袴田事件関する総長談話
(国会議事録URLはこちら)
- 鎌田委員
二〇二四年九月二十六日、昨年、静岡地裁で袴田巌さんに対して言い渡された無罪判決に対して、同じく昨年の十月八日、最高検発表の控訴断念の旨の検事総長談話と、それから、再審手続及び捜査、公判に関する検証結果を記載した報告書について伺っていきたいんですが、今日は資料としてお配りをしています。
その検事総長の談話についてですが、私は、下線を引いたところを特に御覧をいただきたいと思っております。この談話を読みますと、下線を引いたところからも明らかなんですけれども、検察庁が自ら上訴権放棄という判断によって無罪判決を確定させておきながら、裁判手続外で再審無罪判決を一方的に批判するのみならず、袴田巌さんの名誉を毀損しかねない内容になっています。私はそのように読めました。
本件の談話は、刑事司法の一翼を担う公益の代表者たる地位にある者として、極めて適切さを欠いたものであると言わざるを得ません。大臣の所感はいかがですか。 - 鈴木国務大臣
検察当局が検事総長談話を発表したこと、あるいはその内容など、御指摘の事案の判決への対応に関する事柄についてでございますけれども、個別事件における検察当局の活動に関わるものということでございますので、法務大臣としてそこに対しての所感を述べるということについては差し控えをさせていただきたいと思います。
その上で申し上げますと、御指摘の談話、これは検察当局が不控訴という判断を行った理由あるいは過程を説明するために発表したものでございます。そのために必要な範囲で判決内容の一部に言及をしたものであります。
検察当局におきましては、検事総長談話発表当初から、無罪判決を受け入れ、そしてこれを確定させる以上、今後、袴田さんが本件の犯人であるなどと申し上げることはない旨、対外的に述べるなどしております。袴田さんを犯人視する意図がないことを明らかにしていると私は承知をしております。
袴田事件等の死刑冤罪についての第三者による検証の必要性
(国会議事録URLはこちら)
- 鎌田委員
次に行きます。
政府参考人に伺いますけれども、今後の方針についてということで、この談話の結びのところで所要の検証を行うということで結ばれていまして、同じく昨年の十二月にその報告書が発表されていますが、その報告書の目的なんですけれども、作成の目的、再審請求手続の長期化の原因や捜査、公判上の問題点の検証に焦点を当てているというふうに読めますが、いかがでしょうか。イエスかノーでお答えください。 - 森本政府参考人
御指摘の検証につきましては、検察として袴田さんの無罪を受け入れた上で、逮捕から再審無罪が確定するまでに約五十八年もの年月がかかったことの問題点について検証したものであるというふうに理解しております。 - 鎌田委員
済みません、聞いたことにお答えいただきたいんですけれども、そして、イエスかノーでお答えいただきたいというふうにお願いしたんですが。
次に行きます。
死刑冤罪の原因究明、これは目的にしていませんよね。イエスかノーでお答えください。 - 森本政府参考人
冤罪究明という表現につきまして、それがどういうふうに受け取られるかというところについては必ずしも定かであるとは思いませんけれども、繰り返しになって恐縮ですが、逮捕から再審無罪が確定するまでに約五十八年もの年月がかかったことの問題点について検証したものというふうに理解しております。 - 鎌田委員
局長、済みませんが、ちゃんと答弁、私はストレートにお聞きしているつもりですから、ストレートにお答えをいただきたいと思います、昨日も打合せしたと思いますけれども。
次に伺います。
この報告書なんですが、独立した第三者を入れないで、内部限りで検証を行っているということは間違いないですよね。これもイエスかノーでお答えください。 - 森本政府参考人
お答えいたします。
検察部内で検証作業を行っております。 - 鎌田委員
私は、そこに大きな問題があると考えている一人なんです。この報告書は、結局、内部検証の域を超えられていないというふうに感じられます。それは逆に露呈してしまっている。結局、自分たちの身内で身内のことを検証して、そして、最も大事な、袴田さんを、人生全てを失うに等しいくらい苦しめたという死刑冤罪のそこの検証のところ、原因究明はなされていないということなんです。
その報告書の中を読みますと、特に第五と第六のところに、再審請求手続が長期化した要因ですとか捜査、公判等の問題点が挙げられているんですけれども、実験と鑑定、それから検察官抗告、再審公判における有罪立証、これらについては検察官の対応には問題なかったと結論づけていますよね。これは間違いないですか。イエスかノーでお答えください。 - 森本政府参考人
長い報告書でございますので、今の一言だけでまとめられるかというと、なかなか難しいところがございますが、問題点ももちろん指摘しつつ、先生が御指摘のような意味での問題点はなかったというふうに書いてあるところももちろん存在するものと承知しております。 - 鎌田委員
局長はもうちゃんと隅から隅までお読みいただいているということを前提にお聞きをしておりますので。
私は、先ほど申し上げた点については、検察官の対応には問題なかったというふうに厚いこの報告書に書かれていることは確認をいたしました。ただし、打合せの頻度、各種書面の提出時期については、この書きぶりを見ますと、裁判所が打合せの期日を三回しか開かないとか、裁判所が積極的に審理を促進する方策が十分でない、だから長期化なんだというふうに断定しているんですね。
それから、証拠開示については、弁護団が五回にわたって証拠開示命令の申立てを行ったけれども、当時の状況の下では検察官の対応に問題があったとは認められないと結論づけています。
そして、静岡地裁が職権発動せず、命令も勧告も行わなかった、弁護人が求めた証拠開示命令の中には関連する新証拠を提出しないまま行っているというふうに、検察は、裁判所や請求人、弁護人側に問題があったというような指摘がされているんです。
私は、この報告書全てを否定はしませんけれども、やはり身内が身内を検証しているからこういうふうになるんだろうなというふうな印象を拭えません。
それで、今度は大臣に伺います。
せめて第三者を入れて、死刑冤罪の原因究明も目的にした再検証の報告書、こういうものが必要だと思いますが、見解を伺います。 - 鈴木国務大臣
今御指摘のこの検証でありますけれども、本件の一連の刑事手続、これは訴訟当事者の一員として遂行してきた検察当局において、まさに個別事件における検察当局の活動を対象として行ったものであります。
まさにそういったことで、例えば第三者機関を入れることをやり直せとかそういった話になりますと、法務大臣である私が、その当否、まさに検察の活動の検証についての当否について言及するということになりますし、そうなれば、これは司法権と密接不可分の関係であります検察権、この行使に影響をまさに及ぼそうとしているようなことになります。あるいは、司法権の独立という観点からも、当然これは問題が生じてくると思います。
まさにそうした指摘につながりかねないことでありますので、私の立場として、こうしたお尋ねにお答えをすることについては、正直、これは適当ではないと私は考えておりますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思っております。 - 鎌田委員
移ります。
日本の死刑制度について、大臣、絞首刑について、いわゆる身体的苦痛について、法務省内で医学的見地から検証はなされているでしょうか。これは、イエスかノーでお答えいただきたいです。