【ニュースレター】vol.35を配信しました!

上告阻止に向けて、引き続き署名へのご協力をお願いします!

 開始からわずか2日で、640を超える賛同署名が集まっています。本ニュースレターから早速に署名をしてくださった皆様、ありがとうございます!上告期限が12日のため、今週中が勝負となります。ぜひ、以下のサイトの拡散にお力をお貸しください。

オンライン署名「検察官は今西事件の無罪判決への上告を断念せよ」

 ※数字等の情報は12月03日の時点でのものです。


本日、今西事件弁護団は、最高裁へ上告をしないよう大阪高等検察庁に申入書を提出しました。申し入れ後には会見を開き、多くのメディアから取材を受けました。

[参考]

朝日新聞デジタル 「上告せず冤罪検証を」 傷害致死で逆転無罪、弁護団が高検に申入書

MBS毎日放送(動画あり) 「彼の人生が歩みを止めたままになるのは正義に反する」逆転無罪の男性の弁護団が検察に上告断念を申し入れ 2歳女児死亡

関西テレビ 逆転無罪の「今西事件」 「正義に反する」と今西さんの弁護団が「上告しないよう」検察に申し入れ


大阪高等裁判所での無罪判決をうけた、今西貴大さんのコメント

photo: 黒木美紗子

希愛と僕は、本当の親子として過ごしていました。希愛が亡くなって、僕が逮捕されたことで幸せな生活のすべてが破壊されました。裁判を通じて、警察・検察が見落としていた「心筋炎」など、希愛が亡くなった本当の原因を見つけることができました。今は、真実がわかったことに安堵しています。

判決の主文は「無罪」でしたが、僕は「無実」です。

いわれなき罪を着せられ、刑事裁判の当事者となった僕は、人質司法、当事者に対する偏見、そして揺さぶられっこ症候群をめぐる非科学的な医学鑑定など、日本の刑事司法が抱える問題点を表と裏との両方から経験しました。

約4年前、本日と同じ201号法廷で有罪判決を言い渡されたときは、人生のどん底に突き落されました。

このような刑事司法の暗闇を経験する人をこれ以上増やしてはいけない、そのためには僕も力をつけて控訴審を闘わなければならないと思い、拘置所の独房で法律を勉強しました。気がつくと、僕の無実を信じてくださる仲間がたくさん増えていました。そして、みんなで一緒に無罪判決に向かって一歩ずつ歩いてきました。独房で過ごした5年半。挫けずに闘い続けて良かった、と実感しています。

今日、皆様と一緒に無罪判決を聞くことができて、本当に嬉しいです。
法廷に座っている間、傍聴席からの暖かい気持ちを心で感じていました。
きっと”桜咲く”と思い続けた6年間。うれし涙を一緒に流そうといった皆様との約束を、ようやく果たせました。

支援をしてくださった支援者の皆様、学生の皆様。そして、弁護団の先生方。

信じてくださってありがとうございました。

2024年11月28日
今西 貴大


今西貴大さん控訴審逆転無罪判決についての弁護団声明

 本日、大阪高等裁判所第3刑事部は、今西貴大さん(以下、「今西さん」といいます)に対して、
・一審無罪の傷害罪についての検察官控訴を棄却し
・強制わいせつ致傷罪と傷害致死罪について有罪とした原判決を破棄し、無罪
の判決を言い渡しました。

  これにより、今西さんに対して起訴された全ての公訴事実について、無罪との結論が下されたこととなります。

  弁護団としては、適切に証拠を検討し、強制わいせつ致傷罪・傷害致死罪について不合理な判断をした一審判決の誤りを正した大阪高裁第3刑事部の判決を、高く評価します。

  今西さんは、2018年11月27日に傷害致死罪で逮捕されて以降、約6年間にわたり、被疑者・被告人の立場に置かれました。本日の大阪高裁による判決が、検察官による上告なく確定し、一日も早く今西さんが被告人の立場から解放されることを強く望みます。

 本日の判決においては、まず傷害罪に関する検察官の控訴理由を一つ一つ検討し、その主張に根拠がないことを示しました。そして、女児に生じた骨折について、外力によるものとは認定できないとして、無罪の判決を言い渡した原判決を支持しました。

  次に、強制わいせつ致傷罪については、原審で既になされた各証人の証言等を慎重に検討し、肛門裂傷が生じた原因が異物挿入であることの立証が、そもそもなされていないとし、原判決の判断構造そのものの問題点を指摘しました。また、弁護側の医師が指摘した皮膚疾患の可能性等についても言及し、それらに対する検討を欠いた原判決を強く批判しました。さらには、当審における双方の立証を踏まえても、異物挿入による肛門裂傷であることの根拠はなお示されていないとして、原判決を破棄すると共に自判し、無罪の判決を言い渡しました。つまり、裁判所は弁護人らが強く争っていた事件性について、弁護側の主張をほぼ全面的に採用する判断をしたものであり、高く評価できるものと考えています。

 また、傷害致死罪については、検察側医師の医学的所見についての証言のみによって、「強い外力」が加わったと推認すること自体に限界があることを明示したものです。この点は、医学的知見によって、揺さぶりといった暴行態様やその犯人まで推測できるかのような議論を展開してきたSBS/AHT仮説の問題性を的確に指摘したものと言えます。実際、本判決が繰り返すとおり、本件では「身体表面に外傷の存在を示す痕跡がなく」、その指摘は正当です。また、本判決も「同児に身体的虐待を加えていたことを示す事情は見いだせない」とするとおり、今西さんには暴力的な傾向など一切なく、虐待に該当するような事情がないことも併せて、本判決は、今西さんが無実であることを明らかにしたものと評価することができます。同様のえん罪事件が引き起こされないよう、本判決の認定が、今後のSBA/AHT事案において、重要な先例として活かされることを期待します。

  末尾になりましたが、支援する会、国民救援会、イノセンス・プロジェクト・ジャパンの皆さんをはじめとして、今西さんの無実を信じて、多大なるご支援をいただいた皆様に心より感謝を申し上げます。

2024年11月28日

主任弁護人 弁護士 川﨑拓也

             弁護人 弁護士 秋田真志

                  弁護人 弁護士 西川満喜

                  弁護人 弁護士 湯浅彩香

               弁護人 弁護士 川﨑英明