令和6年5月9日 参議院法務委員会 鈴木宗男議員による質問

検察が被疑者の勤める会社に対しわび状の提出を要求した事件

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  • 鈴木宗男君
     そこで、大臣、私は前々回の委員会で質問して、途中、中途半端になっております。
     二十五日の委員会で大臣は、「検察の理念」の趣旨徹底、励行、これには全力を尽くしたいと思いますと、この「検察の理念」をしっかりと検察庁が理解をし実行されていくこと、そのことに私は責任を果たしたいと思いますと、こう述べられました。
     そこで、大臣、検察特捜部が会社の上司に、いわゆる被疑者の上司ですね、に意見書の撤回だとかわび状を出せということが最終陳述で明らかになりました。それはさきの委員会でも刑事局長が認められましたから。ならば、「検察の理念」からして、わび状を出せだとか意見書を撤回せよというのは、私は理念には合っていないと思うんですけれども、大臣いかがお考えです。
  • 国務大臣(小泉龍司君)
     前々回から御質疑をいただいているこの件でありますが、当初から個別の事案を念頭に置かれて、そして議論を進めていただいておられますので、個別事案に関して検察がどうであったということを申し上げることは私の立場ではできないのでありますが、ここから先はあくまで、あくまで一般論として申し上げますが、仮に、一般的にそういう行動があったとすれば、検察に、これは「検察の理念」に期することとは全く違っておりまして、そういうことはあってはならないと、このように思います。
  • 鈴木宗男君
     これ大臣、紛れもなく最終陳述は、これ重いものでありますね。その場で明らかになったということも重いことです。
     私は、法務大臣として、そういう最終陳述があった、これは調査に値すると思うんですけれども、個別案件、私は何も言っていません、中身のことも触れているんじゃないんですから。そういうことがあったかどうかだけは法務大臣として調査すべきじゃないでしょうか。いかがです。
  • 国務大臣(小泉龍司君)
     これは、それはまさに、調査しようとすれば、個別の案件はどれだと、いついつどの案件だということが特定できなければ調査ができないわけでありまして、その特定した調査を法務大臣が検察に指示するということはもう個別指揮権の入口に入ってしまう、それは前回も御説明したとおりです。
  • 鈴木宗男君
     大臣、大臣は前回もそう言っているんですが、私は、「検察の理念」からしてあってはならぬことだということは、今大臣、答弁されているんですよ。
     大臣、責任者として、法務省の最高責任者として、こういう話があるけれども、実際その意見書の撤回とかわび状を出せと言ったことは事実としてあるのかないのかは、私は、今後ともこれは続きますから、次善の策としてでも調査するのは当たり前のことじゃないですか。その個別案件、中身云々私は言っているんじゃないんですから、大臣、時間の無駄は避けてください。だから、的確に答えてください。
  • 国務大臣(小泉龍司君)
     これ、やはり個別の案件に触れることは、法務大臣としては検察に尋ねることは控えたいと私は思います。
  • 鈴木宗男君
     ならば、大臣、もしそれが事実であったとするならば、大臣は何がしかの責任取られますね。大臣は最高責任者ですから、それだけはこの委員会ではっきりしておいてください。
  • 国務大臣(小泉龍司君)
     私は、検察に対して一般的指揮権を行使をする立場であります。したがって、折に触れて「検察の理念」については、検察庁にこのとおりやってもらいたいと、これを是非守ってもらいたいということを督励しているわけでありまして、その責任を果たしているというふうに思っております。
  • 鈴木宗男君
     いや、大臣、督励している、理念を守ると言っていると大臣は言うけれども、その部下がやっていないときは大臣の督励に聞かないわけですし、分かりやすく言えば、大臣が軽く見られていることになるわけですよ。軽く見られている、大臣が。
     だから、責任は取るんですねということを、大臣の姿勢を聞いているんです。勘違いしないでください。大臣として責任取るかどうかを聞いているんですから、端的に答えてください、それは。事実であった場合のことを私は言っているんですから。
  • 国務大臣(小泉龍司君)
     責任を果たしたいと思います、私は。一般的な指揮権の下で検察庁に考え方を改めてもらうという、一般的指揮権の責任を果たしたいと思います。

不適切な取調べの事例と録音・録画の対象拡大の必要

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  • 鈴木宗男君
     このやり取りだけやっているとまた時間過ぎますから、じゃ、更にお尋ねします。
     今、これインターネットでも流れているから、法務省は把握はしていると思います。親ほども違う年上の、しかも大会社の役員さんですね、女性検事が、まあ私は名前は分かっていますけれども、あえて名前は出しませんけれども、こう言っております。中学生でも悪いことをすれば反省する、あなたには反省がない、小学校で宿題をやらなかったでしょうなどと非常に侮辱的な言いぶりをしております。これは公に出ていますから、法務省の事務方も私は確認されていると思います。
     大臣、もし、こういった発言は「検察の理念」に合っているかどうか、お答えください。
  • 国務大臣(小泉龍司君)
     御指摘のような発言の当否はおくとして、あくまで一般論でございますが、あくまで一般論でございますが、他人の人格を非難するような発言をするようなことはあってはならないものであり、「検察の理念」にも反するものだと思います。
  • 鈴木宗男君
     今大臣から明確に「検察の理念」に反するという答えがありました。
     刑事局長、今の大臣の答弁についてどうお考えでしょうか。
  • 政府参考人(松下裕子君)
     お答えいたします。
     今大臣が答弁されたのはあくまでも一般論ということでございますけれども、取調べにおいても、であってもそうでなくても、その他人の人格を非難するような発言をすることは適切でないというのは当然のことでございまして、あってはならないということをおっしゃった。そして、「検察の理念」でも、その権限行使の在り方が、独善に陥ることなく、真に国民の利益にかなうものとなっているかを常に内省しつつ行動する謙虚な姿勢を保つべきであるなどといったことが規定されておりまして、こういったことを旨として検察としては捜査や公判活動に臨むべきということだと思います。
  • 鈴木宗男君
     大臣、刑事局長は刑事局長の立場としての今の判断ですけれども、現実にそういうやり方が検察はしているわけです、密室で。被疑者は録音、録画の制度がありますけれども、参考人にはないんですね。あるいは、在宅の被疑者の聴取等についても録音、録画がないんですよ。だから、一つのシナリオが、あるいはストーリーが作られてしまう可能性もあるし、またそういった例も多々あるんです。
     そういった意味では、私は、やっぱりこの可視化、録音、録画は、参考人だとかあるいは在宅被疑者の取調べなんかでも採用しなければ、この真に公正公平な判断はできないし、冤罪が起きると思っているんですよ。この点、是非とも、私は、小泉大臣のときに新たなもっともっと開かれたやり方が制度としてつくられていいんでないかと、こう思うんですけれども、大臣のお考え、いかがでしょうか。
  • 国務大臣(小泉龍司君)
     これ、現行の刑事訴訟法では、裁判員制度対象事件及びいわゆる検察官独自捜査事件における逮捕又は勾留されている被疑者の取調べの録音、録画を義務付けております。これをどのように拡大していくのか、するべきか否か、また拡大するとすればどういう方法があるのか。こういった点を含めて、法務省においては、平成二十八年成立の刑事訴訟法等一部改正法の附則で求められている検討に資するため、令和四年七月から改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会、これを開催しており、同協議会においては、取調べの録音、録画等に関する制度の在り方についても現在協議が行われております。この議論をしっかりと注視をし、見守りたいと思っております。
  • 鈴木宗男君
     これも、法務大臣、大きなニュースになって、検察側も、一定の判断というか検事総長の話も出ていますけれども、河井事件で、河井克行さんですね、河井事件で不起訴誘導の問題がこれ明らかになりましたね、明らかになりました。そのとき最高検は何と言っているでしょうか。
  • 政府参考人(松下裕子君)
     お答えいたします。
     御指摘の事案につきましては、当時の広島市議会議員に対する公職選挙法違反事件の公判過程において、弁護人から証拠として取調べの状況等を秘密録音したとされるデータが開示されたことをきっかけとして、最高検察庁監察指導部において調査を行っております。
     その監察の結果につきましては、当時の広島市議会議員に対する取調べについて、不起訴処分を約束したり虚偽供述をさせたものではないが、一部の言動について取調べの適正確保の見地からは不適正な点が認められたとして、同種事案の再発防止のために検察官に対する指導、教育の充実強化に努めることなどが示されたものと承知をしております。
     「検察の理念」においても、取調べにおいては、供述の任意性の確保その他必要な配慮をして真実の供述が得られるように努めるとされているところでございまして、検察当局においては、監察結果を踏まえ、今後とも捜査・公判活動の適正確保に努めていくものと承知をしております。
  • 鈴木宗男君
     大臣、これは私は明らかに「検察の理念」に反していると思いますが、いかがですか。
  • 国務大臣(小泉龍司君)
     ええ、反していると思います。
  • 鈴木宗男君
     たまたまテープを持っていったからよかったわけですよ。テープがなければ、これが今刑事局長が言ったような話にはならないんです。だから、先ほど言ったように、私は広げた方がいいというのはそこなんです。同時に、誘導する、自分らの頭づくりのシナリオ、ストーリーを作って事件化していくのが検察側のそれは基本的な姿勢なわけでありますから、ここは大臣、しっかり現実を直視していただきたい。
     そういった意味では、やっぱりこの録音、録画の可視化の拡大というものについて、大臣がこれ号令していけばまた動いていく話でありますから、この点、是非とも、参考人、さらには在宅でのこの被疑者の取調べ等も明らかな形でやっていくということを私は取り組んでいただきたいと思いますけれども、大臣の考えをお示しください。
  • 国務大臣(小泉龍司君)
     まず、刑訴法の在り方協議会が開かれ、そして現在この問題が審議の対象になっているということ、そして「検察の理念」というものがまだ十分にこなし切れていない、体現できていないという様々な御指摘もあるということ、そしてこの河井事件のような大きな反省もあるということ、こういった点を全部踏まえて我々がどうするべきか、この在り方協議会の事務局でありますけれども、しっかり注視をし、充実した方向に進むように検討していきたいと思います。
  • 鈴木宗男君
     是非とも大臣、小泉大臣のときにまた新たな私は取調べ可視化の一ページをつくってほしいなと、こう思っております。
     刑事局長にお尋ねしますけど、先日、柿沢未途さんの一審判決が出ました。あのいわゆる買収事件ですね、区長選挙における。そのとき、金属探知機で、取調べを受ける際ですよ、金属探知機を使われたというんです。
     これは普通、取調べの際、金属探知機というのは使うんでしょうか。
  • 政府参考人(松下裕子君)
     お答えいたします。
     その具体的な事件で、どなたがどのようにおっしゃったかでありますとか、その内容がそのとおりであるかどうかということについては、これまでも繰り返し申し上げておりますとおりお答えはいたしかねますけれども、一般的に、庁舎管理権に基づきまして、庁舎内への危険物の持込みを防止するために必要かつ相当な範囲で所持品の検査、確認を行うことは許されるものと承知をしておりまして、必要がある場合にそういうことは行われていると思います。
     また、録音機器等の持込みということですけれども、これにつきましては、被疑者や参考人による録音機器等の持込みを認めるか認めないかという問題ですけれども、認めた場合に、それらを使用して取調べ状況の録音がなされるということによって被疑者や参考人の取調べの内容が公判廷の外で公にされるなどして関係者の名誉、プライバシーが侵害されるという危険、また、捜査の秘密、取調べの中でいろいろな捜査に関すること、例えば捜査協力者等の事件関係者のプライバシーに関する情報ですとか、まだ捜査機関だけが把握している捜査の進捗状況や証拠関係などがその取調べの中で言及された場合に、そうしたことが公となって罪証隠滅を招いたりするおそれもあるということで、そういうおそれが生じ得るということで、検察官において、刑事訴訟法で、訴訟に関する書類は公判の開廷前にはこれを公にしてはならないというふうに四十七条で定められていることの趣旨などにも鑑みまして、必要に応じて、被疑者や参考人の協力を得て、録音機器の有無などを確認することはあるものと承知をしております。
  • 鈴木宗男君 
    刑事局長、柿沢さんは少なくとも国会議員経験者です。身元もはっきりしていますね。あるいは秘書、あるいは後援者、それぞれ身元、はっきりしているんですね。私は、凶器を持つなんて全然考えられない。
     同時に、私も様々な事件のことを調べて聞いたら、凶悪事件を起こした人が金属探知機で検査を受けているかといったら、そういうことはないんですね。凶悪事件のいわゆる犯人、その関係者がやっぱり事情聴取をされますね、あるいは取調べ受けますね。そのときは金属探知での検査というのはないんですね。
     私は、国会議員経験者なり秘書なり、あるいはその後援者ですよ、事件を起こしていない人たちがなぜゆえに金属探知機を受けるか。前科のあって、犯歴のある人らが金属探知を受けないで取調べを受けている。こういう例があるというのは、これまた、大臣、私は、これ、差別だとか、何を基準にやっているのか、ちょっと疑問に思うんですね。だから、そういったこともあるから、私はしっかりと取調べの可視化は大事だということを強く言ってきているんです。
     私の経験からも、判事と検事が人事交流している、分かりやすく言えば、泥棒と警察官が交流しているようなものですから、これは駄目だと思いまして、私は、私が逮捕された後の国会に戻ってから一貫してやって、これは今、判検交流はなくしたんです。で、この可視化も、私は衆議院時代から、刑事被告人で裁判やっている最中から言ってきて一歩前進したんです。それでも検察は、都合のいい、自分たちに都合のいいものは出すけれども、都合の悪い証拠は出さぬし、録音、録画もそうなんです。
     そういったことを踏まえて、是非とも大臣、しっかりと、この国会、次の国会も私はこの問題は徹底してやっていきますから、前向きに取り組んでいただきたい。いま一度、大臣の決意をお尋ねします。
  • 国務大臣(小泉龍司君)
     先生の問題意識をしっかり理解をしたいと思います。
  • 鈴木宗男君
     終わります。