【学生ボランティア(甲南大学)】人質司法サバイバー国会に参加しました!

参議院議員会館で2026年3月26日に開催された、人質司法サバイバー国会に参加しました。

日本の刑事手続において、被疑者や被告人が罪を認めない場合に、長期間の身体拘束を行い、自白を無理やり引き出すあり方を「人質司法」と呼びます。この人質司法を解消することを目的に、国会議員、冤罪被害者、弁護士などが集まり、実態を訴えて制度改正を求める場が人質司法サバイバー国会です。

3回目となる今回は、大川原化工機事件のほか、今西事件、角川人質司法訴訟、江口大和さんなどのえん罪被害者や家族たちが、当時の出来事や思いを語りました。警察・検察、マスコミひいては世間が「犯罪者」という色眼鏡で追い詰めてくる、やっていないと言えば勾留が長くなり、自由や人権が制限される。大川原化工機事件の冤罪被害者の一人の相嶋静夫さんは、逮捕・勾留中に容体が悪化したにも関わらず、幾度もの保釈請求は許されず、入院はできたものの適切な治療を受けることができずに亡くなりました。国家権力が人生も命も奪ったとも言わざるを得ない状況です。

えん罪被害者の方々は、「突然の出来事でそれまでの日常が一変し、今まで当たり前のようにあった自由や権利がなくなった。被害に遭われた方々はその前までは普通に家族との時間を過ごしていたが、ある日を境に失われた。このようなことは現実に起きていて、決して対岸の火事ではなく、だれにでも降りかかる。どうか現状を知ってほしい」、と語られました。

このような出来事が起きている原因は、法律の不備にあります。だからこそ、人質司法をなくすために法律の改正を目指したり、少しでも多くの人に知ってもらえるように多くの議員や弁護士の先生が行動しています。

マスコミは一般的に、事件が起こった時には大きく取り上げて、それ以降の動向はあまり報道しないという流れが多いと思いますが、今回から、「人質司法報道賞」という新しい取り組みも行われました。これは、人質司法の実態や冤罪の構造を明らかにした優れた報道を称えるために設立した賞です。今回は大川原化工機事件を調査し報道したNHKの石原大史さんと毎日新聞の遠藤浩二さんが選ばれました。これからもこのような報道が続いてほしいと思いました。

えん罪は国家による最大の人権侵害と呼ばれています。一般の人は何もしていないのに逮捕されたという恐怖や焦燥、長期間身体拘束されているというストレスから、まともな判断が下せない状況で、解放されたいという思いで自白してしまいます。人質司法はえん罪を生み出してしまう大きな要因として国内外からの批判が多くあります。法改正がまだされていない現状では、一人一人が声を上げたり、行動したりして、少しでも多くの人に知ってもらうことが重要と考えます。少しでも人質司法について知ってもらえることができれば、自分がえん罪をかけられてしまった時の対処を知ることができたり、えん罪被害者への支援の輪が広がったりしていくと考えられます。だから、人質司法は自分には関係ないと無視するのではなく、少しでも自分や自分の大切な人たちを守るという気持ちで現状を知って、行動してほしいと思っています。

イベントでは、多くの人が人質司法問題だけでなく、現在、国会で法改正が争点となっている再審法の問題についても発言されました。再審法は、誤判による有罪判決から冤罪被害者を救済することを目的にしている制度です。しかし、現在の再審法は十分とは言えず、証拠開示や、再審開始決定に対する検察官の抗告、裁判の期日設定などでえん罪被害者や弁護側にとって時間のかかる不公平なものとなっています。そのため、現在、法制審案による再審法改正が議論されています。しかし、法制審案は今の問題ある再審法よりも改悪と言われても仕方がないような、現状を改善できていない部分が多数あります。そのため、えん罪救済に関わってきた人たちは、国会議員による立法案で再審法を改正することを目指しています。現在の再審法でさえ、えん罪被害者を救済するためには、多大な労力と時間がかかっています。改悪されてしまえば、えん罪被害者を救済することがさらに難しくなる危険が指摘されています。だからこそ、えん罪に関わってきた人たちが議員立法案による再審法改正を目指しています。少しでも多くの人にこの問題を知ってもらい、少しでも大きな世論として国会へ届き、再審法改正の後押しができればと思っています。このレポートがそのひとつのきっかけになれれば幸いと思っています。これ以上、えん罪によって人生が無茶苦茶になる人がいなくなるように。【甲南大学3回生 貴志 純宇】

人質司法サバイバー国会を通じて、一般市民やメディアの方々と「人質司法」の問題を共有できたことは、非常に貴重な経験となりました。
いつもは冤罪被害者の方々や弁護士の方々とお会いする機会が多いですが、今回のイベントでは特に、実際に法律をつくる国会議員の方々の意見を直接伺うことができた点が印象に残りました。

議員の言葉からは、現行の法制度の問題点を認識し、法改正に向けて取り組もうとする強い意志が感じられました。「人質司法」の問題を個別の事例だけの問題としてではなく、制度的な歪みからなる社会全体で解決すべき課題として捉えることが重要だと学びました。

私が特に印象に残ったセッションは「家族と人質司法」のセッションです。普段の活動で当事者の方のお話を聞く機会はありますが、その家族の方のお話を当時を振り返りながらお聞きする機会はこれまで多くはなかったので[SK1.1]当事者だけでなく、ご家族も死を考えてしまうほど追い詰められたり、検察官が望む供述を取調べで引き出す為に家族との面会を利用されてしまうのではと不安に感じたりしたというお話を聞き、人質司法が冤罪被害者家族にも非常に大きな負担を強いていることを学びました。そして問題の根本的解決を図るためには、立法的なアプローチが不可欠であると強く実感することができました。

本イベントへの参加は、「人質司法」について様々な面から考察する機会となり、今後の自身の活動においても重要な学びを得る機会となりました。【甲南大学3回生・立岩ちさと】

参議院議員会館の講堂で開催された、第3回人質司法サバイバー国会に参加しました。

当日は人質司法の犠牲となった当事者の方や、そのご家族だけでなく、国会議員の方も参加されていて、様々な立場の方の話を聞くことができました。

特にご家族の話を聞く中で、当事者の方と同じくらいご家族にも人質司法により大きな負担がかかっているということを学びました。逮捕された当事者のご家族は、報道を通してしか情報を得ることができません。メディアの流す情報も捜査機関が発表したり、捜査機関の関係者がメディアの関係者に直接渡したりしたものなど限られたものしかありません。相嶋さんのご家族がおっしゃっていたように、当事者に一番近い家族は情報を持つべきなのに情報を得ることができないということは、おかしいと感じました。

人質司法だけでなく、再審法改正についてもスピーチにたびたび出てきました。再審法改正に向けて答申を行った法制審議会の案では、再審法は改悪の方に向かっています。しかし今回参加してくださった国会議員の方々の多くも再審法の改正が改悪にならないために、議員立法に向けて動いてくださっています。現在法制審が終了し、法制審案に基づいた立法案を法務省が作成中です。この流れの中でも議連からの法案を提出し、再審法が議員立法によって改正されてほしいと思いました。【甲南大学3年生・関根舞弥】