聞き取り調査
京女IPJ学生ボランティアでは、毎年、事件を調査し、えん罪について考える活動を行っています。
その活動は、大学の「R6年度らしつよチャレンジ・プログラム」(※「らしつよ」とは「らしさをつよさに」という京女のキャッチフレーズからきたものです)にも採択されています。
今年度は、女性がえん罪に巻き込まれた3つの事件につき、それぞれのグループに分かれ、調査してきました。そしてその一環として、11月14日(木)に、東住吉事件の青木惠子さんに聞き取り調査を行いました。
事前に担当グループの中でミーティングを重ねて、青木さんに聞いてみたいことをまとめました。
当日は、対面とzoom、合わせて11名が参加し、事件に関する様々な質問に答えていただきました。
東住吉事件とは
簡単に事件の概要を説明します。
東住吉事件は、1995年に大阪市東住吉区にある住宅の駐車場において火災が発生し、住人であった当時11歳の女の子が亡くなった事件です。その亡くなった女の子の母親である青木さんが、内縁の夫とともに、その子にかけられていた保険金を請求することを目的として放火殺人事件を起こしたという疑いで逮捕・起訴されました。
青木さんは一旦は厳しい取調べの中で自白に追い込まれたものの、裁判では一貫して無罪を主張しました。
しかし、裁判所は、自白等に依拠して青木さんに無期懲役の有罪判決を下し、それが確定してしまいました。その結果として青木さんは服役することとなりましたが、長期にわたる(最初に逮捕されたときから20年以上)身体拘束を受けた後、新たな証拠によって、青木さんが無実であることが明らかとなりました。
そのため再審が開始され、無罪判決が確定したというえん罪事件です。
聞き取り調査を実施して
私は、今回初めて聞き取り調査に参加させていただきました。
青木さんからは、当時の心境も踏まえた違法な取調べの実態や、刑務所内での生活から、現在の活動に至るまで、貴重なお話をうかがうことができました。
取調べにおいては、想像を遙かに超える捜査官の暴言があったことや、自白強要のために、手段を選ばず、酷い状況下におかれていたことを知り、とても驚きました。
またお話の中で特に印象的だったのは、「再審請求をすることについて、引き受けてくれる弁護士が少ない」ことです。そのような背景事情が、えん罪被害者の方が、長期に渡ってえん罪事件と闘うことに繋がるのだと思いました。
今回の聞き取り調査は、改めて人質司法の恐ろしさを実感させられるとともに、刑事司法の課題や、裁判におけるサポート体制の見直しなどについて考える機会となりました。
最後に
この調査を通して私たちが学んだことについては、12月15日(日)に京都女子大学で開催するシンポジウム「すべての人に公正な司法を~えん罪事件調査を通じて~」の中で報告する予定です。関心のある方は是非ご参加いただけると嬉しいです。
シンポジウムのお申し込みはこちらから
(京都女子大学2回生 M.O)