【クリス事件】初シンポジウム開催レポート

 2025年7月5日、AP東京八重洲において、クリス事件に関する初めてのシンポジウム「無罪証拠を無視したDNA鑑定によるえん罪 クリス事件」が開催されました。
 当日は、会場とオンラインを併せて120名を超える方々にご参加いただき、クリス事件において有罪認定の根拠とされたDNA鑑定の問題点について、多くの方々と共有することができました。当日は充実した質疑も行うことができました。ご参加下さいました皆さま、どうも有り難うございました。

 シンポジウムでは、主任弁護人である佐藤博史弁護士から、事件概要とDNA鑑定を中心とする争点の解説がなされました。角替清美弁護士からは、袴田事件などを例に、事件によって都合よく主張が変わる検察の姿勢が明らかにされました。
 DNA鑑定の専門家であるサイモン・フォード先生によって、DNA鑑定結果の分析には生の電子データが不可欠であること、また、本件のDNA鑑定結果が、もしアメリカ・カリフォルニア州の裁判所に提出されていたなら、証拠能力が問題となることが指摘されました。徳永光(獨協大学教授)からは、鑑定人のバイアスを想定したガイドラインの策定が必要であり、生電子データの証拠開示が必要であることについて、アメリカの議論が紹介されました。
 その後、弁護士登録ひとつき目でクリス事件の受任をすることになった竹前智貴弁護士、逮捕時からクリスさんを支援されてきた半田孝太さん、学生ボランティアからのスピーチが行われました。半田さんからは、IPJへ申込みをされるまでに大変なご苦労があったこと、クリスさんとの信頼関係、無実の人を有罪にしてはならないという熱意が語られ、会場全体が心打たれました。

 最後に、クリスさんによる日本語と英語のお手紙が代読されました。クリスさんからは支援に対する感謝の意と、保釈が認められず3年半拘置所に収容されていることの辛さ、一審の有罪判決への憤りが述べられました。「どうか、これからも、皆さんのお力をお貸しください。どうか、私の無実とこの事件の真相を広めてください」という言葉で締めくくられていました。

 詳細につきましては、早速、学生ボランティアがレポートを執筆してくれましたので、そちらもぜひお読みいただければと思います。引き続き、ご支援をどうぞ宜しくお願い致します。