令和6年6月13日 参議院法務委員会 鈴木宗男議員による質問

証人に対し尋問前に検察が供述内容を指導している問題

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  • 鈴木宗男君
     大臣、そこは徹底してやってください。あと入管庁も、職員の皆さん方に、まずは親切に対応する、決め付けて掛からない、これが大事だと思うんです。ちょっとした言葉の使い方で受け止めが全く違ってきますから、この点、是非とも役所としても徹底をいただきたいなと、こう思います。
     最高裁、来ていますね。
     前回の委員会で、証人テストについては刑事訴訟規則に定められているからということのお話がありました。私も、尋問の打合せをするのは、これは必要だ、あるいは手続として問題ないと思います。
     それで、最高裁に聞きますが、証人テストをする際、こう聞く、これは当然あると思います。検察側がこう聞くからこう答えろ、わざわざペーパーを作って、同時に、ここだけは絶対覚えておけと赤印付けたり印を付けて証人に尋ねるのは私は公正でないと思いますけれども、最高裁としてどう受け止めます。
  • 最高裁判所長官代理者(吉崎佳弥君)
     お答え申し上げます。
     その証人テストにおける問答等の在り方について、公判審理においてどのような扱いがされるかによって規律されるところだと思いますので、その点について最高裁の事務当局として、各裁判体の判断の在り方に触れることになりますので、お答えすることは困難でございます。
  • 鈴木宗男君
     刑事局長、あなたは、証人テストは認められているんだという答弁しているんですよ。私が聞いているのは、尋問の際こう聞くからこう答えろと、被疑者に不利な話を、こうやって紙を作ってまで。これ見てください、ちょっと、あります。これはいいことかと聞いているんですよ。
     尋問、聞くのはいい。こう答えろと検事が言うのは、これ委員の皆さん方も公平だと思いますか。その答えは、被疑者に対して極めて不利な、有罪に持っていくための答え作っているんですから。だから、こういうやり方、尋問は私は認める、しかし、答えまで書くことについてどう認識しているかということを聞いているんです。何も裁判の動向なんて聞いているんじゃない。
     最高裁として、尋問をする証人に、その際こう答えろと、しかも、これだけは絶対覚えておけというやり方は真っ当かどうかということ、あなたの認識を聞いているんですよ。それを答えてください、刑事局長として。
  • 最高裁判所長官代理者(吉崎佳弥君)
     お答え申し上げます。
     検察官や弁護人の主張、立証を吟味して判断していくのが裁判所の仕事でございますが、具体的にその、どのような方法によりどのような判断をするかにつきましては個々の事件において各裁判体が判断すべき事項でございまして、事務当局からのお答えは差し控えさせていただきます。
  • 鈴木宗男君
     私の質問に答えてください。裁判に影響するとかしないとかいう話じゃないんです。答えを書くのが真っ当かどうかということを聞いているんですよ。刑事局長としての認識を答えてくれればいいんですよ。あなた、私の質問ちゃんと頭に入れて答えなさいよ。そういうばかな答弁しないでください。
     委員長、注意してください、ちゃんと。あと、今の時間の、これ無駄ですからね、この時間も外してください。
  • 委員長(佐々木さやか君)
     答弁は、質疑者の趣旨を体し、簡潔かつ明瞭に行うようにお願いいたします。
  • 最高裁判所長官代理者(吉崎佳弥君)
     委員の御質問について正解せずに御答弁申し上げた点はおわび申し上げます。ただし、私は最高裁事務当局としてのお答えをするためにこちらに参っておりまして、その点は御理解願えればと思います。
     その上で、一般論として申し上げますと、仮に、ある供述者の供述が虚偽であるということが公判審理において明らかになった場合には、当事者、例えば検察官がその当該供述者の供述によって立証しようとした事実は立証されるに至らないということがあるかと存じます。
  • 鈴木宗男君
     刑事局長、こう聞く、だからしっかり頭づくりしなさいという尋問はいいんですよ。こう聞くからこう答えろ、私はあってはならぬことだと思うんですよ。答えまで作る必要、何であるんです、尋問に。だから、こういうやり方はフェアじゃない、公正じゃないんじゃないかと聞いているんですよ。あなたはどう思うかということなんですよ。裁判の行方云々じゃない。
     刑事局長、法務省の局長が余計な手を挙げるな、私はあなたに指名していないから。私に権限があるんですから。
     ちゃんと答えてください。
  • 最高裁判所長官代理者(吉崎佳弥君)
     繰り返しになりますけれども、最高裁の事務当局としてのお答えとしては、先ほど来述べているとおりでございます。虚偽であることが公判廷で明らかになると……(発言する者あり)
  • 委員長(佐々木さやか君)
     答弁は、質疑者の趣旨を体し、簡潔かつ明瞭にお願いいたします。(発言する者あり)
     委員長の指名を受けてから御発言お願いいたします。
  • 鈴木宗男君
     いやいや、委員長、時間の無駄ですから、きちんと言わせてくださいよ、私の質問にちゃんと答えるということを。
  • 最高裁判所長官代理者(吉崎佳弥君)
     その証人テストにおけるやり取りの中身につきまして、そこに公正さがあるかどうかを含めまして、公判廷で明らかになると存じます。
  • 鈴木宗男君
     私は、違う、公正とかなんとかじゃないんですよ。こう聞くからこう答えろと検察官が答弁まで作るのが公正じゃないんじゃないかと言っているんですよ。それに答えてくださいよ。
  • 最高裁判所長官代理者(吉崎佳弥君)
     その作る行為が公正かどうかということについて、それは結果的に、私どもの立場としては、公判審理で明らかになった情報に基づく判断しかしようがないということを申し上げております。
  • 鈴木宗男君
     刑事局長、あなた、司法で、三権分立で裁く立場ですよ。裁く立場の者がこういう事実を知らないと困るんじゃないんですか。こういう話を、あなた、聞くの初めてでしょう、検察官が、尋問はするけれども、答えまで作っているということを。で、こう答えろと指示しているということを、あなた、今まで聞いたことありますか。それ答えてください。
  • 最高裁判所長官代理者(吉崎佳弥君)
     私個人のことを申し上げることは困難でございますけれども、そういった事情があるかどうかについて議論があることは承知しております。
  • 鈴木宗男君
     法務大臣、法務大臣は、尋問して、検察官が、こう聞くからこう答えろという、こうやって答弁書まで作る、これはいいことだと思いますか、公正だと思いますか。
  • 国務大臣(小泉龍司君)
     証人テストにおいて、検察官が証人に対して特定の事項を証言するよう誘導しているのではないかとの疑念を招きかねない行為、招きかねない行為は避けるべきであり、そもそも検察官は、証人テストの方法等について慎重な配慮を払い、公正な態度で証人テストを行わなければならないというふうに考えております。
  • 鈴木宗男君
     大臣のところにもこの資料行っていますね。
     ちょっと大臣、目を通して、こう聞くからこう答えろと書いているんですよ。これは公正ですか。被疑者に対してマイナスの答えしか書いていないんですよ。本来、こう聞くのは、聞いていいですよ。こうやって御丁寧に答えまで書いていて、しかも、よくここの部分だけは覚えておけと言って、もう印まで付けているんですよ。
     だから、大臣、中身じゃなくて、こういうやり方は私は公正でないと思うんです。こう聞く、だから勉強しておけというのはいいですよ。こう聞くからこう答えろ。今日ここにいる委員の先生方も初めて聞くと思いますよ。検察の取調べはこうやってやっていくんですよ。裁判官は調書主義ですから、その調書を基にまた罰を与えるわけですよ。私は、私の経験から、これは事実を言っているんですよ。
     だから、大臣、こう聞くからこう答えろよとまで、答えまで、しかもこうやって印刷して渡すんですよ。私はこれは公正でないと思いますが、大臣、どう思います。
  • 国務大臣(小泉龍司君)
     こういうやり方が事実だとすれば、それは公正なことではないと思います。
  • 鈴木宗男君
     大臣、これ事実なんですね、だから私、これ委員会に出しているんですから。私は、これ、うそ、でたらめであれば出しませんから。これは裁判所にも出していますから。
     大臣、やっぱり大臣からとしてもこのやり方は正しくないですね。もう一度確認いたします。
  • 国務大臣(小泉龍司君)
     公正ではないと思います。
  • 鈴木宗男君
     公正ではないという答弁いただきましたから、これは、大臣の私は答弁にしては、極めて正しいというか、まさに公平な答弁であると思います。

検察官による不適切な取調べと法務大臣による指揮監督

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  • 鈴木宗男君
     そこで、大臣、昨日、おとつい、例のプレサンス事件の裁判で、取調べの録音、録画の映像が流されました。これ、今はもう出回っていますから見ている人もいると思います。約五分ぐらいです。そこで検事は、担当検事は、検察をなめんなよ、テーブルを何回もたたいていますね。
     そういう取調べは、大臣、正しいやり方でしょうか。
  • 国務大臣(小泉龍司君)
     ちょっと私、済みません、その画像をまだ拝見していないので、あくまで、あくまで一般論ですが、まあ机をたたいて威嚇をするというそういう状況ですね、それは好ましいことではないと思います。
  • 鈴木宗男君
     大臣、映像を見なくても、例えば昨日の新聞、テレビでも全国放送でその場面は流れています。
     本来、事務方、刑事局長を始め、こういう映像が流れていますということは大臣に上げてもいいと思いますけれども、刑事局長、さっき手を挙げたけれども、あなた方はそういう報告は大臣にしていないんですか。
  • 政府参考人(松下裕子君)
     お答えいたします。
     国家賠償請求訴訟におきまして、その公判において取調べの動画が再生されたということについては大臣に御報告をしております。ただ、その動画そのものを大臣にお見せするということはまだしておりません。
  • 鈴木宗男君
     大臣、大臣が「検察の理念」を踏まえらせるべく徹底させると言いましたね。八高検も回りたいとも言っていますよ。現実に、私はこの委員会でも何回も指摘しているように、事実をしっかり受け止めてください。
     大臣、私が見る限り、真面目で誠実に職務に当たっていると思います。ただ、大臣、大臣の答弁を聞いていると、検察になめられるだけです。あえて私の表現で言えば、大臣は言うとおりだ、扱いやすい、こう受け止めれます。私も長い様々な経験からいろんなネットワークを持っていますから、その中からも漏れ伝わってくる言葉あるんです、いい大臣だと。いい大臣だということは、軽く見られている部分もあるんです。同時に、人柄はいい人という意味も一割、二割あるかと思います。ただ、役人がえてして使う言葉で、この人はいい人だと言う場合は、大体軽く見ている証拠であります、私が昭和五十八年から初めて国会議員になってからの経験で。
     是非とも大臣、職務に忠実であることも事実だけれども、検察権力が人を捕まえるんです。同時に、間違って捕まえられた場合、人生おかしくなるんです。袴田さんの事件、そのとおりであります。私の事件も国策捜査という言葉が言われました。それは、権力を背景にしてやったという、当時、よくマスコミは使ったからであります。同時に、知の巨人と言われている佐藤優さんがこの言葉をよく発信したからであります。
     是非とも大臣、法務大臣です、検察を監督できる立場にあるんです。こういうあってはならない、なめんなよだとかテーブルをたたいて供述誘導する。しかも、結果として第一審で無罪ですよ。私は、しかるべき責任を取らせるべきだと思います、間違いを犯したんですから。
     我々政治家は何か間違いを起こせば必ず落選させられます、政策判断間違っても。役人は政策判断間違ったとしても、検察官はこういった作り話、シナリオ、ストーリーを作っていっても処分されない。私はこれは、世の中から見て公平じゃないと思うんです。
     大臣、検察改革しっかりやるのが今の大臣の使命だと、こう思いますけれども、これまでの何回かの私の検察に対する指摘を受けながらも、検察改革に対する大臣の決意を伺います。
  • 国務大臣(小泉龍司君)
     検察は、公平な捜査あるいは起訴、こういったものを不当な圧力を受けることなく実行しなきゃいけないというそういう制度の仕組みになっている余り、結局、検察を抑制できる、そういう権力が非常に弱いんだと思います。個別指揮権に踏み込んではいけないという形で、政治と、法務大臣と検察の間に非常に溝、距離がある。
     しかし、その中でなすべきことは、個別指揮権に踏み込まずに一般的な指揮権の中で、それは何も甘くするという意味ではありません、一般的な指揮権をしっかり敷衍して、そして、私は、まず高検の検事長に、八人にお会いして、検事総長にもお会いして、検察の改革、また実際にそういうことが起こっているという御指摘を多々いただいておりますから、そういうものをしっかりと伝え、反省を促し、また様々な考えを出してもらって、私も一緒に考えながら検察の改革をしっかりとこれから進めたいと思います。
  • 鈴木宗男君
     小泉大臣、その検察への指揮権、よく言いますけれども、検察庁法第十四条にこだわりますけれども、組織の長として、公務員としてのあるべき姿と、指導する立場にもあるんです。間違いを犯したら注意をする、これも大臣の仕事の一つなんです。大臣は、検察庁法第十四条をもってして個別案件には触れられない、当たり前のことです。それは事件です。事件でなくても、結果が出ました。人としてどうであるか、どうであったか、そういうことを指導するのも私は大臣の立場だと思っているんです。
     是非とも大臣、ここは、人間味のある小泉大臣でありますから、検察の名誉のためにも、適切な指導、注意、そして処分、こういったことは頭に入れて日々精励をいただきたいと、こう思います。
     この話は、参議院の場合は解散がありませんから、次の国会もその次の国会も私はびしっとやっていきますから、大臣が留任してくれることをこいねがって、私の質問を終わります。