【学生ボランティア(甲南大学)】立命館大での映画『オレの記念日』上映会と金聖雄監督の講演会に参加しました!

立命館大学衣笠キャンパスにて行われた映画『オレの記念日』上映会及び本作の監督である金聖雄監督の講演会に参加しました。冒頭には立命館大学のIPJ学生ボランティアの方からIPJの概要及び映画の紹介がされました。

本作品は「布川事件」再審無罪判決の前年からの12年間を記録した桜井昌司さんのドキュメンタリー映画です。布川事件とは、1967年に茨城県で発生した強盗殺人事件です。この事件では警察は決定的な証拠もなく、曖昧な目撃証言をもとに桜井昌司さんを窃盗容疑、杉山卓男さんを暴力行為法違反容疑で別件逮捕しました。その後、密室での長時間の取り調べによって得た自白を証拠とし、2人は本件の強盗殺人犯として起訴されました。事件当時は20歳であった桜井さんは殺人犯とされ、1978年に無期懲役が確定した後は29年間を獄中にて過ごしました。仮釈放の後に行った2度の再審請求後、2009年に再審開始が決定、2011年5月24日に無罪判決が確定、その後に桜井さんが提訴した国家賠償請求では国と茨城県を相手に完全勝訴の判決を掴んでいます。これらの判決を掴んだ桜井さんは、昨年8月23日に他界されました。心よりご冥福をお祈りします。

桜井さんは、獄中から手紙や詩、俳句や日記等で真実を伝え続ける活動を行っていました。作品内でも多くの詩や歌を通してえん罪を伝える姿が描かれています。作詞した詩の中では刑務作業を「仕事」と表現するなど、何度も「誰にも負けない」という言葉が用いられていました。作品内では桜井さんがこれらの詩を読み上げている姿が映し出されています。この言葉を桜井さんが読み上げている際には、当時獄中にいて不安であっただろうに、自分自身を鼓舞し強く生きようとする姿、獄中内で「明るく楽しく生きる。『あえて』そうしよう」という言葉は、決意が表れている力強い言葉だと感じました。また、映画作成中であった2017年に末期の直腸がんを診断された後も、甲南大学でのIPJ学生ボランティア主催の模擬裁判の傍聴・コメントや、袴田事件についての情報発信を自身がパーソナリティーであるラジオにて発信活動を行われていました。えん罪について桜井さんが世間や人々に情報発信する姿が本作品ではいきいきと描かれていました。

私自身、特に感銘を受けたのは東住吉事件のえん罪被害者である青木恵子さんが「希望を貰えた。忘れることができない。」と桜井さんに対して述べた姿を見た際です。桜井さんは、無罪判決を勝ち取った後も、東住吉事件の裁判傍聴に訪れ、同じ境遇にある青木さんと話をしていました。最終的には青木さんは2016年に再審無罪判決を勝ち取りました。映画の中で描かれた二人はとても仲が良いように見え、青木さんは桜井さんに励まされているように思えました。この姿を見た際に桜井さんは本当に真っすぐで芯のある強い人、光のような人なのだと感じました。無期懲役で刑務所にいる間も、桜井さんは「娑婆なんてないし、光なんてない。そんな中でも足元を見て今日一日をどう生きるのか。一日一日を生きて前を向いて生きるしかない。」と感じていたと言います。このような自身の考えがあるからこそ金監督も仰っていた『桜井さんはスター性、カリスマ性のある人』なのではないでしょうか。

上映後の金監督の講演では、えん罪が作られる原因として警察・検察や裁判所の「組織論」が動いていることだけでなく、マスコミの報道の仕方や、情報の受け手である私たちが情報を鵜呑みにしてしまう問題点がある事も挙げられました。今もなお、えん罪事件は残り続けており被害を訴えている方は数多くいらっしゃいます。その一人一人に人生があって、失われた時間があって、「伝えられなかった」或いは「伝わらなかった」想いがあります。その事実から目を背けずにどのように向き合っていくのかという姿勢が問われています。

改めて今回このような場を作ってくださった金聖雄監督、立命館大学IPJ学生ボランティアの方に深く感謝申し上げます。

【甲南大学法学部1回生・京本真凜】

*この記事は、甲南大学地域連携センターに掲載したレポートを、許可を得て修正のうえ転載したものです。