令和6年4月9日 参議院法務委員会 鈴木宗男議員による質問

取調べの録音・録画の実施状況

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  • 鈴木宗男君
     今日は、刑事局長に事務的にお尋ねをしていきたいと思っております。
     令和元年に施行されたこの改正刑訴法の三百一条の二の規定により、検察独自調査では、身柄拘束中の被疑者の取調べは、機器が故障した場合や、記録をしたならば被疑者が十分な供述をすることができない場合以外は録音、録画の対象とされていますが、特捜部の取調べでは、身柄拘束中の取調べの録音、録画が規定どおり実施されているということでよろしいですか。
  • 政府参考人(松下裕子君)
     お答えいたします。
     令和元年六月に施行された刑訴法三百一条の二第四項は、御指摘のとおり、いわゆる裁判員裁判対象事件、また、いわゆる検察官独自捜査事件について、逮捕、勾留されている被疑者を取り調べるとき又は弁解の機会を与えるときは、被疑者の供述及びその状況を録音及び録画を同時に行う方法により記録媒体に記録しておかなければならない旨を規定しております。
     検察当局におきましては、このように刑訴法により録音、録画が義務付けられた事件の取調べや弁解録取手続について、法令に基づいて適切に録音、録画を実施しているものと承知をしております。
  • 鈴木宗男君
     被疑者を逮捕した場合、検察官が弁解録取の手続を行って弁解録取書を作成しますが、その模様は録音、録画されているということでよろしいですね。
  • 政府参考人(松下裕子君)
     そのとおりでございます。

被疑者の認識と異なる弁解調書の作成

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  • 鈴木宗男君
     弁解録取の手続で、被疑者が被疑事実について自分の認識と違うということを言っているのに、それをそのまま弁解録取書に取らないで、あたかも被疑事実を自白しているような弁解録取書を作成するというようなことはあってはならないことだと思いますが、局長はいかが考えますか。
  • 政府参考人(松下裕子君)
     被疑者の弁解録取書というのは、事件が送致された後あるいは逮捕した後に最初に本人の弁解を聞くという手続において作成されるものでございますので、弁解した内容、供述した内容をそのまま記録するもの、ある程度文章にする際にまとめることはあったとしても、その内容を記録するものでありまして、弁解していないことを書くというようなことではないと思います。
  • 鈴木宗男君
     今私が質問したように、あたかもこれを自白したように作ってしまう、密室の中でですね。そういうことがあってはならないということを私は聞いているんですね。だからそれは、あってはならないということでいいんですね。
  • 政府参考人(松下裕子君)
     御指摘のとおりでございまして、あってはならないことだと思います。
  • 鈴木宗男君
     それでは、この弁解録取書の意味合いからいっても、今私が確認したように、あり得ないことだという理解でよろしいですね、今の続きで。自白しているように、あたかも、まあ受け止めの問題になってきますから、勝手なそういうことはできないということでいいですねということを聞いているんです。
  • 政府参考人(松下裕子君)
     自白をしていないのに自白をして、何をもって自白かというところはあると思うんですけれども、自白をしていないのに自白をしたかのように中身を偽るという意味でいえば、そういう弁解録取書はあってはならないと思います。
  • 鈴木宗男君
     弁解録取書でそのように弁解を録取をしないで自白したような弁解録取書が作成されたということで、その検察官について最高検の監察指導部に調査が要請されたというようなケースはこれまでありますか。
  • 政府参考人(松下裕子君)
     突然のお尋ねでございまして、そういった事案については把握はしておりません。
  • 鈴木宗男君
     把握していないというよりも、今、私のこの質問、ちょっとこれはもう調べなければいけないことだと思いますから、これは調査して次の委員会までに報告してほしいと思いますけれども、よろしいですか。意味は分かりますね。
     弁解録取でそのように弁解を録取しないで、先ほどの話の流れで、自白したような弁解録取書が作成されたということで、その検察官について最高検の監察指導部に調査が要請されたというようなケースはこれまでにありますかと聞いたところ、突然の質問だから分からぬという今の局長の話ですから、それは次回の委員会までに調査をして答弁をいただきたいということでいいですね。
  • 政府参考人(松下裕子君)
     可能な限りで調べてみたいとは思いますが、必ずしもそれが網羅的に分かるかどうかについては今お約束はしかねますけれども。
  • 鈴木宗男君
     局長、最高検の監察指導部に調査が要請された、そのようなケースがありますかですから、調べたらこれ分かる話じゃないですか。簡単なことで、何も難しいことを聞いているんじゃないんですから。法務大臣には分かりますね。それがあるかどうか、あったかどうかということ、最高検の監察指導部に。それを聞いているだけですから、それを調べて、次回で結構ですから、またお聞きしますから調査をいただきたいと、こうお願いをいたします。よろしいですね。
  • 政府参考人(松下裕子君)
     お答えいたします。
     最高検察庁における監察指導部に対して調査すべきということで問題提起があった件数というのはそれなりの件数がございまして、その内容について、御指摘のような観点から直ちに調査できる、次回の委員会までに調査できるかどうかというところについてはお約束はできかねるんですけれども、できる限り調べてみたいとは思います。
  • 鈴木宗男君
     局長、最高検の監察指導部にそうそう調査依頼なんというのはあるもんじゃないんですから、もっとこれストレートに、何も身構えて答弁する話じゃありませんから。
     これ、大臣、速やかに調査するように言ってください。聞いていても分かるとおり、何も構える話じゃないんですからね。それ、局長、そこら辺が上から目線でおかしいんですよ、正直に答えればいいだけのお話ですから。この点、大臣、お願いしますね。
  • 国務大臣(小泉龍司君)
     探してみます。

取調べの録音・録画の対象事件の拡大

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  • 鈴木宗男君
     身柄拘束されていない在宅の被疑者の取調べでは、録音、録画の対象になりますか、刑事局長。
  • 政府参考人(松下裕子君)
     先ほど申し上げた令和元年に施行した刑事訴訟法においては身柄を拘束されている者ということになっておりますので、在宅の被疑事件については義務付けはされておりません。
  • 鈴木宗男君
     これは義務付けはされていないということですね。
     次に、その在宅の被疑者の取調べで、被疑者が言ってもいないようなことを調書に取ったり、一部を切り取って事実を歪曲して調書に取ったりということで弁護人から抗議を受けた場合、それ以降、取調べの録音、録画を行うということはありますか。
  • 政府参考人(松下裕子君)
     取調べの録音、録画につきましては、法律で義務付けられているもののほかに、必要性がある場合で、対象者が納得、了解している場合ですとか、いろいろな場合において実施していることはございます。
     ただ、御指摘のようなその流れで録音、録画を実施しているかというところについてのお尋ねですと、そこは網羅的には把握していないので、お答えはしかねます。
  • 鈴木宗男君
     局長、私はそれ、あるかないかが、その取調べの録音、録画でですよ、聞いている話ですから、その網羅しているとかという表現じゃなくて、あるかないかをこれも調べていただきたいと、こう思います。
     次に、特捜部の検察官の取調べについて弁護人が最高検に抗議したのに対し、特捜部側がその被疑者の会社の社長を呼び付け、あるいは書面を撤回しろとか、わび状を出せというような要求をして実際にわび状を出させたことが、刑事裁判での被告人の最終陳述で明らかにされました。
     そのような事例があったということを局長は把握はしていますか。
  • 政府参考人(松下裕子君)
     突然のお尋ねですけれども、私は承知はしておりません。
  • 鈴木宗男君
     これも局長、調べていただきたいと思います。これは公にもなっている話でありますから、これは是非とも調べていただきたいと。これも次の委員会までに答弁をお願いしたいと思います。
     今、局長、最近の事件等を見ても、あるいは今はもうマスコミがいろいろ先にどこかからかのリークなんかで書くことがありますし、何か、それに対してまた、これはいかがかなという取調べなんかについてもいろいろマスコミ等で出ていますから、ここは是非とも、調べたらすぐ分かる話ですからお願いしたいと思いますが。
     これ、大臣、私は、つい最近もこれ報道等から知らされて、ああ、こんなことがあるのかなということを聞いているんですね。ですから、ここは大臣もしっかり刑事局に督励をして明らかにしてほしいと思いますけれども、よろしいですか。
  • 国務大臣(小泉龍司君)
     そのようにいたしたいと思います。
  • 鈴木宗男君
     私は、せっかくこの録音、録画について、私自身が逮捕されて、経験からこの可視化というのを言ってきて、もう質問主意書も内閣に何本も出して可視化が実現したんです。そこで、ただ、全面可視化まで行っていないところにまた私は逆に問題がある。可視化する以上はしっかりやった方がいいし、これは、検察なんかは都合の悪いのは隠すんですから、調書なんかでも。自分の都合のいいことしか出していない部分があるから、この点、私は間違いのない事実として述べているということを、大臣、是非とも頭に入れて、この点、事務当局に督励をしてほしいと思います。
     あと、今日、古庄先生が人質司法についても話されました。これ、人質司法という言葉はもう定着しているんです。ということは、あるんですから。当初、前々回の委員会で大臣は、古庄委員の質問に対して人質司法はないという答弁しました。しかし、私が具体的に言ったら、大臣はそれもさもありなんということで修正しておりますけど、今日は時間、八分までですから、ありませんからやりませんけれども、人質司法があるということ。
     もう一つ、国策捜査という言葉もあるんです。これももう定着しております、私の事件から。今、知の巨人と言われている佐藤優さんが、明確にそれは国策捜査あり得ると、こういうことを物事に書いております。同時に、それに対して訴えられたこともなければ反論もないわけですから、これも私は定着している言葉だと思います。時に恣意的に意図的にシナリオ、ストーリーを作ってやる場合がある。
     私は、正直者がばかを見る世界はいかぬと思っているから私は今でも再審請求で闘っているんですけれども、この点、大臣、人質司法、国策捜査についてこれからまた私は質問してまいりますので、しっかりと私は受け止めていただきたいと、このことをお願いして、今日の質問は終えます。取調べの録音・録画の実施状況