令和6年4月18日 参議院法務委員会 鈴木宗男議員による質問

検察が被疑者の勤める会社に対しわび状の提出を要求した事件

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  • 鈴木宗男君
     予定より時間がもう五分オーバーしていますから、私は手短に質問したいと思いますが。
     法務大臣、前回の委員会で大臣は私の質問に対し、今回の件は対応が適切ではなかったと思います、心からおわびを申し上げます、そしてまた調べて御報告をしたいと思いますと言ってくれました。その調べた結果はいかがだったでしょうか。
  • 政府参考人(松下裕子君)
     お答えいたします。
     さきの委員会におきまして委員から、刑事裁判の被告人が、特捜部の検察官の調べについて弁護人が最高検に抗議をしたところ、検察が被疑者の会社の社長を呼び付けてわび状を出せと要求してわび状を出させたという最終陳述をしたということがあったかというお尋ねがございました。
     公判廷におきまして当事者がどのような発言をしたのかというお尋ねにつきましては、まさに個別事件の捜査・公判活動や証拠の内容に関わる事柄でございまして、裁判所の判断に不当な影響を与えかねないことから、法務当局として本来お答えは差し控えるべきであると考えておりますけれども、今般のお尋ねにつきましては、委員の御指摘も踏まえて検討いたしました結果、公開の法廷におけるやり取りについてのお尋ねでありますし、かつ、既に報道等の一部で被告人の発言が公にされているということ、また国会の場において委員から繰り返しお求めがあったことからあえて御答弁を申し上げますと、委員の御質問内容について、基づいて調べましたところ、特定の事件の公判における被告人の意見陳述において、会社がわび状の提出を求められたと聞いたといった趣旨の意見陳述があったということを把握することができました。
  • 鈴木宗男君
     わび状を出せということがあったということですね。
  • 政府参考人(松下裕子君)
     お答えします。
     今申し上げたのは、被告人、特定の事件の公判において被告人が、会社がわび状の提出を求められたと聞いたといった御趣旨の意見陳述をしたということを把握したということでございます。
  • 鈴木宗男君
     局長、今の答弁を何で前回の答弁で言えないんです。私はこれ、九日の委員会で指摘している話ですよ。何日たっています。事実を聞いているだけなんですから、個別案件とかなんとかじゃなくて、もう公になっている話だから私もここで質問しているわけですから。それを何で、今の答弁を先週はできないのか、さらに先々週にできなかったのか。
     それは、大臣、委員会軽視じゃないですか。全く時間の無駄で、腹立たしい限りですよ。正直に答えればいいわけですから。大臣、その点どう思いますか。
  • 国務大臣(小泉龍司君)
     公判中にそういう発言があったということをお尋ねになり、また、それは公判なのだから公表されているだろうということでございました。私もそれはそのとおりだというふうに思い、また、すぐ御回答できなかったことも含めて、おわびを申し上げました。
     ただ、公開されているといっても、国会の審議のように議事録が整えられているわけではなくて、その場にいた人がオープンな場で聞いたという形の公判廷なわけでございます。したがって、日がたったときにそれをどういうふうに確認するのかということになれば、その法廷にいた人に聞くしかないという手続になります。
     で、検察の場合は検察官がいますから、法務省の場合、検察官に聞けばいいじゃないかということになりますが、それはまさに、個別の事件について検察官に事情を聞くという、その個別指揮権の一歩手前までこれは触れるわけでございまして、その点に刑事局長の決断が付かなかった理由があるわけでございます。
  • 鈴木宗男君
     部下を思う気持ち分かるけど、また大臣の部下を思う気持ちは分かりますけど、それは親切じゃないですよ。いいものはいい、悪いものは悪いと指導するのが本当の親切なんですよ。
     なぜ私が言っているかというと、今の答弁は先週でもできるんですから。私が言ったの、最初話したのは九日なんですから、次回の答弁で本来ならば委員会で言うべきなんですから。それを前回も個別案件云々なんて、私は個別のこと何も言っていないんですから、一般論として、公になっている公判の情報を私が得てのここでの質問なんですから。
     ここは、大臣、言葉の使い方、大臣の立場と気持ちは分かるけれども、それは私は本当の親切じゃないということ、やっぱり検察には行き過ぎがあるから私は言っているんですよ。
     同時に、このわび状を出せ、あるいは意見書を撤回しろと言った、会社の社長を呼び付けて。この行為を大臣はよしとしますか、当たり前と思いますが、これは大臣に聞きます。
  • 国務大臣(小泉龍司君)
     それは、この事案を前提としてお聞き……(発言する者あり)一般論。
     まずその前に申し上げたいのは、個別の事案、公の法廷でありますから、そこにいた人は誰でもそれをオープンに聞いているわけでありますけれども、それを確認する段階では、検察庁に法務省から問合せをしていくというステップになります。これは、個別の案件に入っていくもう入口に差しかかっている、そういう状態でございます。
     その判断が一週間遅くなったということはおわびを申し上げなければなりませんけれども、そういう事案だということを是非御理解いただきたいのと、それから、委員から御指摘、確認を求められましたのは、最終陳述でそういう意見が出たかということを確認をされたわけでありまして、それは入口に触れますけれども、しかし、ありましたということをお答えさせていただいて、その先に入りますと、もうこれは、法務大臣としては、個別の指揮権の領域に入っていきますので、これは私からは御答弁申し上げることは差し控えたいと思います。
  • 鈴木宗男君
     大臣、一般論としてですよ、会社の社長は関係ないんですよね、事件とは。その社長にですよ、わび状を出せだとか意見書を撤回すれと言うことは私は尋常じゃないと思いますよ、圧力、プレッシャー掛けているわけですから。そういうことがあっていいかどうかということを一般論で大臣に聞いているんですから、それに答えてください。公判のことを私は言っているんじゃないんです。いいですね、分かりますね、大臣。
  • 国務大臣(小泉龍司君)
     しかし、これはもう個別案件の話から今日の議論、先週の議論も行われておりますので、そういう脈絡がベースにございますので、コンテクストがございますので、ここだけ私が一般論でというお答えをしてみても、それが様々な誤解を招くもとになりかねないと思いますので、やはりお答えは差し控えたいと思います。
  • 鈴木宗男君
     大臣、現実に、私自身も経験している者としてですよ、密室で検察はシナリオ、ストーリーを作るんです。だから冤罪が起きているんですよ。だから鈴木事件と村木事件で初めて、検察の調書が正しいと裁判官は思っていたけれども、検察は自分たちに都合のいい調書を作るということが明らかになった。これが国策捜査という言葉で今もう定着しているんですよ。だから私もこうやって発言できるんですよ。私はその事実を踏まえて言っているんです。こういう密室で、限られた中で、検察官と事務官がいないとき、どういう取調べが行われているか、これからも私は委員会でやりますけれども、極めて強圧的にやっているんです。
     そして、録画、録音だと言っているけれども、検察は自分たちに不利なものは出さないんですよ、調書にしても、参考人、証人の調書にしてもですよ。自分たちに都合のいいものは証拠開示しないんです。不利なもの出して、例えば私なら、私に不利なものしか表に出さないのが実態なんですよ。
     だから、そういうことがあってはいいかということも含めて、会社の社長にですよ、意見書を撤回すれだとかわび状を出せ、これは事件とは関係なく、そういう行為は検察官として私は適切でないと思うけれども、大臣はどう考えるかということを言っているんです。
  • 国務大臣(小泉龍司君)
     委員からしばしば御指摘いただくその「検察の理念」の中に、検察は公平公正に、また真相をしっかり明らかにするべくやりましょう、そして権力の行使については、謙虚に内省をして謙虚にやるべきだ、そういったことがたくさん、複数箇所書いてございます。
     それに反するような在り方は、それは私は間違いだと思います。そして、一般的指揮権の立場から、検察には、日頃、「検察の理念」に従ってやってもらいたいということは督励を重ねているところでございます。
  • 鈴木宗男君
     大臣、今大臣、「検察の理念」、言われました。この「検察の理念」が出てからもう既に十一年たっていますね、いや、十三年たっていますか、あれが二十三年ですから、平成の。今年は令和六年ですから、もう十三年たっている。
     私は、「検察の理念」、生かされていないと思いますよ。今の、大臣はその「検察の理念」があると言うけれども、理念が生かされていないから今年になってからも最高検の検事総長が訓示しているんじゃないんですか。どうです、大臣。
  • 国務大臣(小泉龍司君)
     検事総長が訓示で述べたことは承知しておりますが、私も常々、検察の様々な会議がありますけれども、必ずこの「検察の理念」を引用して、そこにある精神を要約して申し述べて、是非これに従ってやってもらいたいということは繰り返し督励をしているところであります。非常に重要なポイントだと思います。
  • 鈴木宗男君
     是非とも大臣、そこはしっかり指導してください。
     刑事局長の答弁一つ見ても、警察はやはり、自分の枠というか、その範囲内でどうしても時間稼ぎをします。先ほどの答弁だって、大臣、聞いていても分かるとおり、何も先週のうちに答えれる答弁ですよ、明らかなんですから。こっちも事実でないことを言っているわけじゃないんです。でたらめ言っておったら私が非難されるわけですから。私は、ちゃんと裏付けを取って、調べて物を言っているんですよ。にもかかわらず、木で鼻をくくったような答弁をする。これが検察の実態ですよ。刑事局長だって、いずれ現場に戻るわけですから。
     私は、是非とも、まず、今大臣が言ったように「検察の理念」を言うならば、きちっと暗記させるぐらいここは指導をいただきたい。それは大臣の責務として私はあると思います。大臣の決意をお聞かせください。
  • 国務大臣(小泉龍司君)
     「検察の理念」を作ったから、「検察の理念」があるからと、それが言い訳になっては決していけないと思います。そこにある本当の精神を、一人一人が自分の行動として、価値観として、検察庁が全体としてそれを受け入れる、また自分のものにしていく、そういう大事な過程にあると思いますので、責任の重さを痛感しながらしっかり指導に当たりたいと思います。
  • 鈴木宗男君
     是非とも大臣、それは徹底していただきたいと思います。
     時間余していますけれども、次の委員の皆さん方の予定があると思いますから、私はこれでやめさせていただきます。