令和7年11月19日 衆議院法務委員会 平林晃議員による質問

大川原化工機事件に対する法務大臣の考え

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  • 平林委員
     それでは、残り、今僕の認識的には大問を三つやってきたところなんですけれども、最後の、大問の四番目という内容で、大川原化工機事件に関しまして質問をさせていただけたらというふうに思っております。先ほど鎌田委員も御質問されたと認識をしております。鎌田委員のようにシャープにできるかどうか分かりませんが、頑張って質問してまいりたいというふうに思います。
     今更申し上げるまでもないですし、先ほどの鎌田委員のお話にもございましたけれども、本件に関しましては、国賠訴訟の判決が本年六月十一日に確定をしたということでございます。最高検察庁、警視庁、警察庁がそれぞれこれまでの経緯の検証結果の報告書を作成し、八月七日の日に公表しておられるということでございます。
     私ども公明党は、九月二十五日の日に、法務部会を開催をいたしまして、報告書の内容を聴取させていただきました。そして、その内容を受けまして、十月八日に、当時の鈴木法務大臣に対しまして、こういった事件を絶対に起こしてはならないという強い思いを込めた再発防止の申入れをさせていただいたところでございます。
     報告書、今申し上げたとおり、三通あるわけですけれども、今日はちょっと、法務委員会ということで最高検察庁の部分に着目をさせていただきたいと思っておりまして、警視庁、警察庁の方に関しましては内閣委員会のチャンスを使って質問できればというふうに考えているところでございますけれども、まず、では、法務大臣に御質問させていただきます。
     御就任になられたばかりで恐縮ではございますけれども、国賠訴訟の判決が確定をしている、また、その後最高検察庁が報告書をまとめておられて、我々もその後動きを取らせていただいたわけでございますけれども、こうした経緯に関しまして、法務大臣としての御所感をお伺いいたします。
  • 平口国務大臣
     検察当局においては、いわゆる大川原化工機事件に係る国賠訴訟について、第一審に続き控訴審においても検察官の勾留請求及び公訴提起が違法であると判断されることについて真摯に受け止めた上で、大川原化工機株式会社及びその関係者の皆様方に多大な御負担をおかけしたことについておわびの意向を表明するという旨のコメントを令和七年六月十一日に公表したものと承知しております。
     また、大川原化工機事件については、最高検察庁において国賠訴訟判決確定後に検証を実施し、同事件の捜査、公判上の問題点が明らかになったことを踏まえ、より一層適切な検察権行使を確保するとの観点から、様々な取組を行うこととしたものと承知しております。
     そして、最高検察庁の検証結果の公表を踏まえ、御党の法務部会から鈴木前法務大臣に対し、第三者による検証、取調べの可視化の拡大、保釈請求への対応の見直し、必要な医療体制の整備という四つの柱から成る再発防止を求める申入れをいただきました。私としても、御党から重い御指摘をいただいたものと受け止めております。
     こうした経緯を踏まえて、私としては、検察当局において、検証の結果明らかとなった問題点や反省事項を踏まえた各取組を実施して、適正な検察権行使の確保により一層努めていくものと承知しており、引き続き、検察当局の対応について強い関心を持って注視してまいりたいと考えております。
  • 平林委員
     非常に重いということ、この事案もそうですし、私どもの提言も重く受け止めていただいている、こういう答弁であったわけでございますが、私は法律の世界に生きてきた人間ではありませんので、こんなことを述べる資格がないのは重々承知しておるところではございますが、それでも今回の事件というのは、日本の刑事事件の歴史における痛恨の事案なのではないかと考えさせていただいております。
     あってはならないことが度々重なって、こういった最悪の事態も含めて起きてしまっている事件でございます。であるからこそ、このことから本当にしっかりと学んで、絶対に繰り返さない、このことが求められているのではないかと真摯に思っているところでございます。
     だからこそ、検察と警察が一致団結をして再発防止に邁進をしていくこと、これが亡くなられた相島さんへのせめてもの償いになるのではないか、このように考えているところでございます。
     やはり、警察の捜査に対して検察が検証して歯止めをかける、この機能がしっかりと働いたのかどうかというところは、本当に今回の事案においてとても重要なことなのではないかなというふうに思っているところではございます。
     そういった意味におきまして、私どもの申入れでは、まず、最高検察庁の検証報告書を中立的また第三者的な視点によって検証することにより、今回の検証の妥当性を明らかにすることを求めてきたところでございます。
     今回の事案の検察側の直接の当事者は東京地検でありまして、今回の報告書は最高検察庁が作成をしておられます。そういった意味では、客観性が全くないと考えているわけではございませんが、ただ、やはりあくまで検察組織の中で作っておられるものでありまして、より客観性を持った、しかも専門的な目で検証することは重要ではないかとの問題意識で提言をしたものでございます。
     申入れに先立って開催した部会におきましても、当部会におきましても、このことは参加者一同強く求めたところでありまして、この第三者検証に関しまして、その後の状況を伺います。
  • 佐藤政府参考人
     お答えいたします。
     最高検察庁におきましては、本検証に当たりまして客観的な事実関係を踏まえて実施しておりまして、また、第三者的視点を取り入れる観点から、当事者の問題意識を把握されている原告代理人弁護士の方からも事情聴取を行うなど、当事者の皆様方がお持ちの問題意識も踏まえつつ、客観性を持った検証になるよう努めてきたものと承知しております。
     その上で、御指摘の点につきましては、今後、検察当局におきまして、有識者から成る参与会におきまして、本件の問題点、反省点等について御説明を行うとともに、その後の改善状況等についても報告を行い、参与の皆様方から聴取した意見を今後の検察の組織運営に反映させることとしているものと承知しております。
  • 平林委員
     ありがとうございます。
     参与会ということがございました。来年の年明け、二月、三月ぐらいに開催をされる予定であるということでございまして、まずはその評価をしっかりと確認をさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
     また、繰り返しになって恐縮ですけれども、本件の痛恨の極みは、何といっても相島さんが亡くなられたことでありまして、この国賠訴訟の中でそのことが十分に評価されていないということはちょっと苦言を呈したいというか、確認させていただきたいんですよね。
     訴状においては、敬称略になりますけれども、原文、亡相島が受けた精神的苦痛を慰謝するに足りる金額は一億円を下らないとしていましたが、判決文では、同じ原文のまま敬称略になりますけれども、亡相島の損害は、経済的損害百九十四万円と慰謝料四百万円の合計から刑事補償二百九十七万円を控除した二百九十七万円となっているということでございます。余りに低い金額に、素人の私は驚いてしまいます。いずれにしましても、こんなことは絶対に起きてはならないというふうに思っているところでございます。

矯正施設被収容者に対する医療体制

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  • 平林委員
     被収容者への医療体制の整備については、被収容者に対する医療が適切に提供されるよう医療体制を整備し、外部との連携についても更に拡充を求めることを提言しております。現在の検討状況を伺います。
  • 日笠政府参考人
     お答えいたします。
     被収容者の健康を保持するため、社会一般の医療の水準に照らし、適切な医療上の措置を講じることは国の重要な責務であると認識しております。
     矯正施設におきましては、これまでも必要な医師の確保等に努めてきたところですが、今後も広報啓発活動を通じて矯正医療の重要性に関する国民の関心と理解を深めるとともに、積極的な採用活動を行うなど、矯正医官や看護師等の医療スタッフの安定的な確保に努めてまいります。
     また、被収容者の傷病の種類や程度によって施設内では対応できない場合には、近隣の外部医療機関に通院又は入院させて対応する必要があることから、各施設においては、地域医療機関等の関係機関を構成員とする協議会を開催するなどして、矯正医療に対する理解と協力を求めているところでありまして、今後も、被収容者に対する適切な医療の提供のため、地域医療機関等との連携を進めてまいりたいと考えております。
  • 平林委員
     ここは本当に大事なところだというふうに思っておりますので、本当にしっかりとした体制整備をしていただきたいというふうに思っております。
     もうあと時間が非常に厳しくなってきたんですけれども、保釈請求の対応に関して質問をしようと思っていたんですけれども、また次の機会に質問自体はしようというふうに思っておりますが、報告書の中でも、この保釈請求の対応については五ページ余りを費やしておられまして、一つのポイントになっているのではないかな、こんなように考えているところではございます。その一文においては、「本件においては、客観的構成要件該当性に関して罪証隠滅のおそれがあったとは考え難く、」と、その考え方に検討の余地があったと思われるとしていただいているところでございます。
     こういった考え方に基づいて、またしっかりと確認をさせていただけたらというふうに思っておりまして、またちょっと次の一般の場面でこの続きの質問をさせていただけたらというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
     本日は、大変にありがとうございました。