令和7年4月8日 参議院法務委員会 鈴木宗男議員による質問

袴田事件に関する総長談話

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  • 鈴木宗男君
     今日も袴田さんの件についてお尋ねをします。
     大臣、確認ですけれども、袴田巖さんは無罪が確定されました。これは、法務省、検察庁がよく言う、法と証拠に基づいて無罪になったと理解してよろしいですね。法務大臣。
  • 国務大臣(鈴木馨祐君)
     個々の案件ということで、そこのところで私としてこの状況についての評価ということについては控えさせていただきたいと思いますが、当然に、それは法と証拠に基づいての司法判断が行われたと考えております。
  • 鈴木宗男君
     法務大臣、個々の案件じゃないんですよ。私は袴田事件と明確に限定しているんです。そして、法治国家日本としての最終判断がされました。それは無罪だったんですよ。これ、皆さんもう周知の事実なんですよ。だから、私は、法務省がよく言う、検察庁がよく言う、これは法と証拠に基づいて確定したんですねということを聞いているんですよ。それについて、そうですと答えるのが当たり前じゃないですか、今までの答弁からして。どうです、皆さん。それを個々の案件だとかと言うのは、何でそれ、ずらすんですか。しっかり答えてください。
  • 国務大臣(鈴木馨祐君)
     当然、司法の場では法と証拠に基づいてのそうした積み重ねによって判断がされていると考えておりますし、司法の場でそうした判断が行われたと考えております。
  • 鈴木宗男君
     法務大臣、検察庁が起訴しました。そして、最終的に抗告しなかったんですよ。これは、法治国家として当然、最終判断が出ました。それ、なぜ素直に正直に認めないんです。あなた方がよく言う、まさにこれは法と証拠に基づいての結論じゃないんですか。はっきりしてください、大臣。
  • 国務大臣(鈴木馨祐君)
     そこは、法と証拠に基づいて裁判所において判断をされた、司法において判断をされた結果だと考えております。
  • 鈴木宗男君
     それ、大臣、何で最初に言えないんです。ここをね、私はおかしいと思うんですよ。何も難しい話聞いているんじゃないんですから、事実を正直に答えることが一番だと思うんです。
     その上で、今の法と証拠に基づいて最終判決が確定した、大臣は言われました。これについて、検事総長談話というようなものが出されました。この検事総長談話、検察はよく法と証拠に基づいてと言われますけれども、この談話は法と証拠に基づいた談話だと大臣は受け止めますか。それとも、大臣はいかがお考えでしょうか、検事総長談話について。
  • 国務大臣(鈴木馨祐君)
     この件につきましては、そうした中でこの談話ということでありますけれども、その談話の中で申し上げれば、検察当局と……(発言する者あり)済みません。
  • 鈴木宗男君
     大臣、私は、あなたが大臣になってからこの件だけでもう五回触れております。大臣になったとき、最初からこの点について触れておりますから、難しい話じゃないんですよ。
     資料見たりじゃなくて、大臣の頭づくりで答えられる話ですから、何か私は細かい資料を出せなんて言っているんじゃないんですから。大臣の考えをしっかり述べれば、これは天下国家に周知するわけでありますから、お願いします。
  • 国務大臣(鈴木馨祐君)
     この談話の中でございますけれども、まさに検察当局としては法と証拠に基づいて様々な判断を行って、これ当然のことであろうと思います。
     そうした中で、この中で、これは、私はこの書いてあることということで申し上げるしかありませんけれども、本判決は、その理由中に多くの問題を含む到底承服できないものであり、控訴して上級審の判断を仰ぐべき内容であると思われます、しかしながら、再審請求審における司法判断がまちまちになったことなどにより、袴田さんが結果として相当な長期間にわたり法的地位が不安定な状況に置かれてきたことにも思いを致し、熟慮を重ねた結果、本判決につき検察が控訴し、その状況が継続することは相当ではないとの判断に至りましたと書かれております。
     これは、検察において法と証拠に当然基づいた上での談話と考えております。
  • 鈴木宗男君
     大臣、法と証拠に基づいての談話だと大臣は言われました。ならば、この談話の中に、立証は可能であると書いてあったり、五点の衣類については捜査機関の捏造と断じたことは強い不満を抱かざるを得ませんとなっています。法と証拠に基づいてと、大臣、今言われましたよ。ならば、法と証拠に基づいて出した判断に、なぜこういう表現になるか。思い上がりも私は甚だしいと思いますが、大臣、いかがです。
  • 国務大臣(鈴木馨祐君)
     まさに今申し上げましたように、これは裁判所においては、当然のことながら、法と証拠に基づいてそうした判断が下された、そのことを認識をしております。
     同時に、検事総長談話ということで、検事総長、検察当局においても、法と証拠に基づいてということで当然そうしたことを行っていると私としては考えております。
  • 鈴木宗男君
     大臣、この検察、検事総長談話、これからも私は大臣に大臣の考えを問いただしていきますけれども、大臣は十二月十九日の本委員会での答弁で、今検証中でありますから、その報告書が出てからまた答弁したいという趣旨の発言を十二月の十九日はしているんですよ。そして、二十六日にこの検証結果報告書というのが出ています。一言もこの中に、委員の皆さん、おわびもないんです。行き過ぎたという判断もしていないんです。何とこの報告書の最後の締めくくりには、裁判所の審理が迅速かつ適切に行われるよう真摯に対応していく所存でありますなんという、人ごとみたいな表現ですよ。そこに私はこの検察の思い上がりがあると思っています。

法務大臣による検察庁の指揮監督

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  • 鈴木宗男君
     同時に、これも、大臣、時間がありませんから確認しておきますが、検察庁は法務省の一行政組織であるということで間違いないですね。
  • 国務大臣(鈴木馨祐君)
     検察庁は法務省の一行政組織である、そのとおりでございます。
  • 鈴木宗男君
     法務大臣、ならば、大臣の指揮下にあることは明々であります。
     私はこれ再三この委員会で、大臣としての、人としての矜持なり、人としての心というものも触れてまいりました。大臣、率直に、この検事総長談話について、人間鈴木法務大臣として、この表現なり、あるいは、この検証結果報告は極めて法務省の姿勢、意向をきちっと国民に示している、そういうふうに受け止めるかどうか、お尋ねします。
  • 国務大臣(鈴木馨祐君)
     鈴木先生御承知のように、法務大臣、これは個々の事件についての指揮権ということで、様々なこれ当然議論がございますが、私、その指揮権の発動ということについて、私はそれはするべきではないと、ないと考えておりますということを申し上げた上で、その上で、やはりこうしたそれぞれの事件についての評価ということにもなります。
     現時点で、こうしたことへの評価ということを私の口から申し上げることは差し控えさせていただきたいと思っております。
  • 鈴木宗男君
     法務大臣、あなたの指揮下にある組織ですよ、それが出したんです。これは法務省が出したというものと国民は受け止めます。行政組織の一つなんですからね。当然、法務大臣も承認していると思っているんですよ。このことを、大臣、頭に入れなければいけませんよ。検察庁独自に出しているわけじゃないでしょう。あなたにも報告行っているわけですから。それはこの前の委員会でも森本局長も答えているわけですから、報告しているということは。ならば、検察庁の報告なんて、今の人ごとみたいな話はいけないんです。これからも、今日は時間ないですからね、まだ、もう二、三分で終わりますからやめておきますけど、この点、勘違いしないでください。
     あわせて、せっかく森本局長来ている、局長がよく言います司法権の独立、局長の言う司法権の独立って何でしょう。
  • 政府参考人(森本宏君)
     端的に申しますと、三権分立の下で、司法権は立法府からも行政府からも独立していなければならないというものを指しているというふうに考えております。
  • 鈴木宗男君
     森本局長、三権分立、三権分立とはどういうことを示しているか、分かりやすく説明してください。
  • 政府参考人(森本宏君)
     国の作用といたしまして、立法作用と、それから行政作用と司法作用というものが三権を成しておりまして、それぞれが独立しているということを意味し、司法権につきましては、今の立法権、それから行政権から独立しているということを意味しているというふうに、その三つが作用していることを三権分立と述べているものと承知しております。
  • 鈴木宗男君
     刑事局長、あなたは司法試験に受かっていますからね、それなりの専門的な勉強をしたと思うけれども、ここにいる先生方も、三権分立と聞かれたら大体こう答えると思います。
     これは、国会、内閣、裁判所、この三つが独立した機関として相互に抑制し合う、それぞれが独走しないために、まさにその民主主義、バランスを取ってやっていく、それが三権分立だ、一にも二にもそれは国民の権利を守るための仕組みなんだと、こう国会議員は答えると思いますよ。
     あなたの今の答弁じゃ、なっていないんです。今、私の言ったこの話は、参議院のホームページ、衆議院のホームページ、官邸のホームページに載っているんです。それ以上のものはないでしょう。
     委員長、大体こういう答弁するだけの、我々をばかにしているような話なんです。思い上がっているというか、基本的に基本のキがなっていないんですから。
     そこで、委員長、もう一分しかありませんから、これ委員の皆さんにもお願いしますけれども、この検事総長談話について法務大臣ははっきりした答弁がありませんから、この委員会に是非とも検事総長を私は呼んでいただきたい。これは、筆頭理事、是非とも検討をいただきたい。検事総長を呼ばないと、この談話の真意が分かりません、あるいは検証結果が議論できません。是非ともここは呼んでいただきたい。
     あわせて、検事総長は今までも国会には出てきておりますから、造船疑獄のときもあるし、そのほかにもたしか私の記憶ではもう一件あると思います。例がありますから、ここは是非とも与野党の理事さん方協議して検事総長を呼んでいただきたい。それが検察庁の名誉にも私はつながるし、信頼にもつながる、こう思いますので、是非ともこのことをお願いします。