【学生ボランティア(甲南大学)】名古屋市市政資料館と名古屋地裁に行きました!

甲南大学学生ボランティアは、9月中旬に名古屋に総勢27名で研修に行きました。レポートをアップしていきます。

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名古屋研修の一環で、名古屋市市政資料館を訪れました。

建物は、大正11年に名古屋控訴院・地方裁判所・区裁判所として建設され、赤いレンガと白い花崗岩からなるネオ・バロック様式の外観は人目を引く華やかさがあり、裁判所としての荘厳さも感じられるつくりでした。現存する最古の控訴院の建築ということもあり、歴史的背景やその建築美を後世に残すため、平成元年からは「名古屋市市政資料館」として整備・保存されています。大正11年から裁判所として使用されていた建物ということもあり、明治憲法下の当時の法廷が再現されていました。

法廷の展示室に入って一番に目についたのは、着席位置です。現在の法廷では、裁判官が法壇の上に着席し、弁護人や検察官は法壇から少し下がった位置に対面する形で着席するのに対して、当時の法廷では、法壇の上に左から検察官、3人の裁判官、書記官が着席していました。再現された法廷で、被告人のあたりから周囲を見渡してみたところ、高い位置に着席する裁判官や検察官から圧迫感を感じました。現在の法廷と以前の法廷を比較すると、現在の法廷は検察官と被告人が対等であることが、法廷のつくりからも物理的に認識することができますが、以前の法廷は訴訟手続の当事者の一方である検察官が裁判官の隣にいて、被告人より一段高い位置に着席することから、公平な裁判ができていたのか疑問に思いました。

次に特徴的なものとして、服装があげられます。現在は裁判官と書記官が模様のない黒い法服を着ますが、当時は裁判官、書記官に加えて、検察官、弁護人も黒を基調とした法服、法冠を着用していました。裁判官と検察官の法服には、襟と胸に唐草模様と桐の刺繍が施されており、裁判官の刺繍は紫色、検察官の刺繍は緋色、弁護人の刺繍は襟と胸に白色の唐草模様、書記には襟のみに深緑色の唐草模様の刺繍が施された法服を着用していました。法廷内で被告人以外の人が全員法服を着用し、裁判を進めるという当時の状況を想像すると、きっと被告人には相当の疎外感や、孤独感があったのではないかと感じました。一方で刑事裁判というものが、被告人や周りの人の人生にも影響を及ぼすものなので、間違いが起きないように刑事裁判にかかわる者を、律するためにあえて法廷内における服装を設けているようにも感じましたが、被告人を委縮させるような当時の法廷には、まるで被告人が訴訟手続きの客体であるかのような違和感がありました。

私は、名古屋市市政資料館を訪れて、当時の法廷を見て現在との違いを学ぶことができました。また、まだまだ知らないことが多くあったので、これからも刑事司法について理解を深めたいと感じました。
[甲南大学3回生・TF]

名古屋研修2日目に市政資料館を訪れました。

この建物は国の重要文化財に指定されている旧名古屋控訴院庁舎で、ネオ・バロック様式を取り入れた歴史的建築となっています。

館内に入ってすぐの中央階段室は、左右対称の大きな階段と鮮やかなステンドグラスが特徴的で、公正な裁判や公明正大を象徴する意匠が込められているなど、建物が裁判所として使われていた当時の雰囲気を感じることができました。

NHK連続テレビ小説「虎に翼」のロケ地でもあったため、実際にその場に立つとドラマの世界と重なり、嬉しさもありました。さらに館内には名古屋控訴院に関する資料や行政の歴史の記録が展示されており、また、当時の法廷が復原されていたことから、現在の法廷との違いを具体的に知ることができました。展示を通して、単なる歴史的建物としてだけでなく、法と社会の関わりを学ぶ場でもあると感じました。

資料館の後には、名古屋地裁を訪れ、裁判員裁判を傍聴しました。裁判所の館内は木の温かみを感じる内装と柔らかな照明が印象的で、落ち着いた空気に包まれていました。ま法廷の扉は重厚な木製の扉で、鳥を模した装飾の取っ手もあり、細部に至るまで特別な雰囲気が漂っていました。

私はこれまで大阪地裁での支援事件を中心に傍聴してきましたが、今回は現住建造物放火事件の裁判員裁判を初めて傍聴しました。傍聴した場面は被告人質問で、被告人がおとなしい繊細そうな方だったためか、裁判官は諭すような柔らかい態度で接していました。途中から傍聴したのではっきりとは分からないのですが、否認事件ではなかったようで、争点を巡る緊迫したやり取りではなく、再犯防止や生活の改善を促すようなやり取りが中心でした。裁判員には幅広い世代の市民が選出されており、一般の人々が真剣に事件と向き合う姿を目の当たりにして、裁判員裁判を行うことで積極的に司法に携わる機会の重要性を改めて感じました。

今回の研修を通して、名古屋市の歴史と司法制度の一端を同時に学ぶことができました。特に、はじめて裁判員裁判を傍聴できたことで、今までの傍聴経験とはまた異なる学びが得られたため、今後もさまざまな事件を傍聴し、自分の理解を深めていきたいと感じました。

【甲南大学3回生 横田麻奈】