2026年3月26日、参議院議員会館にて開催された「人質司法サバイバー国会」において、第1回「人質司法報道賞」の授賞式を執り行いました。本賞は、密室で行われる捜査や複雑な刑事手続の壁を打ち破り、人質司法の実態や冤罪の構造を明らかにした優れた報道を称えるために設立されたものです。日本の刑事司法において、起訴前後の長期勾留や自白の強要、弁護人の立会いのない取調べ、接見禁止などの「人質司法」は、えん罪を生み出す大きな要因となっています。 本賞は、こうした「人質司法」の実態を広く社会に伝え、制度改革の必要性を訴える優れた報道活動を顕彰し、公正な刑事司法の実現に寄与することを目的としています。
人質司法報道賞のプレゼンターは、38年間の裁判官生活を経て、現在は刑事事実認定の研究を続けるイノセンス・プロジェクト・ジャパン(IPJ)理事長・石塚章夫弁護士が務めました。受賞者は、NHKの石原大史さんと、毎日新聞の遠藤浩二さんです。
石原 大史 氏(NHK)

【受賞理由】
石NHKスペシャル「“冤罪”の深層」シリーズで、大川原化工機事件の深層に踏み込まれました。NHKスペシャルの高い取材力・調査報道力を存分に示した、完成度のきわめて高い報道シリーズで、その内容は幻冬舎より、『冤罪の深層 追跡・大川原化工機事件』として書籍化されました。大川原化工機事件において冤罪を生み出した警視庁公安部の捜査過程を徹底的に検証し、内部文書の入手とその送付者の特定、関係者への粘り強い取材を通じて、冤罪の構造的問題を多角的に明らかにされました。とりわけ重大な事実を丹念な裏付けのもとで提示し、事件の本質を社会に可視化した点は高く評価されます。刑事司法に対する市民の理解を深め、権力監視という報道の本質的役割を体現した、力のある作品です。
遠藤 浩二 氏(毎日新聞社)

【受賞理由】
毎日新聞の紙面およびウェブ上で、連載ルポ『追跡 公安捜査』など、大川原化工機事件に関する報道に尽力されました。一連の報道は、丹念な調査と粘り強い取材によって大川原化工機事件における冤罪の構図を段階的に解明し、日本の刑事司法が抱える構造的病理を鮮明に浮かび上がらせました。内部資料や関係者証言の掘り起こしにより、これまで知られてこなかった重大な事実を明らかにするとともに、当事者に真摯に寄り添い、その尊厳の回復を重視した姿勢も高く評価できます。日本の冤罪史において極めて貴重な調査報道です。遠藤さんの調査報道は、毎日新聞社が出版した『追跡 公安捜査』にまとめられています。
授賞式では、石塚理事長よりお二方にトロフィーが贈呈され、お二方による受賞スピーチが行われました。人質司法という厚い壁を打ち破るには、不屈の信念を持ったジャーナリズムの力が不可欠です。受賞された石原さん、遠藤さんの取材活動に深く敬意を表します。
そして、今後も人質司法に関する優れた報道が続くことを期待しております!


