人質司法問題についての法務大臣の認識
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- 鈴木宗男君
小泉大臣、意外と気が弱いというか、正直でないですね。私は、あなたを長く知っている者として、あなたは信念持って筋を通してきているんですよ。ポストに就いたらやっぱり守りに入るというのは、余りいいことじゃない。私は、小泉大臣には歴史に名をとどめていただきたい、この司法改革等にね。そういう期待があるから、あえて厳しいことも言っているんです。知らない政治家であれば私はもっと厳しくやってもいいんですけど、どうしても小泉さん見ていると、昔からのことを思い出しますから私もちょっと一歩引いているんですけれども、ここは大臣、正直にやっていただきたいと思います。
最高裁判所の方、急遽済みません、答弁も何も求めない、話だけは聞いてください。
さっき大臣は、古庄さんの質問に対して、人質司法ということはないと述べられました。大臣、これは何を根拠にして、ないと言っていますか。 - 国務大臣(小泉龍司君)
これは、御質問をいただきまして、法務省の中で検討し、検討した結果の文章であります。 - 鈴木宗男君
これも大臣、今、広く社会一般に人質司法という言葉は出ているんですよ、出ているんですよ。同時に、大臣、田中角栄さんは五億円もらって、認めたら二十日で出ていますよ。辻元清美さん、衆議院の予算委員会で、証人喚問で私に対して、あなたは疑惑の総合デパート、総合商社とまで言い切りました。彼女はそのとき、国民の税金約二千万円詐欺している最中ですよ。それでも認めたら二十日で出ているんですよ。私は、やましいことをしていないから否認していると、四百三十七日、戦後最長、置かれましたよ。逆に、私はそれでよかったと思っていますよ。人質司法あるんです、大臣。私の場合、家族接見もなしですよ、認められないんです。
同時に、これ、先生方も分かるとおり、刑訴法では裁判官が本来保釈の判断できるんだけれども、検察官に意見を求めるんですよ。そうですね、福島先生。だから検察官は、否認していれば、ノーと言って出させない。私は、公判が始まった十月にはもう四か月以上たっていますから、百二十日も過ぎているから出れると思ったら駄目でした。年末には出れるかといっても駄目ですよ。年明けて出しても駄目、年度末も駄目でした。じゃ、お盆にはといっても駄目でしたよ。人質司法なんですよ。
こういった実態、大臣、裁判所の関係者も、よく検事の人たちに言ってほしいんですよ。
そして、もう一つ。調書主義で判決出しますね、日本は。最高裁も、これも、どうぞ局長、帰ったら共有してくださいよ。密室で調べたら、調書が取られる、みんな誘導されちゃうんです。これ、委員の先生方も覚えておいてください。鈴木事件と村木事件で初めてQアンドA、いわゆるシナリオが作られているんです。こう聞くからこう答えろと検事が証人に、いわゆる公判に出てくる人らに、これだけは覚えておけと二重丸まで付けて、いいですか、二重丸まで付けてリハーサルやっている、四日前から。事件は作られるんですよ。その作られたシナリオ、そしてまた調書によって裁判官も判断しているんですよ。
しかし、私の事件や村木事件でも裁判官は、ああ、検察は正直で調書は正しいと思っていたけれども、こんなことやっていたのかと言って、木谷明裁判官だとか多くの裁判官が、これは見直しをせぬといかぬ、いわゆる裁判官も頭のつくりを変えなければいかぬという声が出てきていますよ。
大臣、人質司法はないというその大臣の頭づくりは正しくないということを私は指摘したいと思いますけれども、私は事実を述べているし、きちっと裁判所に対するこういった書類もあるんですよ。私の話を聞いて、本当に人質司法はないと思いますか。 - 国務大臣(小泉龍司君)
先生のお話をしかと承りました。 - 鈴木宗男君
どうか大臣、私は検察官にもいろんなタイプがあることは知っています。責任感が旺盛な人は、逆にそれをよしとして強く出る人もいれば、ちょっと待てよと、ここは慎重にという人もいるし、私もいろいろ付き合って、受け止めるものがあるんですよ。今の大臣の答弁を多として、是非とも人質司法はあるんだということを分かってください。
私なんかも調べられて、面会、認めたら家族面会すぐ許可しても、四百三十七日面会ないんですから、異常じゃないですか。そしてまた、これはもう神経戦にもなるんです、長く置くと。だから、中には、もう長く置かれたら、もう検察の言うとおりやった方がいいなんていってサインして、逆に裁判でひっくり返って、足利事件なんかそのいい例ですよ。
どうか大臣、今の大臣の私は答弁を多としながら、しっかり指導してください。何をもって公平か、何をもって正しいか。もう一回大臣の決意を聞きたいと思います。 - 国務大臣(小泉龍司君)
実際に御経験を積んでこられた中からのお話でございますので、伝わってまいります。しかと受け止めさせていただきたいと思います。 - 鈴木宗男君
大臣、今、いわゆる在り方検討会で四年前からいろいろ動き始めて、昨年からもまた別途組織で動いておりますね。やっぱりここは刑訴法の改正、これ小泉大臣のとき、しっかり私はやってほしいと思うんです。
なぜ冤罪が起きるか。是非とも大臣、ここは、ちょっと、ちょっとではなくてスピードアップして前に進めてほしいと、こうお願いしているんですけれども、大臣のお考えをお聞きします。 - 国務大臣(小泉龍司君)
今まさに検討の場が整いまして、そして証拠制度の問題も含めて議論が始まっています。それを我々の方からコントロールすることはできませんけれども、しかし、どういう議論が行われているのか、何が問題となっているのかが、結論が出るのを待つことなく同時並行で、私も含めて理解をしていきたいと思います。 - 鈴木宗男君
大臣、民主主義は手続が一番です。次に中身なんです。検察は、この刑訴法の改正には慎重というか、やる気がないというか、逆に引いているんですよ。今のままでいいという流れなんです。だから、弁護士会も危機感持ってきた、冤罪もいろいろ出てきた。国会議員も、超党派で今やっと議連が立ち上がって動き始めているんですよ。それがまた世論だと思います。
どうか大臣、その世論の背景もあるわけでありますから、大臣がやっぱり改革の気持ちがあるとするならば、私は、やっぱり、国民に向かって、より法務省が信頼される、あるいは法務省が評価される結果を残すことが大事だと思っているんですよ。
是非とも大臣、これをスピードアップする、在り方検討会等もしっかり取り組んでいく。これ大臣の下にあるわけですから、大臣が言うことによって受け止め違ってきますから、いま一度これを大臣に確認したいと思います。 - 国務大臣(小泉龍司君)
世論の動き、また様々な方々の御関心が高まっていること、そういうことをしっかり受け止めながら、法制度の根幹に関わりますので、法務省として本当にこれで大丈夫か、日本の法制度の礎としてこれで大丈夫か、そういう検討はしっかりとしなければいけないと思っております。 - 鈴木宗男君
大臣、袴田さんの事件見ても、再審が決まってからもすぐ公判に入れないんですよ。さきの臨時国会等でもこのことは言いましたけど、やっぱりスピードアップする人道的な見地なんかも私はあってしかるべきだと思うんです。そういったことを考えたら、じっとしているよりは動かした方が、大臣、当然だと思いませんか。
そして、証拠の開示だとかをしないことがまた裁判が延びる原因にもなっているんですよ。私の経験からも、検察は自分たちに都合のいい証拠は全部出すんです、調書でも。鈴木宗男には頼まれていません、鈴木宗男からは何もお願いしていませんと言って、検察に不利というか必要でない調書なんかは、これ出さないんです。そうして時間稼ぎするんですよ。
だから、私は、大臣、言っているんです。単なる自分のメンツだとか立場を考えるんじゃなくて、検察は自信があるならば堂々と全てのものを開示して勝負すればいいんじゃないんですか。特別抗告という仕組みがあるだけでも、これがまた延びるもとになっているんですから。
私はまた時間のあるときじっくりやりますけれども、ここは大臣、せっかく在り方検討会が、協議会が進められている、組織もあるならば、私は、やはりスピードアップしてやっていく、それが私は国民により信頼される法務省であるし、検察官になると思っているんです。私は、何も検察官を恨んでいたり憎んで言っているんじゃないんです。検察官は検察官で真っ正面から取り組み過ぎる。逆に肩に力が入り過ぎて、やらなければいけないという、前のめりになって失敗している例もあるんです。私は、それをきちっと見るのが、まさに法務省の、赤れんがの皆さん方の冷静で公平な判断でないかと思うんですね。
是非とも私は大臣のときに進めていただきたい、こう思いますが、いま一度その決意を伺いたいと思います。 - 国務大臣(小泉龍司君)
検察権というのは、物理的な、大変強い大きな権力です。物理的な力も持って、法的な力も持っています。そして、検察が起訴しなければ裁判が始まらないし、検察が起訴した案件は全部裁判の対象になります。ですから、司法権の一角を占める非常に強い権力を持っていて、また、でも、それは行政権の一部に加えられているという特別な存在だと思うんですね。
ですから、まあ何が言いたいか、その権力を、非常に強い権力を持っていますので、常にそれは見直していく、考えを正しいかどうかを検証していく、思い直していく、内省していく、その力は必要です。私はそう思います。 - 鈴木宗男君
とにもかくにも、小泉大臣、小泉大臣に期待していますので、是非とも、歴史に名を残すようにしっかり取り組んでいただきたいと思います。お願いして終わります。
ありがとうございました。