令和7年5月20日 参議院法務委員会 鈴木宗男議員による質問

「冤罪」という言葉

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  • 鈴木宗男君
     法務大臣に、今回も袴田事件に関することについてお伺いをいたします。
     先般の委員会で法務大臣は、この冤罪という言葉について、法令上そうした定義を、そういったものを持っているものではございませんと答えられていますね。
     そこでお尋ねしますが、冤罪という言葉は、例えば広く一般に使われていますね。これは、法務大臣、お認めになりますね。
  • 国務大臣(鈴木馨祐君)
     社会一般において冤罪という言葉、これが使われているということについては認識を当然してございます。
  • 鈴木宗男君
     法務大臣、広辞苑を開くと、冤罪とは無実の罪、ぬれぎぬとなっていますね。ですから、テレビでも新聞でも雑誌でも、ここにおられる委員会の委員の先生方も、袴田事件は冤罪だったという共通の認識があると思うんです。
     これ、法務省において、この言葉の定義を持たないと、法令上、定義、そういったものを持っているものではございませんと言うんですけれども、法律以前の問題として、大臣、冤罪という言葉があって、広く知られているし、また国民は理解をしている。ならば、なぜ、大臣、冤罪という言葉を意図的に避けるんですか。それを教えてください。
  • 国務大臣(鈴木馨祐君)
     まず、これは以前、先生からの質問主意書でも提出をされているところの御答弁でも申し上げておりますが、お尋ねの冤罪については、法令上の用語でなく、政府として冤罪の定義について特定の見解を有しているものではない、そのように御答弁をしていると承知をしております。
     その上で、まさにこのお尋ね、冤罪という言葉、これ法令上の用語ではないということから、まさにその意味、内容、これ必ずしも一義的なものではないと、一義的に明らかなものではないということで、私どもとして、法務省として冤罪の定義についての見解を有しているということではないと、そういった趣旨で申し上げております。
  • 鈴木宗男君
     これ、委員の先生方も、冤罪という言葉がこれだけ広く国民が理解をして使っている中で、今の法務大臣の答弁が国民に伝わるでしょうか。思い上がりというか、上から目線の判断ではないんでしょうか。
     冤罪は、大臣、冤罪だと思いますが、どうですか。端的に答えてください。
  • 国務大臣(鈴木馨祐君)
     繰り返しになりますが、法務省としてそこに、この用語について、定義について特定の見解を有しているということではないということでございます。
     その上で、先ほど広辞苑ということもございましたが、無実の罪、ぬれぎぬ、そのように広辞苑には書かれておりますし、一般的にそのように冤罪という言葉が使われているということも、これは当然のことながら認識をしておりますが、私どもとして、法令上、法務省としてその見解というものを有しているわけではないということを申し添えさせていただきたいと思います。
  • 鈴木宗男君
     じゃ、法務大臣、過去の法務大臣で、冤罪という表現で答弁したり、あるいは冤罪とはこういうものだという例を出して大臣が答弁したという例はないという理解でいいんですか。それをはっきりさせてください。
  • 国務大臣(鈴木馨祐君)
     その点についての御通告もいただいていないものですから、法務大臣、過去の答弁、これを一つ一つ私どもとして精査をしていない状況でありますので、そこについて直ちにここで正確なお答えをするということは、大変申し訳ございませんが、困難であることを御理解いただきたいと思います。
  • 鈴木宗男君
     これ、刑事局長もいるから調べてもらったら分かるけれども、法務大臣、過去の大臣では何人も冤罪という表現しておりますよ。鳩山邦夫法務大臣がそうであります。千葉景子法務大臣がそうであります。柳田法務大臣もそうであります。過去の法務大臣は冤罪という表現ちゃんと使っていますよ。千葉法務大臣に至っては、私はよく冤罪という言葉を使わせていただいておりますと明快にこの委員会で言っておりますよ。
     これ、事務方だって、秘書官、この前も、あなた、認証官の数間違って大臣に教えているけれども、十二人を十人なんて言っているけれども、しっかりした、あなた方、鈴木宗男が袴田事件でこの冤罪の質問あるというのは分かっているんですから、事前にレクチャーしておくのは当たり前じゃないですか。
     森本局長、あなたの先輩局長で冤罪について触れている局長おりますか、おりませんか。
  • 政府参考人(森本宏君)
     済みません、大臣と重なって恐縮でございますが、歴代法務大臣あるいは歴代の刑事局長の中で、それぞれどのような答弁したか、済みません、今つまびらかに全部把握しているわけではございませんので、申し訳ございません。
  • 鈴木宗男君
     袴田事件がこれだけ社会問題になっているとき、過去の冤罪について認識がないだけでも、皆さん、「検察の理念」というのが全く生かされていませんね。これは委員の先生方もしっかり私は認識をいただきたいと思います。
     森本局長、これは、二〇〇六年の五月三十日のこの法務委員会で荒井正吾委員の質問に対して、冤罪について、社会生活上の用語例としては、冤罪とは、実際に罪を犯した真犯人ではないのに刑事訴訟で有罪とされることをいうのが多いのではないかとちゃんと答えていますよ。
     あと、あなたも知っているでしょう。当時の西川克行さんなんかもこの二〇一〇年の答弁で、特に客観的な証拠、それと供述との食い違い、そのようなものを子細に見ていけば多くの冤罪事件は防げるのではないかという感じを今現在非常に強く持っていますと。局長自身が冤罪事件と言っているんですよ。同時に例も出しています、この西川局長は。例えば富山で起きたいわゆる冤罪事件もございましたし、それから足利事件、これらについては既に検証がなされていて、その都度指摘されている事項であるということでございます。冤罪事件と使っているんですよ、局長が。あるいは大臣が。言葉としても使っているんですよ。
     法務大臣、今私が言ったこの事例、申し上げましたけれども、これは議事録に残っていますから、これを受けて、大臣、どういう認識ですか。冤罪という言葉がこれだけ広く、歴代法務大臣なり、さらにはほかの法務大臣も使っていますけれども、時間がないから言いませんけど、局長も使っているにもかかわらず、それは定義がないだとか、言葉の遊びをしているだけでも、国民をばかにしている、国会をばかにしていると思いませんか、大臣。
     私は、前回も今回も相当抑制的に言っていますけど、はらわた煮え返る思いですよ、国民をばかにするなという意味で。しかも、人の人生を台なしにしておきながら、一切の反省だとかおわびがないというその姿勢。ふざけた話です。
     答えてください、大臣、明快に。
  • 国務大臣(鈴木馨祐君)
     まずもって、袴田さんについては、私も再三この場で申し上げておりますけれども、やはり、もう大変、人生の大半の時間、非常にそうした不安な状況にずっとあられ続けたこと、そこについては大変申し訳ないと思っておりますということについてはまず申し上げさせていただきたいと思います。
     その上で、冤罪という言葉ということでありますけれども、この委員会でも、答弁の中でも申し上げておりますけれども、その個別の事件についての評価ということにつながり得ることについては、私はここは、法務大臣の立場で申し上げることについては、そこは差し控えをさせていただきたい、そこのところは私の一つのこれは筋として御理解をいただきたいと思います。
     その上で、無罪となったそうした案件、これがあるということ、これは私も当然のことながら承知をしております。そして、冤罪という言葉が使われているということ、これも承知をしておりますが、冤罪という言葉、これいろいろな意味がありますので、我々として、法令上、政府としてその用語についての見解を持っているということではない、このことは是非御理解を賜りたいと思っております。
  • 鈴木宗男君
     法務大臣、世の中、人間社会、法律を守る、法治国家としてこれ当然ですよ。それ以上に、あなたも私も含めて、もっと尊いものがある。それは、信義だとか道義だとか倫理じゃないですか。なぜそういったことが頭をよぎらないんでしょうか。
     そして、法務大臣、冤罪という定義はないと言いながら、法務省のホームページ見ていると、皆さん、今日、森元大臣が、森先生が人質司法触れましたね。人質司法という言葉は広辞苑にも出てきません。広辞苑にも出てこない言葉が法務省のホームページに載っているんですよ、面白いもので。一から十四までのクエスチョンで答えていますよ。日本の刑事司法は人質司法ではないですかという問いに対して、人質司法との表現は、我が国の刑事司法制度について、被疑者、被告人が否認又は黙秘している限り長期間勾留し、保釈を容易に認めないことにより自白を迫るものとなっているなどと批判し、そのように称するものと理解していますと。
     これ、広辞苑にも載っていない言葉を、法務省、ホームページに載せているんですよ。なのに、なぜ冤罪という言葉が、定義がないだとか言えるんです、大臣。大臣、ホームページ見ています、法務省の。これ今、人質司法も問題になっているんじゃないんですか。今日の森委員の質問なんかも私は的確な質問だと思いますよ、経験にあった。なのに、冤罪、これだけ広く使われている冤罪が、なぜ定義がないだとか、言葉の遊びしているんです、大臣。もっと人間として正直であるべきじゃないですか。
     同時に、あなた政治家なんですから、官僚の作ったペーパーで言うべき話じゃないと思いますよ。今求められているのは、人としての言葉なんですよ。この点、法務大臣であると同時に、一人の人としてしっかり答えてください。
  • 国務大臣(鈴木馨祐君)
     私は、この参議院の場に、法務委員会の場に立たせていただいているのは、これはまさに政府を代表する立場として、法務省を代表する立場としてここに立たせていただいております。まさに私のここでの答弁は法務大臣としての答弁ということにならざるを得ない、そのことは是非御理解をいただきたいと思います。
     私も、人としてということで言いたいこともそれはたくさんありますけれども、そこはこの場で、人としてという発言をする場ではなく、私はあくまで法務大臣として発言をする場であるというふうに理解をしておりますので、その点、是非御理解をいただきたいと思います。
  • 鈴木宗男君
     大臣、私は、政治家である前に一人の人間であるべきだというのが基本的な姿勢でおります。私は絶えずそういう考えでやってきました。あなたがたまたま今法務大臣というような任ですよ。これも、何もあなたが希望しているポストじゃない、たまたま任命されてのポストですよ。職務に忠実であることは当然です。しかし、もっと、社会の一般、広く国民の声だとか思いというものを受け止めてやるのが本来法務大臣の姿勢ではないですか。
     あなたはよく、法務大臣としてはこうだと言う。じゃ、法務大臣として、冤罪という定義がないでこれからも通ると思いますか。あなたもこれから何十年と政治家やると思いますよ。私の言い分が正しかったか、あなたが官僚から言われたとおり言ってきたのが正しかったか、時間の問題で私はけり付くと思っていますから。次の選挙、七月の参議院選挙でも、この冤罪というのは私は一つのテーマになると思っていますから。どうか、大臣、信念を持って、さらに人として、同時に法務大臣として間違いない答弁をしてください。
  • 国務大臣(鈴木馨祐君)
     ここでの様々なやり取りをさせていただく中で、やはりこの法務大臣という立場、私、極めてこれは大変、それこそ三権分立の話も含めて、極めて重く微妙な立場にあると思っております。
     そういった中で、やはり個別の事件の色合いということにつながりかねないこと、評価につながりかねないこと、そういったことは、ここで申し上げることについて、私はやはり法務大臣としてするべきではないと考えております。
     その上で、冤罪という言葉がどうなのか。これは、我々としても、無罪という判決が出た事件というものがある、そのことは当然のことながら承知をしておりますし、袴田さんの事件については、そうした、長い間本当にそうした申し訳ないことがあった、このことについてはこの場でも申し上げているとおりであります。
     その上で、この冤罪という言葉の在り方、これは様々御議論もいただきました。私はあくまで、委員の立場ではなくて、ここは政府の立場として申し上げておりますので、その点は是非御理解を賜りますと幸いでございます。
  • 委員長(若松謙維君)
     時間が来ております。
  • 鈴木宗男君
     またあさってやりますから、期待をしていただきたいと思います。
     終わります。