令和6年12月18日 衆議院法務委員会 松下玲子議員による質問

袴田事件の検証、冤罪の防止

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  • 松下委員
     立憲民主党の松下玲子です。
     国会議員として初めての質問です。どうぞよろしくお願いいたします。
     鈴木大臣の所信の「はじめに」では、法務省に課された使命について述べられています。法務省がその任務を通じて、国民の安全、安心を守り、国民生活の基盤を維持整備するという重要な役割を担っていること、そして、その役割を果たすことで我が国の社会正義を実現し、さらには、一たび社会正義が失われた場合には、困難を抱える方々に手を差し伸べて社会正義が保たれた状態に戻すことが使命であるとおっしゃっています。崇高な役割と使命を果たすため、法務行政における具体的課題に文字どおり全身全霊で取り組んでまいりますと、その決意をおっしゃいました。
     では、社会正義とは、また正義とは何でしょうか。正しい社会を考える上で、正義論というのは実はとても重要な位置にあるのだと思います。何が正しいか。私の正義とあなたの正義は同じなのか違うのか。正義とは人によって異なるのか、社会によって、また時代によっても異なるのか。
     正義とは何かをじっくりと考えた上で、大臣のおっしゃる我が国の社会正義について考えてみたくもあるのですが、法務委員会の限られた質疑時間で正義論について議論することはできかねますので、私は、社会正義の定義を、社会の構成員である人々が平等に扱われ、社会全体の福祉の保障と法秩序の維持を実現すること、また、そのために社会の構成員である一人一人が持つべき考え、心の在り方や守るべき社会ルールと定義した上で、基本的人権を有する社会の人々が公平に扱われることが重要であり、そのためにも社会ルールが必要であるという前提で幾つか質問をさせていただきたいと思います。
     無罪である人を有罪にしてしまう冤罪は国家による最大の人権侵害の一つであり、冤罪のない社会を実現することこそが、まさに我が国の社会正義の実現につながると私は考えます。
     では、なぜ冤罪が起きるのか、二度と冤罪が起きないためにどうすべきと考えるか、お答えください。
  • 森本政府参考人
     お答えいたします。
     まず、冤罪の定義については法務省として特定の見解を有しているものではございませんけれども、当然のことながら、犯人でない方を処罰することがあってはならないことだというふうにまず認識しております。
     その上で、具体的事件において無罪判決が言い渡される理由は様々でございまして、犯人でない人を処罰するような事態が生ずる原因としてどのようなものがあるかということを一義的に申し上げることは困難であろうと思っております。
     他方で、一般論として申し上げますと、検察当局においては、無罪判決等があった場合には、当該事件における捜査、公判活動の問題点を検討して、必要に応じて検察官の間で問題点を共有し、反省すべき点は反省した上で、今後の捜査活動の教訓としているものと承知しております。
     そして、過去の無罪判決等におきましては、客観証拠の吟味が不十分であったこと、自白の信用性に対する吟味、検討が不十分であったことなどの指摘がなされてきたものと承知しており、これを受けまして、検察当局におきましては、客観証拠を適切に収集、分析すること、積極、消極を問わず十分に証拠を収集、把握し、冷静かつ多角的にその評価を行うこと、供述の任意性の確保その他必要な配慮をすることなどの基本に忠実な捜査、公判活動の適正な遂行に努めているものと承知しておりまして、引き続き、こうした基本に忠実な捜査、公判活動に努めていくことが肝要であるというふうに考えております。
  • 松下委員
     まず今、お答えの初めに冤罪、特定の定義を有していないというお答えでした。実は、今回、私自身、質問作成に当たって、過去の国会の議事録や質問主意書なども幾つか確認しました。冤罪に関しては法令用語にはないようで、どうも法務省は過去の事件含めて冤罪という言葉では認識をしたくはないのかなという感じがしてならないんですね。そして、この後、私、今日の質問では再審制度に関して質問していきたいと思いますので、そのためにも、冤罪についてのまずは見解を伺いたいと思いました。
     例えば、法務委員会で、過去、刑事局長が、冤罪という言葉の定義がどのように捉えたらいいか難しゅうございますので、お答えすることは困難でございますという答弁もありました。
     冤罪の定義を尋ねている質問主意書でも、冤罪という用語の定義めいたことを述べながらも、一般論、今も一般論とおっしゃいましたよね、それを実は定義とはせずに、法務省の作成している文書の中で冤罪という言葉を使ったのはやむにやまれず用いたんだというような前置きをした上で、政府としては、過去の個別具体的な事件について、それが冤罪に当たるか否かをお答えすることは困難であるという答えもありました。答えているようで答えていないんですね。
     ちなみに、私は、東京都人権啓発センターが発行している「TOKYO人権」第七十七号、「冤罪を生まない社会に必要なこと」として、村木厚子さんのインタビューの紹介を、確認をいたしました。その中では、冤罪は、憲法が保障する自由や名誉といった基本的人権を脅かす、深刻な人権侵害です、冤罪はなぜ起きたのか、そして、冤罪被害者を生み出さないために必要なことは何か、事件当時の状況と併せ、刑事司法制度と社会の問題点について、村木さんからお話を伺っているものでした。
     村木さん御自身が経験したとても苦しい冤罪事件について振り返り、冤罪を防ぐために見直すべき司法制度についても提言されています。事件を検証して再発防止策を考えることの重要さを教えてくれてもいます。今もお答えの中でも、再発防止ということもあったのかなと思います。
     冤罪の救済のために再審制度があると認識をしています。
     今年九月二十六日、静岡地裁で再審の結果、死刑が求刑されていた袴田巌さんが、長きにわたる裁判の末、無罪判決となりました。十月九日に無罪が確定をしています。死刑囚だった袴田さんの無罪が確定したことは本当によかったと思います。袴田巌さん御本人のみならず、ずっと長い間裁判を支えてこられた御家族、お姉様の秀子さん、支援者の皆様の喜びは、言葉では言い尽くせないものだと思います。
     でも、同時に、事件発生から五十八年という長きにわたり、そのほとんどを勾留されて自由もなく、命がいつ奪われるかも分からずに生きてこられた袴田さんを思うと、奪われた日々を思うと、悔しさと申し訳なさでいっぱいにもなります。
     袴田さんの事件を始めとして再審事件について調べていると、再審請求から再審開始までとてつもなく時間がかかっていることが分かりました。なぜすぐ再審が開始できないのか。請求から開始までの規定はないのか。これまでの再審無罪となった事件の反省から、その実態を調査し、ちゃんと検証しているのかどうか、とても疑問に思います。
     袴田事件に関して、今年十月八日に検事総長談話が公表されています。談話の最後には、今後の方針として、「最高検察庁としては、本件の再審請求手続がこのような長期間に及んだことなどにつき、所要の検証を行いたいと思っております。」とおっしゃっています。
     再審請求手続が長期間に及んだことや、冤罪に関して二度と起こさないためにも、検証は必要だと考えます。
     そこで、所要の検証はいつからどのように行うのか、国会や国民にどのように検証の経緯や結果をお伝えいただけるのか、お伺いします。
  • 森本政府参考人
     お答えいたします。
     御指摘の検証につきましては、現在、検察庁において所要の検討を進めているところであるというふうに承知しております。
     その具体的な公表時期等については、検察当局において今進行しているところでございますので、今後適切に検討した上で対処するものと思っております。
  • 松下委員
     検証すると検事総長御自身がおっしゃっているんですね。それを検討していると今お答えでしたけれども、何か、検証する、検討するって、全くちょっと中身が見えないですね。
     まず、今回のこの事件に関して、袴田さんの大切な人生、家族との穏やかで健やかな大切な日々を結果として奪ってしまった。冤罪によって一生を奪われたことの重さを鑑みると、「再審請求手続がこのような長期間に及んだことなどにつき、所要の検証を行いたい」、これはやはり残念でならないんですね。手続が長期間に及んだことだけではなくて、なぜこうした人権侵害が起きてしまったのか、捜査、公判、再審手続の過程について検証し、ちゃんと反省の下で、二度と起きないようなルール作りをすべきと私は考えます。

改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会の今後の予定、議題等

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  • 松下委員
     冤罪から質問を始めました。冤罪被害者でもある村木厚子さんも委員として参加をした法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会で約三年の議論を行った後、全会一致で取りまとめられた答申に基づいて、二〇一六年に刑事訴訟法等の一部を改正する法律が成立しています。そして、この刑事訴訟法等の一部を改正する法律には、衆参両院で附帯決議が採択されて、法律には附則もあります。この経緯の中で、現在、改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会が開催をされているのだと私は認識をしています。
     この在り方協議会開催から既に二年が経過をしていますが、在り方協議会の今後の予定と議題はどうなるのか、ゴールはどこに設定をしているのか、刑訴法改正時の附帯決議に込められた思いを重く受け止めて、再審における証拠開示の法制化や検察抗告の禁止などを議題として、スピード感を持って行い、結論を出すのか出さないのかを含めて取りまとめるべきと考えますが、いかがですか。
  • 森本政府参考人
     まず初めに、先ほどの私の答弁で、私の発音が悪くて、検証の検討ではなくて、検証を今進めているところ、検証は行っておりますという答弁をしたつもりで……(松下委員「検証はしているんですね」と呼ぶ)はい。今しておりまして、それがいつ取りまとまって発表されるかについては、今後、検察当局において適切に対処するというふうに申し上げました。
     大変失礼いたしました。
     その上で、お尋ねの在り方検討会議でございますが、これにつきましては、平成二十八年成立の刑事訴訟法等の一部改正法の附則で定められている検討に資するために、これまでに、まず第一段階目の議論としてと、第二段階目の議論が行われております。
     現在までに、先生御指摘の期間でありますけれども、十六回の議論をいただいておりまして、その中で、第一段階目の議論として、事務当局や構成員から配付資料などに基づく説明がなされるなどして実務における運用状況等が検討されたということがございまして、現在、第二段階目の議論として、それを前提にしまして更に検討すべき項目について議論が行われているという段階でございます。
     再審関係につきましては、これまでに四回にわたって協議が行われておりまして、その第二段階目の議論といたしまして、先月でございますが、令和六年十一月二十二日に開催された前回会議でも再審関係が議論され、次回会議におきましても再審に関する議論が行われる予定となっております。
     同協議会における協議の進め方などは、構成員の方々の御意見を踏まえつつ決すべきものであることなどから、現時点において今後のスケジュールあるいは議事内容について確固たることをお答えすることは困難ではございますが、法務省といたしましては、引き続き、同協議会におきまして充実した議論が行われるように尽力してまいりたいと考えております。
  • 松下委員
     検証を検討しているのではなくて、検証はしているんだというお答えでした。
     検証したことは、内部で検証するだけじゃなくて、ちゃんと国会で報告をすべきだと私は思います。そして、国民に知らせるべきだと思います。これだけ重い、人一人のほぼ生涯です、五十八年という、結果的に奪ってしまったことをやはりちゃんと重く受け止めて、なぜこうした事件が起きたのか、再審開始の手続が長かったことだけじゃなくて、その捜査の過程において違法性はなかったのか、なぜ冤罪を防ぐことができなかったのか、そうした視点でちゃんと検証を行って、そのことは広く国民にも伝えるべきだと私は思っていますので、しかるべき、やっていますというように聞こえましたが、やっているだけじゃなくて、ちゃんと報告をして、今後の再発防止策につなげていただきたいと思います。
     そして、今お答えのあったこの協議会なんですけれども、最も新しい十一月二十二日、再審法に関して議論したものが、議事録がまだ出ていないんですよ。私は、確認したいと思って、今、未定稿でも見れませんかと聞いてみたんですけれども、見れませんと言われて、見れていません。たしかこの前の回のも出ていないかな、二回議事録が出ていないような気がするんですけれども、議事録、二、三か月、発言者の確認が必要だということは承知しているんですけれども、できるだけ早く上げていただきたいと思います。
     そして、その上で、過去の議事録も確認をいたしました。構成員の中には、再審事件の具体的な個別事件について、ここで議論をすべきというような意見もあったかなと私は認識をしています。でも、実際に、この在り方協議会の中では、再審事件に関して、個別の事件、事例を検証しようというような内容にはなっていないですね。これはせっかくの協議会ですので、是非そこは検討していただきたい、議論をしていただきたいと思っています。
     そして、やはりこの先のゴールが見えていないんですね。二年がもう過ぎています、既に二年。この先どこまで議論を続けるのか、やはり、スピード感を持って議論を行って答申を出すのか、取りまとめをどういった形で出すのか、中間のまとめを出して国民の皆様にパブリックコメントを取るのか、そうしたことをスケジュール的に示していただきたいんですよ。構成員の皆様の中で話しているから、ちょっとそれは言えないというように、私、今、受け取れたんですけれども、ここでの合意点や結論を出すか出さないかも含めて取りまとめていただきたいと思うんですね。
     というのも、やはり法改正時の附則や附帯決議というのを私はとても重いと思っています。そして、附帯決議の中では、何か、協議会の名前が在り方協議会となっていて、改正訴訟法に関する刑事手続の在り方を協議するというふうには、もちろん在り方を協議しているんでしょうけれども、附則とか附帯決議の中では、二〇一六年の法改正時に積み残した課題、再審法のルールをどうするかとか、そうしたことをちゃんと法施行後に議論しようねということだと私は思っているんですね。積み残した課題があるからこそ協議会があって、その協議会を基にしっかりと今後どうすべきかというのをまずは提起をしていただきたいと思っています。

再審手続における検察の証拠全面開示、検察抗告の禁止等

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  • 松下委員
     過去の法務委員会や衆参の予算委員会における再審法の質疑を議事録等で確認をしてまいりました。超党派の議員が再審法を改正すべしという立場であるなと質疑を見て私は感じました。今のままでよいと思っている議員は、質疑を通じては一人もいらっしゃらないと私は思いました。
     冤罪がなぜ起きるかという質疑の中で、当時の、私が確認した議事録の中でですけれども、岸田総理も、再審請求の手続が迅速に進められるということは事案の真相に、真相を早期に明らかにする観点から重要であると認識いたしますとお答えになっているんですね。
     再審請求の手続をルール化すること、請求手続を迅速に進めることは、冤罪被害者の人権を守る観点からも、本当の犯人をちゃんと見つけて有罪にするという社会正義の観点からも重要であると私は考えます。
     そこで、御質問いたします。検察の証拠全面開示の必要性や検察抗告の禁止について見解を伺います。
  • 森本政府参考人
     お答えいたします。
     まず、前段の証拠開示の方でございますが、再審請求審において証拠開示制度を設けることについては、以前の法制審議会の部会においても議論がなされました。その際、再審請求審は通常審と手続構造が異なるため、通常審の証拠開示制度を転用することは整合しないでありますとか、再審請求審における証拠開示について一般的なルールを設けることは困難であるといった問題点が指摘されて、法整備がなされなかったという経緯がございますところ、今そうした指摘をも踏まえまして、十分な検討を要するものというふうに考えております。
     また、検察官の抗告の禁止につきましては、先生御指摘のとおり、再審手続の長期化を防ぐために、再審開始決定に対する検察官の抗告を禁止すべきであるとする意見がある一方で、仮に検察官による抗告を禁止すると、再審開始事由がないのに再審開始決定がなされた場合など、違法、不当な再審開始決定がなされた場合でも、これを是正することなく再審公判に進むことになり、確定判決が軽視されることになるなどの意見もあるものと承知しております。
     その上で、これらにつきましても、今御指摘の改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会において協議が行われているところでありまして、繰り返しになりますが、法務省としては、同協議会において充実した議論がなされるように尽力してまいりたいと考えております。
  • 松下委員
     私が確認した過去の答弁とほとんど一緒なんですけれども、今お答えいただいたのは。
     再審と通常審の違いみたいなのをおっしゃっているんですけれども、例えば、公判段階において証拠開示制度がなかった時代の事件について、再審段階でも弁護人が検察官の手持ち証拠にアクセスができないとすれば、それは誤った裁判、誤判だとか冤罪を、それを是正するというのは極めて難しいですよね。だからこそ、再審における証拠開示と抗告の禁止、これは法制化をしていくというのが喫緊の課題であると私は考えます。袴田巌さんの事件の再審無罪判決から今度こそ学ばなければいけないのではないでしょうか。
     同じ過ちを二度と繰り返さないためには、例えば独立の第三者委員会などを立ち上げて、袴田事件における誤判の原因や救済までの長期化の原因、再発防止策などについて、改めて事件全体を見直す公的検証が必要であると私は考えます。そして、その後に必要な法改正が速やかに行われる必要があるのではないでしょうか。誤りに学び、より公正な制度をつくることは、社会正義の実現につながるはずです。
     そこで、冤罪被害者の再審法改正を早期に実現する議員連盟というものがございます。今年三月に発足をしていて、私も、十月に初当選をいたしましたので、この議連に加入をいたしました。役員一覧、幹事長代理には鈴木馨祐と、大臣のお名前がございます。議連の名前どおりに、再審法改正を早期に実現すべきと考えますが、鈴木大臣のお考えを伺います。
  • 鈴木国務大臣
     ここは法務委員会の場ですから、法務大臣としての答弁になることは是非御理解をいただきたいと思います。
     法務大臣として、今の再審法の改正ということ、再審制度について当然様々な御意見、御議論がある、これは承知をしているところでございます。
     その上で、再審制度の在り方については、確定判決による法的安定性の要請、そして個々の事件における是正の必要性、この双方の考慮が必要だと思います。そういった中で、様々な角度から慎重かつ丁寧に再審法の改正ということについては検討していく必要があると考えております。
     これは、法務省の方で開催をしている改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会において今現在まさに協議が行われているところでありますので、私法務大臣としては、その協議の進み方というか、その議論をしっかりと見守っていきたいというふうに思っております。
  • 松下委員
     鈴木法務大臣が法務大臣であるということはもちろん認識をしています。でも、法務大臣であると同時に、一人の議員であるというのも事実だと思っています。その上で、今年三月にこの議連に入られているわけですよ。入っているだけじゃないんですよね、幹事長代理ですから、そのお立場もお持ちの上で、冤罪被害者のための再審法改正を早期に実現する、その思いを是非大臣としても発揮をしていただきたいと思います。
     今、在り方協議会を見守りますみたいな、最後の締めくくりでしたけれども、二年もたっているんですよ、二年です。長いですよ、二年。二年ずっと在り方を協議しているんですか。附則もあり、また附帯決議もあり、今まさに冤罪の被害者が、袴田さんは無罪が確定をしましたが、今なお再審請求の手続をしている方や冤罪の被害に苦しんでいる方もいると思うんですね。そうした方にとって、一分一秒でも惜しいはずなんです。それを是非御認識をいただきたいと思います。
     そして、やはりルールを作ることが大事だと思うんですね。確定判決の安定性って、これも何度も議事録でも見ましたけれども、確定判決の安定性を求めているのは誰でしょうか。国民は、誤った判決であれば正してほしい、そう求めているはずなんですね。安定性というのならば、決まったものはもう変えませんというふうに言っているように、一度決めたものは変えませんと言っているように思えて仕方ないんですね。
     でも、歴史的な経緯の中で、刑事訴訟法も改正されてきました。証拠や、またDNA鑑定など、録画とか録音とか、いろいろな、過去にはなかった手法も用いられてきています。袴田さんの事件に関して言うと、検察による捏造が、三点かな、確認をされています。事件の証拠が捏造されていて、それによって有罪、死刑が確定をされてしまっていたその人のことを思うと、これは本当にやりきれない思いでいっぱいです。
     私が今日の質問の最初にお話をした、大臣自身がこの所信の始めにお話をされている社会正義、そしてその社会正義が失われた場合、困難を抱える方々に手を差し伸べて社会正義が保たれた状態に戻すことが使命であるとおっしゃっているんですよ。
     まさに、冤罪の被害者というのは、社会正義が失われて、誤判という形によって、その誤判もいろいろな理由があると思います、今日もるるお答えもいただいておりますが、そうした中にあっては、誤った判決をしたくてしている人はいないはずなんです。みんなそれぞれの正義感で動いています。裁判官も検察も、弁護士もみんな正義感の中で動いていて、それでも人はやはり誤ってしまうものだ、どんなに完璧と思う人でも誤ることはある。だったら、その誤りを正すためのルールをみんなで作りませんか、それがまさにこの議連の名前にもなっている、冤罪被害者のための再審法改正、これを、私自身も一人の議員として、正しい社会、公正な社会、社会正義、それを実現する上でも取り組んでいきたいという思いでございます。
     是非、もうお答えは求めませんが、今、議連に入られて、幹事長代理でいらっしゃる鈴木大臣とこの法務委員会で御一緒できることを私はとてもうれしく思いますし、だからこそ、再審法改正実現に向けて共に取り組んでいきたいという思いを持っています。