袴田事件に関する報告書・総長談話等
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- 鈴木宗男君
法務大臣、副大臣、政務官、私が最後ですから、二十分お付き合いをいただきたいと思います。
最初に、法務大臣、私は、昨年の十二月十七あるいは十九日、さらに先般の委員会でも袴田事件について触れております。十二月十九日の私のこの質問に対して、法務大臣、検事総長は、もう判決が出て無罪になったわけですから謝りに行くべきでないかと、こうただしましたところ、大臣は、今、最高検察庁で調査をしているので、それをしっかりと見た上で様々な判断を行ってまいりたいと、こう答弁されております。大臣のお言葉ですよ。
十二月二十六日、その報告書出ました。これ、大臣、副大臣、政務官、読まれていますか。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
拝見しております。 - 副大臣(高村正大君)
概要を拝見しております。 - 大臣政務官(神田潤一君)
私も内容を拝見しております。 - 鈴木宗男君
法務大臣、この報告書を見て、無罪が確定した人に対して誠意ある報告書だと思いますか。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
この件、先般の委員会でもいろいろと御質問いただき、やり取りもさせていただきました。
そうした中で、今回のこの報告書については、検察の当局においてその経緯というものを検証した、そういった性質のものと承知をしております。その報告のどうという、そこについての評価ということを私の立場で、法務大臣として、これがいい悪い、正しい正しくない、どうするべきだということを言うことについて、私は抑制的であるべきだと考えておりますし、この場で御答弁することについては差し控えさせていただきたいと思います。 - 鈴木宗男君
法務大臣、じゃ、この報告書作成の段階で、途中、何回、最高検から事前協議なり説明なりあったんですか。報告書出てきて初めて知ったということですか。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
報告書の内容につきましては、この最高検について、本件の審査請求手続が長期間に及んだことについて等々ですね、国会の場でも質疑をいただいていた、そういった経緯があったということであります。
そういった中で、あえてこの場でこういう件ですからということで申し上げさせていただきますと、その件については、検証結果報告書の内容については刑事局を通じて事前に報告を受けております。受けております。 - 鈴木宗男君
法務大臣、この報告書を作成するに当たって、私は、逐一これでよろしいかという、法務大臣にですよ、相談があってしかるべきだと思います、行政組織として、行政組織として。また、相談するのが当然だと、こう思っていますよ。ですから、途中の経過等は受けたか受けてないかを聞いているんですよ。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
ここでもいろいろと御答弁させていただいておりますけれども、本件のその中身について、私がどうこうと指示をするとか、あるいは仮に事前に相談をされてここはこうじゃないかと言ったりする、これはまさに、それこそ、今、法務大臣、そこは検察指揮権でございますけれども、個々の事件についてのそうした指揮ということになりかねないことであります。
そうしたことで、私、報告は受けておりますけれども、相談という形ではございません。 - 鈴木宗男君
法務大臣、この検事総長談話は、判決に対して簡単に言えば文句付けているわけですよ。ここは、この委員会でも公になっていますね。私がそのことを指摘したら、あなたは、今報告書を作っている最中だから追って答えたい。二十六日にまとめて出した。これだって、皆さん、仕事納めの前の前の日ですからね。私はタイミング的にいかがなものかと、こう思いますよ。
そこで、法務大臣、これ、検事総長は、関係証拠を精査した結果、被告人が犯人であることの立証は可能でありと談話で言っている。分かりますね、これはもう明確に紙に残っておりますから。さらに、本判決が五点の衣類を捜査機関の捏造と断じたことには強い不満を抱かざるを得ませんとなっている。
ならば、何で抗告しなかったんですか、大臣。少なくとも大臣にも報告あったでしょう、抗告するかどうかというのは。この検事総長の談話からすれば、断じて、いわゆる容認できないということを言っているんですよ。この捏造と言われたことが。そこまで司法に反論しておきながらですよ、大臣、これどう受け止めます、この談話。当然だと思いますか。人の人生五十八年も縛っておいて、そして今、袴田さんは拘禁状態ですよ。全くこの報告書にはおわびもなければ反省もないんですよ、これ、委員の皆さん方。
結論は出ているわけですから、相済まなかったと言うのが当然じゃないですか、大臣。答えてください。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
まず、抗告についての判断ということで御答弁申し上げますと、私、就任が十一月の十一日でございました。それ以前に判断されたものでありますので、私が承知をしていたということは正直これはございません。(発言する者あり) - 委員長(若松謙維君)
答弁しています。 - 鈴木宗男君
行政の継続性はあるんじゃないんですか。大臣になる前の判断だからということで通りますか。じゃ、判決なんかでも、じゃ、報告書にしたって、あなたの前の話だと、通りますか。
委員長、しっかりそこは答弁させてくださいよ。答弁に答えるように、きちっと。 - 委員長(若松謙維君)
再度お願いいたします。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
誤解を招いたなら申し訳ありませんけれども、時間軸としてそういうことだということをまず申し上げた上で、この様々な検事総長談話におけるそうした文言について、ここで私が承知をしておるところについては、少なくとも袴田さんを、謝罪に赴いたところで申し上げれば、犯人視するつもりはないということも申し上げております。
その上で、私もこの場でも申し上げておりますけれども、長い期間にわたって法的な安定性がない、そこを欠く状況に置いてしまったということ、これは極めて長い時間でありましたから、そこについては改めておわびを申し上げたところでございます。
そして、そのことについて申し上げれば、やはり、こういった再審の在り方ということについて、やはりそうした様々な検討も必要だという、そういった認識の下で、今法制審においてこうしたことについての諮問ということを諮るということにしております。 - 鈴木宗男君
大臣、人の人生を変えてしまったんですよ。結果として、今、袴田さんはもう取り返しの付かない今生活なんですよ、拘禁症が進んで。それに対して、大臣、法と証拠に基づいて無罪となったんですよ。検察が再審についてしていなければ、抗告しなければ早く終わっていた。これはもうどの委員の先生方も理解するでしょう。結果として検察の主張は通らなかったわけですから、法務大臣と検事総長はおわびに行く、これは人の道として当然じゃないかと私は前回も言っているんですよ。
改めて、大臣、将来あるあなたの政治生活ですよ。政治家である前に一人の人間であってほしいと思っているんです。ここは、是非とも法務大臣と検事総長は袴田さんにおわびに行く。これは私は何回も言っていますけれども、是非とも、大臣、私は実行してもらいたいと思いますが、いかがですか。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
まず、その私の法務大臣の立場ということでまず申し上げたいと思いますが、その点については、検事総長についてどうするべき、その謝罪するべき、するべきではない、何について謝罪するべき、するべきではない、こういったことを申し上げることは、これは個別の事件のそうした私の所感ということにもなりかねませんし、また、様々なことにおいて、それぞれの個別事件に対しての予見を与えかねないことでありますので、その点については、私としては、こうすべきだと、そういったことを申し上げるつもりはございません。
その上で、私自身についてどうなんだという御指摘がございました。私自身、この国会の場でもそうですし、あるいは様々なまさにオンの場というところで、長時間にわたって、長期間にわたって、こうした状況、法的に不安定な状況ということに立たせてしまったということ、このことについてはおわびを申し上げているところでございます。その上で、これからどうするということについては、これは適切に判断をしてまいりたいと思っております。 - 鈴木宗男君
大臣、私は大臣のためにも、一日も早くおわびをしてもいいと思っております。
その上で、大臣、この検事総長談話について、大臣として、判決に不満を述べたり、立証が可能だと言っている、これは真っ当だと思いますか。あるいは、大臣としてこの表現は理解しますか。的確に答えてください。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
御質問の御趣旨、これは私も理解をいたします。
ただ、その上で、法務大臣としてこの場に立って答弁をさせていただいている状況であります。そのことで申し上げれば、個別の案件についての指揮権ということでいうと、それは検事総長通じてということでありますが、そこは私は、やはりこの法務大臣という職責上、そこは慎重であるべきだと私は考えております。
その上で、そうした中で、まさにこの談話について、そこの論評というか、私の評価を加えるということ、これは法務大臣の立場として、私は、そこは申し訳ありませんが、控えさせていただかなくてはいけないことではないかと思っております。 - 鈴木宗男君
じゃ、大臣、検察官が間違いを犯しても、大臣は、職責、立場上は答えないということでいいんですね。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
個々の検察官のそれぞれの証拠に基づいたそうした様々な積み重ねということ、そのことが当然、これは人ですから、それは一般論としていろいろなことがあり得るかもしれません。しかしながら、そのことについて、その案件について私がどうこうという論評を法務大臣という立場で公の場でするべきではない、そのことは私はそう考えております。
ただ、その一方で、やはり検察の活動、これは当然のことながら、国民の皆様方の信頼、信任の上にこれは成り立っておりますから、そこについてはしっかりと、これは一般論ということになってしまいますが、そういったことが頻繁に起こっていれば、当然そこは引き締めていかなくてはいけないということだと思いますし、そこはしっかりと信頼を回復をできるように、あるいは信頼を得られるように、一人一人の検察官がそうした思いで当たってほしい、そのことを私は常々申し上げてもおりますし、そういった思いでおります。 - 鈴木宗男君
法務大臣、今の大臣の答弁聞いていると、大阪の北川さんが婦女暴行しました。これも、このことについても、大臣としては注意もしなければ組織に対して黙っているという今の答弁になりますよ。それでいいんですね。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
今申し上げたのは、検察官がその職務として、検察官としての業務に、任に当たっているという趣旨での様々なことで申し上げたことでありまして、当然ながら、そういった不祥事であったりとか、あるいはそうした犯罪であったりとか、そういったことがあるとすれば、それは当然のことながら容認することではありません。 - 鈴木宗男君
法務委員会何回もありますから、私はこれからもこの件については取り上げてやっていきたいと思います。
近時の検察による不適切な取調べに対する法務大臣の見解
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- 鈴木宗男君
時間もあと三、四分ですから、端的にお尋ねします。
一般論として、取調べ検事が検察なめんなよという表現は適切と思うかどうか。一般論として、五十四分間にわたり取調べで机をたたいたりどなったりするのが適切かどうか、大臣の見解。さらに、一般論として、暴言、脅かし、威嚇があり、現場の検事が上司の検事に報告して、逮捕が待った方がいいと報告があっても、主任検事が逮捕し、起訴し、結果として無罪になった、こういうやり方はいいのかどうか。これを一般論としてお尋ねしますので、お答えください。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
私の立場で申し上げれば、具体的なことが想定されるようなことについて、これがいい悪いということを言うことは差し控えたいと思いますが、まさにそうした信用を失墜させるようなそういったことについては、私はふさわしくないと思っております。 - 鈴木宗男君
大臣、話がずれているのは、私は事実を言っているんですよ。そのことに対して大臣はどう思うかなんですよ。
役所で不祥事が起きたら、綱紀粛正で大臣は厳命しますよ。法務大臣はその資格あるんですよ、検事総長に言う資格ある。大阪のその婦女暴行事件にしても、こんなことがあってはならぬということは指揮したんですか。指揮というか、綱紀粛正は、正したんですか。
あるいは、こういう表現がある、私はどう考えても適切じゃないと思いますよ。これについて大臣は当然だと思っているような今の答弁ですよ。何でそれ一緒にできるんです。
私もあなたに正対して向き合っているんですから、もっときちっと私の言った趣旨のように答えてくださいよ。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
最初におっしゃっていた、例えばその、なめんなよとかですね、そういったのは、さすがにそれは、私は、駄目というかあり得ない話、あってはならない話だと思っております。それはもちろんの話であります。
ただ、具体的なことということで幾つか例示をいただきましたけれども、例えば、暴言という例えばフレーズをおっしゃいましたが、その暴言ということ、実際の本当の暴言であればそれは当然容認できませんけれども、そこは、当然そこは評価もあると思います。
これ私は、例えばそういった、なめんなよと言うとかあるいは机をたたくとか、そういったことというのはこれ当然ふさわしいことではないと思っておりますし、そこは当然ながら、そういったことがあってはならないこと、これは当然のことであると思っております。 - 鈴木宗男君
大臣、あってはならないならば、注意すべきじゃないですか、法務省の長として。
国民から誤解を受ける、そういったことやっちゃいけない。この委員会でも人質司法の話が再三出ていますよね。何も今日昨日始まった話じゃない。
ならば、大臣、もっと真摯に現実と向き合って、大臣としてきちっと組織として指導する、これは当たり前じゃないですか、大臣。それ徹底するということをきちっと話してください。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
この点につきましては、私も就任以来、前々法務大臣になります小泉法務大臣のときから高検の視察ということもして、現場現場でいろいろな状況というものを伺う、そういったことを通じて実態の把握というものに努めてまいりました。
その上で、当然のことながら、不適切なそういったことがないようにということで、私自身もそういったことは伝わるような形で、私自身行動していると考えております。 - 鈴木宗男君
大臣、是非とも、大臣まだ若いんですから、まだもう二十年、三十年は政治ができるわけですからね。私はやっぱり、国民の声というか、特に声なき声というものをしっかり受け止めてほしいと思います。
先般の法務委員会でのこのやり取りでも、相当な人がユーチューブで反応はしてくれていますよ。圧倒的に大臣の答弁に対しては否定的な人が多いですよ。圧倒的というか、まあ全部がと言っていいでしょう。私はばかにできない声だと思っているんです。
私自身も権力の真ん中にいるときは前しか見ていませんでした。しかし、やっぱり横、特に後ろを見る、これが大事だと思っています。是非とも大臣にはその頭づくりを、年上の者として、私はここは是非とも、大臣は将来あるわけですから、しっかり踏まえていただきたいなと、こう思っております。
またこの続きは次の委員会でもやりますので、森本局長、待っていてください。