣、抗告しませんでした、検察は。ならば、法と証拠に基づいて抗告しなかったという理解でよろしいんですね。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
検察におきましても、当然のことながら、法と証拠に基づいてそうした様々な活動を行っております。そうした検察の判断は、当然のことながら、法と証拠に基づいたものであると考えております。 - 鈴木宗男君
確認しますけれども、簡単に言うと、分かりやすく言うと、立証の、いわゆる有罪のですよ、有罪の立証ができないゆえに抗告しなかったという受け止めでいいですね。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
まさにその経緯ということについては、検事総長談話というところで、様々ここに書いているところであります。
私、法務大臣としてという立場でありますから、そこは検察がそうしたことで言っているということで申し上げますけれども、そこは、そうした検察の様々な判断の中で抗告をしないという判断に至った、それはまさにそのとおりだと思います。 - 鈴木宗男君
法務大臣、検察は法務大臣の指揮下にありますね。これ、委員の皆さん方、私が何回も聞いている、当たり前のことですよ。それを検察の判断って、何でそれ独立したような言い方に、大臣、なるんです。あなたの指揮下にあるんですよ。それを何でよそ者の扱いするんです。そこ、はっきりしてください。法務省の判断でしょう。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
この場でもこれまでも御答弁申し上げておりますけれども、鈴木先生おっしゃるように、当然のことながら、検察庁、これは法務大臣の下にある組織であります。
ただ、その一方で、検察庁法の第十四条にもございますけれども、まさにこの検察官の事務に関し、検察官一般に指揮監督することができる、法務大臣はですね。それから、その一方で、個々の事件の取調べ又は処分については、検事総長のみを指揮することができるとなっております。
まさにこれは、その趣旨としてということで申し上げれば、個別事件に対するそうした指揮監督、そこに対するまさに抑制的なところであるべきだと、私はそう考えておりますので、そうしたことで今様々な御答弁申し上げております。
そのことで申し上げると、この控訴するかどうか、そうしたところの判断について、法務大臣として、そこについての様々な見解、これを述べるということについては、やはりそこで一歩踏み出すことになってしまいますので、私はそうあるべきではないと考えておりますので、今申し上げたようなことで申し上げております。 - 鈴木宗男君
これ、委員の先生方、現在進行中の事件じゃないんですね。結論の出た、大臣、事件ですよ。個々の件に対して大臣としてのコメントは差し控えたいとよく言われるけれども、大臣、頭しっかりしてくださいよ。今行われている事件じゃない、委員の先生方もよく分かっているとおり。終わっていることに対して、なぜそれを真摯に受け止めないんです。検事総長談話にしたって、大臣がチェックしているでしょう、組織の長として。していないとしたら、とんでもない大ばか者だと言いたいですよ。
大臣、検察庁の、じゃ、種類、何種類ありますか、答えてください。検察官の種類、検察庁に。大臣、認証官、じゃ、何人います、法務省に。こんなの大臣にとっては当たり前の話ですから。いやいや、大臣に聞いている。局長の出る幕じゃない、そんなのは。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
認証官は十人でございます。 - 鈴木宗男君
これ、皆さん、認証官は、大臣、副大臣、そして検事総長、次長検事、高検長ですよ。こんなのはもう当たり前の真ん中の話です。
大臣、検事正の権限はどういう権限ですか。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
各地方検察庁のトップ、責任者と承知しております。 - 鈴木宗男君
検事正は各地域のそこを掌握する、所管するトップですよね。
大臣は前の委員会でも、皆さん方も聞いていたとおり、袴田さんのところに謝りに行きましたと言いましたね。検事正と高検長では、認証官であるかないかだけでも大変な差がありますよ。同時に、検事総長も認証官ですよ。その認証官は談話で何と言っているかというと、大臣、おわびもなければ申し訳もない。これが皆さん方知っているとおりの検事総長の談話じゃないですか。言い訳だけしている。そこに反省があるかないかということを私は問うているんですよ。
そこで、森本さん、あなた、手を挙げて発言したがっているから、あなたのところに資料行っていると思うけれども、「検察の理念」の最後から九行目からちょっと読んでみてください。 - 政府参考人(森本宏君)
「同時に、」からでよろしゅうございますか。
「同時に、権限行使の在り方が、独善に陥ることなく、真に国民の利益にかなうものとなっているかを常に内省しつつ行動する、謙虚な姿勢を保つべきである。」と、委員御指摘の二行のところには記載されております。 - 鈴木宗男君
大臣、「謙虚な姿勢を保つべきである。」と、こうなっていますね、「検察の理念」。何で「検察の理念」出したかというのは、村木事件で検察が行き過ぎた捜査、間違った捜査、見込み捜査をした結果として社会問題となって、この理念を出さざるを得なくなったわけですよ。
じゃ、大臣、この「検察の理念」に沿った袴田事件に対する検事総長の談話かどうか、大臣の認識をお知らせください。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
検察の活動、これは当然のことながら、国民の信任に私はよるものだと考えております。まさに、そうした信頼は極めて大事だと思っております。
そうした中で、この「検察の理念」、まさに謙虚にという話、これは当然のことだと私も考えております。そして、これは当然のことながら、その一般的な指揮権という中で、私も、それは現場現場、そういった対応であるべきだと考えておりますし、さらに、そういったことを促しているところでもあります。
しかしその一方で、この袴田事件についてということで、この検事総長談話、これはまさに個別の事件に関係する談話であります。終わった事件ということで今委員の方でおっしゃられましたけれども、やはりこれから、例えばそれは様々、国賠の関係もありましょうし、あるいはその可能性があると思いますし、あるいは、同時に、今後ほかの類似の事件に対する影響というものも、これは考えられると思います。そういったことの中で、ここについては私の方から……(発言する者あり) - 委員長(若松謙維君)
簡潔に答弁願います。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
はい。
私の方から、そこの点で、この検事総長談話についての評価ということを私の方からするということは控えさせていただきたいと思っております。 - 鈴木宗男君
国賠の話なんか全く私はしていない。大臣、あなた勉強しているかもしれぬけど、勘違いしないでくださいよ。私は国賠なんか聞いていない。委員の先生方も聞いてくださいよ。何でそんな的外れな答弁するんだ、時間稼ぎのために。私はストレートに聞いているんだ、検事総長の談話を。それに答えればいいんですよ。
大臣、この検事総長、畝本検事総長の談話は、「検察の理念」からしても、さっき森本局長が読んだ理念からしても合っているかどうか、もう一回端的に答えてください。 - 委員長(若松謙維君)
端的にお願いします。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
この検事総長談話につきましての、私としての、この中身についての評価ということについては差し控えをさせていただきたいと思います。
理由は先ほど申し上げたとおりであります。 - 鈴木宗男君
大臣、あなたの指揮下にあって、あなたが責任者なんですよ。何で差し控えるんです。これ、委員の先生方、おかしいと思いませんか。私の言うのが筋違いですか。談話出して、今もこれホームページに載っている、法務省の。公のものに載っているんですよ。何でそれを、公のものを差し控えると大臣言えるんです。答えるのが義務でしょう。
委員長、しっかり言ってください、それは。公に載っているんですから。 - 委員長(若松謙維君)
法務大臣、質疑者が納得するような答弁をお願いします。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
この点については大変申し訳ないと思いますが、やはりこの個別の事件に対する検事総長談話について、私が、それを出すべきだ、出すべきではない、あるいはどうするべきだ、そういったことを言うことについては、やはりこれは個別的、個別の事件への指揮権ということにやはりこれはつながってしまうことだと思います。
私は、それ、私の判断の中で、このことについて私としての評価、どうだということについては申し上げることは差し控えたいと申し上げているところであります。 - 鈴木宗男君
じゃ、大臣、ストレートに答えてください。
大臣は、この検事総長談話は当然である、内容も瑕疵はない、そういう認識でいるということですね、今の答弁からすれば。談話は正当なものである、瑕疵もない、法務省の組織の一部の責任者としてのこれは公式の見解、話であると受け止めたということでいいんですね。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
こうした個別の事件に係る談話について、私が、間違っているから訂正するべきだと言うとか、あるいは正しいからそのとおりだと言うとか、そういったことについては、やはりこれは個別の事件の関係になりますので、私の立場としては、そこは大変申し訳ありませんが、答弁は差し控えさせていただきたいと申し上げているところであります。 - 鈴木宗男君
大臣、じゃ、個々の事件で検事総長が談話を出した例は何件あります。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
過去の例ということで申し上げれば、例えばでありますが、造船疑獄事件に関する佐藤藤佐検事総長の談話、これは昭和二十九年でありますけれども、あるいは捜査対象者であった代議士が自殺をしたことに関する土肥孝治検事総長の談話、これは平成十年であります。さらには、当時の福岡地検の次席検事が国家公務員法の守秘義務違反などの疑いで告発されるなどした事案に関する北島敬介検事総長の談話、これは平成十三年でありますが、そうした談話を私としては承知をしております。 - 鈴木宗男君
まさに、造船疑獄だとか売春防止法なんかのときの検事総長が談話を出していることは事実なんです。それ以外はないんですよ。そのぐらい、昭和三十二年が最後だったと思いますけど、三十年かな、最終的には。まあ、どうでもいいです、その年数は。ただ、過去にあるのはその二件ぐらいしかないんですよ、現実には。ですから、もうあれから六十年ぐらいか、もう出ていないのは、こうした事件で、冤罪事件で。当時の、今大臣の言った例というのは冤罪事件じゃないですからね。私が言っているのは冤罪事件の話ですから。それも一緒にしないでください、大臣。
冤罪事件で、じゃ、検事総長が談話を出したことがあるかどうか、それ、きちっと答えてください。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
そのそうした検事総長のコメントということについては、私も……(発言する者あり)それについては承知しておりませんが、例えば免田事件の再審無罪判決を受けて当時の検事総長がコメントを発表したことはあると承知をしております。 - 鈴木宗男君
私の知る限りも、恐らく法務省で調べても、談話は袴田さんの件だけなんですよ、コメントはあったとしても。それは間違いないでしょう。だから、私は、この談話は重い。しかも、この談話はまさに法と証拠に基づいて出した結論であります。時間掛かったことも検察に責任があることは事実なんですから。それについてこういった思い上がったような談話を出していること自体が、私は、「検察の理念」からも懸け離れているし、国民からも理解の得られるものじゃないと思うんです。
法務大臣、あなたが法務省のトップであるならば、逆に、検察の信頼を得るためにも、名誉回復のためにも、きちっと行き過ぎた表現等は直すとか指導するのが当然じゃないかということを聞いているんですよ。
大臣、「控訴の要否」という、この談話の中にあります。これ、「控訴の要否」とは、大臣、どういうふうに受け止めます。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
この「控訴の要否」、これは資料で今お配りをいただいておりますので、中身についてということではないと思いますが、まさにこうしたこの談話について申し上げれば、そうした控訴をしないというその判断をするに当たってのそうした談話と承知をしておりますので、まさにそうした意味において検察の方でこうした談話を発表をした、私としてコメントできるのは以上であります。 - 鈴木宗男君
大臣、大臣は、法と証拠に基づいて無罪が確定された、ゆえに控訴を検察としてはしなかったと答えているんですよ。その大臣の答えとこの「控訴の要否」、合致していますか。
これ何も、大臣、昨日今日の話じゃない。去年の十月に出ている話ですから。しかも、私は一貫して、あなたが大臣になってからもこの袴田事件を言っているわけですから、頭に入っていると思う。
この「控訴の要否」と、無罪判決が確定した、表現が矛盾していませんか。大臣の受け止め、どうです。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
私としては、この談話という中で、まさにそこの「控訴の要否」というところで、熟慮を重ねた結果、本判決につき検察が控訴し、その状況が継続することは相当ではないとの判断に至りましたと書いてあります。私は、その判断も法と証拠に基づいたものと私としては承知をしております。 - 鈴木宗男君
これ、委員の先生方もよく読んでください。
控訴して上級審の判断を仰ぐべき内容であると思われます。しかしながら、再審請求審における司法判断がまちまちになったことなどにより、袴田さんが結果として相当な長期間にわたり法的地位が不安定な状況に置かれてきたことにも思いを致し、熟慮を重ねた結果、本判決につき検察が控訴し、その状況が継続することは相当ではないとの判断に至りました。
大臣、大臣は、この委員会でも前回でもその前でも、静岡の検事正がおわびに行ったと言っていますよ。検事正がおわびに行っている中身と、じゃ、この「控訴の要否」、全てが一致しているかといったら、一致していませんよ。
同時に、これも委員の先生方、検事総長の談話は載っています。静岡の山田検事正が行っておわびしているのは、法務省の欄には、ホームページにも何にも載せていませんよ。ここら、先生方もしっかり現実見てください。本当に法務省が申し訳なかったと言うならば、検事総長の談話を出しているならば、何で静岡の山田検事正のおわびの話も出さないんですか。
そして、皆様方の下にも、どういうおわびをしたかは、渡辺理事のところにしろ、どの理事のところにも説明ないと思いますよ。そうですね。今、渡辺理事、うなずいているから間違いないと思いますけれども、これが現実なんですよ。
もっと謙虚に、私は正直に対応すべきだと思いますよ、大臣。大臣も、なったばっかりだから、まだ検察の言われたとおり言っていると思うけど、これは続きますから、私はとことんこの件やっていきますから。
大臣、もう少し人間的であってくださいよ。袴田さんがどんな思いで四十八年間拘束されてきたかという。もし大臣に良心があるならば、もっと人間的な答弁があってしかるべきじゃないですか、大臣。私は何も、私の名誉や私が何かパフォーマンスでアピールするために言っているんじゃないんですよ。袴田さんの人生を考えたならば、政治家として申し訳ないと思っているんですよ。人の一生を台なしにしてしまったんですから。
同時に、私は、刑事被告人のときから国会に返り咲いて、超党派の議員連盟をつくって袴田支援に動いてきたんですよ。それなりに私は袴田事件も勉強してきたし、取り組んできたんです。だから言うんですよ。少なくとも、大臣よりもこっちの方が袴田さんとの件については関わっているんですよ。
だから、私は、正直に、大臣として、検察という崇高な組織を守る上でも、あるいは国民の信頼を得る上でも、法務大臣としてのもっと人間的な対応があってしかるべきでないかと言っているんですよ。大臣…… - 委員長(若松謙維君)
時間になりましたので、質疑をおまとめください。 - 鈴木宗男君
十三分までですね、はい。今が十三分です。
そこで、大臣、大臣から検事総長に、大臣は答えられないですから、検事総長に、おまえが国会に出て、おまえが談話を出したその真意をちゃんと答えろ、こういうふうに督励をいただきたいと思いますけれども、大臣であればできるわけですから、いかがですか。 - 委員長(若松謙維君)
時間が過ぎておりますので、端的に答弁願います。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
今御指摘の件でありますけれども、当然、それは理事会の協議事項ということで立法府にてお決めいただくことでありますが、法務省といたしまして、我々のスタンスということで申し上げれば、従来から、やはり司法権と密接不可分の関係にある検察の独立性、あるいは公正性の保持の観点から、検察官を国会に出頭させないことについて、従前、国会の御理解をいただいているところと承知をしております。
今後とも、検察に関する国会への説明、これは個別のところ、我々もそこは申し上げる立場にはないわけでありますけれども、しかしながら、我々として、検察として表明をしていることについては責任を持ってお伝えをしていくということで御理解をいただきたいと思います。 - 委員長(若松謙維君)
時間過ぎております。よろしくお願いいたします。 - 鈴木宗男君
委員長、先ほど来私が質問しているこの検事総長の談話について、大臣は答えていません。正しいかや、よしとしているか、これでいいんだとか。私はこれは正しくないと思っているから指摘をしているので、その点、大臣、しっかり答えてください。これ、大臣として、これでいいんだと思っているのかどうかということ。