検察官による不適切な取調べと法務大臣による指揮監督
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- 鈴木宗男君
大臣、今の大臣の説明、ここにいる人らは分かると思いますね。ただ、一般的には、しっかり認識しないというか理解しないというか、ちょっとどうなっているんだろうという心配の向きはありますので、この点はやっぱり徹底して親切にこの受入れ機関を含めた関係団体に私はお話をしていただきたいなと、こう思っております。北海道なんかでも相当今外国人は入っていますので、この点、強くお願いをしておきます。
私はこの改正二法案は賛成でありますから、法務省、特に入管庁なんかは自信を持って国民に私は説明をいただきたいと思います。
皆さん心配される声があっても、これは民主主義ですから当然であるし、また、それはそれで、入管庁なんかは説明の義務があると思っておりますけれども、とにかく丁寧に言えば分かると思います、あからさまに排除の論理はしていないわけでありますから。それを前段省略して受け止めると、何かしら差別だとか偏見だというふうに取られる向きもありますから、この点、私は説明すれば分かると思いますので、まさに丸山次長の出番だと、こう思いますから、しっかり分かりやすい説明をいただきたいなと。同時に、法務大臣もしっかりサポートをいただきたいなと、こう思っております。
私にとっては、四月の十八、五月九日、十六日、二十三日、「検察の理念」について聞いてまいりました。今日もこの「検察の理念」についてお尋ねをいたします。
二十三日の委員会で大臣は、八長官が集まる場ではなくて、私が出向いて、高検に行って、そこで意思疎通をし、訓示をすると、そこで意思疎通をし、確認をし、訓示をする、これは一般的指揮権の中では十分になし得ることであるというふうに考えておりますとおっしゃっております。これは、今、大臣が答弁されたいわゆる議事録に載っている言いぶりを正確に私は話しました。
これ、出向いて調査するということは何を意味するんでしょう。出向いて調査する。 - 国務大臣(小泉龍司君)
度々委員から御指摘をされている検察の不当な捜査ですね。これちょっと、個別案件に私は入った形ではコメントができないのでありますが、一般論として、それは「検察の理念」に反しますし、あってはならないことだと思います。何とかそれを是正したい。
しかし、法務大臣としての個別的指揮権は、これは発動については極めて慎重でなければならないという制約がありますので、その中で検察への政治家の介入だという批判を招かない方法で、しかし検察にしっかりと考え直してもらう、改めてこの「検察の理念」の重要性、必要性、それを遵守する必要性を理解をしてもらうにはどうしたらいいかと考えまして、会議に行って私がしゃべる、まあ一定の時間はもらいます、五分とか十分。でも、それで片側通行で終わってしまいますので、高検、高等検察庁八か所ありますから、そこへ私が出向いて、そして高検検事長、また検事の皆さんとまず意思疎通をして、本当にこの「検察の理念」というものが皆さんの心に入っているかどうか、どういう気持ちでいるのかどうか、そういうことを生身の議論で突き詰めた後にしっかりと訓示をしていこうと、そういうふうなことを今考えているわけでございます。 - 鈴木宗男君
大臣、大臣よく個別案件という話するんですよ。大臣が話をすることはもう既に一般的な指揮権なんです、例えば大臣の下にあるそれぞれの機関で言うことは。私は、その個別案件、大臣、テープレコーダーのように言っていますけど、ちょっと認識間違っているんでないかと思います。
けりが付いて、検察の非が明らかになって、無罪になりました。決着付いている分は、個別案件について私は言えないという、大臣よく言われますけれども、私は、じゃ、具体的に、以前にも言っておりますけれども、ここでまた言わせてもらいます。
恫喝、強圧的な取調べで、誘導で、正しくない虚偽の調書を作って、それで起訴をして、結果として一審で無罪になりました。明らかに検察は間違い犯しましたと言って、一審で終わっちゃっているんですよ。
じゃ、そういった間違った取調べをした人に、大臣、大臣になってからの事案ですから、大臣は、じゃ、具体的にどういう指導をしました。それを教えてください。 - 国務大臣(小泉龍司君)
その担当検事さんに直接指導するということはしておりません。それはまさに個別案件に入る、個別的な指揮権の発動になってしまいます。
しかし、検察という組織全体に対して、捜査の在り方はこうあるべきだ、こういうことを考えてもらいたい、これをしっかり守ってもらいたいということを法務大臣として頼む、指示をする、これは一般的指揮権でありますから、それをより効果的に発動するために八つの高検を私が回って指示をする、意思疎通をする、確認をする、そういうことを通じて是正を図っていきたいというふうに思っています。 - 鈴木宗男君
大臣、大臣の下には本省に刑事局長もおられますね。担当課長もいますね。本来ならば、間違いを犯した、なぜこうなったんだろうか、なぜこういったことが繰り返されるんだろうかと普通疑問に思いませんか。現場に行く行かないじゃなくて、担当局長に、こういう結果になっている、これはなぜかということをなぜ聞かないんでしょう。
大臣、特にこの事件なんかは、もう皆さんも知っているとおり、プレサンス事件ですよ。担当検事が関係者から事情を聞く、聴取する中で、逮捕をしない方がいいと上司に上げているんですよ。上げていても、シナリオ、ストーリーに沿って突っ走ってしまったんです。
明らかに「検察の理念」を無視しているんじゃないんですか、大臣。この点、どうでしょう。 - 国務大臣(小泉龍司君)
それは、検察庁法によって、個別の指揮権は直接発動できない、担当検事に向かって発動できない、そういう規定がはっきり書いてありますので、それに抵触してしまうわけであります。そこは是非御理解もいただきたいと思います。 - 鈴木宗男君
大臣、刑事局長もいます。それぞれ役割を持った人いるんです。事実関係をただすことが、何でそれが指揮権なんです。事実関係はどうなっているか、それは内々、組織の中でそういったチェックするのは当たり前の真ん中の話じゃないですか。それが組織として機能して当たり前、当然ではないんですか、大臣。
それ、大臣は、大臣も法律の専門家でないから、役人のレクチャー受けてここでも答弁しているわけですから、何もあなたは狙って法務大臣になったわけじゃないんです。大臣、いいですか。私は正直が必要だと思いますよ。間違ったら間違ったと謝るのが人間として当然なんですよ。それを言い訳みたくすり替えるのは、私は、小泉大臣らしくないんです。
大臣の立場として、当然刑事局長に、結果としてこれ無罪になっている、これは検察のミスなんですから。ミスというか汚点ですよ。しかも、一審で無罪なんていうのはあり得ませんよ。検察自身も認めたから下がっちゃったわけですから。ならば、指導監督はどうしているんです、大臣。 - 国務大臣(小泉龍司君)
そこで本当に御理解いただきたいのは、私は法務大臣という政治家なんですね。政治家がこの検察が扱う個別の案件に触れると国民の疑念を招くということから、検察庁法では個別の案件には触るなと、こういうふうに書いてあるわけでございます。
そこが大きな公益として守らなければいけない、私、我々のその守ることが必要な命題であります。そして、その枠組みの中で、じゃ、何ができるかといえば、一般的な指揮権において検察をしっかりと指導する、これはできるわけでありますから、個別とちょっと切り離していただいて。
何で検察がそう守られなきゃいけないのかというと、それ何で守るんだという厳しい御指摘ですが、それは司法の一翼を担っているからです。起訴をするという、それは司法の両輪の片輪なんですよね。だから、司法の独立性と同じ考え方がそこには流れています。 - 鈴木宗男君
大臣、終わった、結論の出た話と現在進行形は違いますよ。それ、大臣、一緒に物を言っていますけれども、終わった話と現在進行形の話をしているんじゃないんですよ。結論が出て、もうギブアップして、終結しちゃっているんですから。いいですか。それに対して、反省だとかおわびがあっていいんじゃないですか。
大臣、じゃ、二百四十七日も勾留された人の立場を大臣はどう考えるんです、そういった間違ったやり方で。それをちょっと、じゃ、説明してください。 - 国務大臣(小泉龍司君)
終わった案件であっても、将来のものも含めた同種事件に対する、関する検察当局の捜査・公判活動に介入しようとしているんじゃないかと、こういう疑念が湧いてくると思います。必ず湧いてきます。どこかできちっとしっかり線を引いておかないと国民の疑念というのは湧いてきますので、しっかりとここはお許しをいただいて。
しかし、一般的な指揮権の下で最大限の努力をしたいと思っております。 - 鈴木宗男君
大臣、すり替えの議論ですよ。
指揮権で有名なのは、犬養法務大臣の佐藤栄作さんを逮捕するかしないかというときの指揮権発動が有名ですね、これは。多くの人が知っていると思いますよ。それ以外は指揮権ないんです。
ただ、間違い起こしました、素直に謝る、認める、これが、大臣、筋じゃないですか。起訴した検察が、一審で終わってしまった、無罪判決で。自信あるならば、二審、そして三審までいけばいいんですから。できなかったということは、明らかに百点満点で検察が駄目だったということなんですから。それについて、迷惑を掛けた人いる、大変な人権侵害を受けた人がいる、経済的にも大きな影響を受けている。済まなかったとか、あってはならぬことだったとか、申し訳ないだとか、そう言うのが大臣の立場じゃないんですか。それは指揮権に何の関係あります。
大臣、勘違いしないでくださいよ。争い事やっているならば今の答弁でもいい。終わってしまって、間違いを、じゃ、検察はこの件では間違った判断をしたということで、これは、大臣、認めますね、この件は。いや、これ大臣に聞いているんです。 - 国務大臣(小泉龍司君)
それ、まさに、申し訳ないんですが、それはまさに個別案件に対する私の評価になります。これ、法務大臣でなければ、一般の事業等官庁であれば、大臣がおわびをするとか評価する、それはできるんですが、これはもう検察という公権力の在り方に関わる法律があっての仕組みでありますから、誰が法務大臣になってもこれは守っていくという形しかないと思うんですよね。 - 鈴木宗男君
これ、委員の先生方、間違った判断して、じゃ、誰が責任取るんです。我々政治家、必ず責任取らされますね。裏金問題でもそうじゃないですか。
じゃ、大臣、検察は間違った判断しました、そして結果的に裁判でも負けました、じゃ、どんな責任取るんです。こういうことが、じゃ、また起きても、誰も責任取らない、注意もされない、これで、大臣、法治国家として成り立ちますか。 - 国務大臣(小泉龍司君)
ですから、そういう社会全体の、国会での御議論も含めた社会全体の厳しい目がある、様々な批判がある、反省すべき点があるでしょうということを私がしっかりと言い置きに行くわけですよ、高検に、行くんですよ。こちらから行って、よく分かってもらうんですよ。その努力をしますと申し上げているわけです。 - 鈴木宗男君
大臣、高検に行く行かぬじゃなくて、もう結論の出ている事件なんですよ。
いいですか、大臣。大臣、大臣の立場として、間違った判断をしたのは誰かだとか、どういった責任を取るかだとか、常識として言って当たり前じゃないですか。大臣、検察官が泥棒したら、捕まったら、いや、検察官だから泥棒してもいいんだとはなりませんよ、法の下の平等なんですから。間違った判断して、人の人格から、人権から大変な迷惑を掛けておきながら注意も何もできません、それで、大臣、世の中通ると思いますか。いいですか、大臣。人間として、大臣、相手のことを考えてくださいよ。ちょっと、大臣、正直に答えてください。
私は、私自身、検察は検察の役割で真面目にやっているのもいるけれども、跳ね上がった者もいることは事実なんです、こういった事案を見たら分かるとおり。その跳ね上がった者を野放しにしておいていいんですか、大臣。それだけ答えてください。 - 国務大臣(小泉龍司君)
それは、その個別的指揮権の発動になってしまうので困難なんです。法律があって、できないわけです。一般的指揮権ならばできることがあります。おっしゃっている気持ち、お気持ちはよく分かりますよ。よく分かります。よく分かりますけど、私の置かれている立場も考えてみてください。 - 鈴木宗男君
大臣、置かれている立場考えるんじゃないんですよ。間違いなく、大臣、結論が出たんです。その結論は、検察のやり過ぎだったし、でたらめだったという結論なんです、大臣。それに対して何で注意できないんです。
これ、皆様方も、私の言うのが無理ありますか。委員長、どうです。悪いことして、間違ったことしておいた者がのうのうと生きていけるという社会が公正で公平な社会なんですか。これ、山崎先生、どう思います。私の言うのに無理ありますか。当たり前のこと言っているんじゃないんですか。
大臣、役人のメモをもらって説明しているだけであって、大臣の本心として、言葉として述べていないですよ。大臣、大臣である前に一人の人間であってください。一人の人間として、私の言うのが無理あるか、あなたの答弁が理があるか。間違いなくこの国会中継見ている人はたくさんいますから。私はこの案件ずうっとやっているけれども、圧倒的に鈴木宗男頑張れという声援ばっかり来ていますから。この点、大臣、勘違いしないでください。
私は何も、私の我を言っているんじゃないんです。結果が出た、しかも、大変な目に遭った人に対して、本来ならば大臣がおわびをする、あってはならぬことだった、「検察の理念」に反していたと言うのが当たり前のことじゃないですか、それは。それを言えないという、大臣、私は政治家としての大臣の見識を問いますよ。 - 国務大臣(小泉龍司君)
その政治家だから言えないんですよ。これ、私が政治家でなければそのままストレートな会話が続くんですけど、政治家だから個別の案件には入ってはいけないというふうになっているわけです。それは公益なんです。何て言ったらいいんですかね。 - 鈴木宗男君
大臣、大臣は法務大臣だから言えないとさっきまで言っているんですよ。今は、政治家だから言えないと言うんですよ。政治家だから言えるんじゃないんですか。国務大臣は、大臣、民間人でもなれるんです。いいですね、勘違いしないでください。政治家だから言えない、政治家として、じゃ、小泉さん、こうですと答えてください。 - 国務大臣(小泉龍司君)
私は、政治家であり法務大臣ですから、法務大臣としてののりを越えるわけにはいきません。これは本当に申し訳なく思いますけれども、それを越えることはできません。 - 鈴木宗男君
政治家と大臣の使い分け、大臣、これは議事録にも残っているし、必ず時が解決しますから。
同時に、この事件だけでなくて、河井事件でも検察は何て言いました、大臣、最高検は。時間ないから、大臣、最高検は、特捜検事の取調べは不適正であった、こう言っているわけですよ。じゃ、不適正であったと認めたならば、注意をしたのか、どんな指導をしたのか、これを教えてください。 - 政府参考人(松下裕子君)
御指摘の事件につきましては、最高検察庁の監察指導部において調査を行いまして、当時の広島市議会議員に対する取調べについて、不起訴処分を約束したり虚偽供述をさせたものではないけれども、一部の言動について取調べの適正確保の見地からは不適正な点が認められたとして、同種事犯の再発防止のために検察官に対する指導、教育の充実強化に努めることなどが示されたものと承知をしておりまして、その監察結果を受けまして、検察におきましても、様々なその「検察の理念」を踏まえた検察活動が行われるように、具体的なその浸透を図るための取組を進めていると承知しています。 - 鈴木宗男君
大臣、大臣も長い政治生活の中でいろんな経験していると思います。政治家は失言しても首になります、大臣は。あるいは、何かミスしたら辞めなければいけませんね。検察は、じゃ、間違いを起こしても何の責任も取らない。大変な人権侵害から、もうプライバシーから全て侵害してしまう。にもかかわらず、結果として、恫喝したり、強圧的な虚偽の調書を作って起訴したけれども、結果的に負けてしまった、しかも一審で負けた。誰も注意されない、誰も責任取らない。それで組織として当然ですか。
今、政治不信で言われているのは、政治家の責任の取り方がなっていないというのが世論の不満なんですよ。じゃ、検察だけは何やってもいいんだ、注意されない、そういう理解や声になってきて、組織もつと思いますか。
大臣、正直に私は大臣としての職務を全うしていただきたいと思います。この国会がある限り、次の国会でも私はこの検察の在り方はやっていきますから、大臣が替わろうともこれは一貫してやっていきますから。恐らく、大臣辞めてから、大臣は私の話にノーとは言わないと思います。そのとき、大臣、大臣としての政治家の見識がまた問われることになると思います。
私も、それなりの経験を持った政治家として、ここは真っ正面から、いいものはいい、悪いものは悪いという指摘をしていきますので、次のまた委員会の議論に譲りたいと思います。
終わります。