袴田事件に対する法務大臣の考え
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- 渡辺猛之君
法案についての質問、以上にさせていただきまして、続きまして、本法務委員会でも多くの委員の皆さんが御質問をされておりますいわゆる袴田事件に関連して幾つかお尋ねをさせていただきます。
委員会答弁の中で、大臣、何度も謝罪をされておりますけれども、袴田さんに対しては、長期間にわたり法的な地位が不安定な状況が続いたということは大変申し訳ないと、こう謝罪をされているところであります。
この法的な地位が不安定な状況というのは具体的にどういう状態を指しているのか、まず、大臣の御認識をお聞かせください。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
この法的な地位が不安定な状況に置いてしまうこととなった、そのことでおわびを申し上げております。
その点で、やはりその言葉ということで申し上げた方がいいかなと思いますが、この検事総長談話等でも使われている表現でありますけれども、このことについては、まさに再審請求審における静岡地裁の再審開始決定以降、即時抗告審で東京高裁がその決定を取り消し、さらに、その後、特別抗告審で最高裁がその決定を取り消して東京高裁に差戻しをし、差戻し後の東京高裁において即時抗告が棄却をされるなどをしたことで、袴田さんにおかれましては、確定判決を受けた者としての立場、これが維持をされるのか否かということが累次の司法判断の中で揺らぐということになったという状況がございました。そういった中で、長期間にわたりまして非常に不安定な状況に置かれていた、そういった状況であると私どもも認識をしております。
まさに、逮捕から五十八年以上、死刑判決の確定からですと四十三年と、極めて長い、余りにも長い年月ということを、命を奪われるそういった刑罰、この刑罰であります死刑を宣告をされた者という状況で過ごされたということ、まさにそうした中で、死刑判決の行く末、これがどうなるのか、まさにその死刑を宣告をされた者という法的な立場が解消されるのかという不安を、まさにこの長期間、人生の大半の期間にわたってそういったことを感じ続けながら過ごされてきた、まさにそうした過酷さということは私どもとしても察するに余りある状況だと思っております。
そうした中で、袴田さんに対して、こうした、そうした日々を長く過ごされた、本当に長い期間、人生の大半の期間を過ごされたということで、私どもといたしましても大変申し訳なく、これは法務大臣としてもでありますけれども、大変申し訳なく思っているということで、その趣旨で申し上げてきたところであります。
検察、警察が持つべき考え方
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- 渡辺猛之君
必要なのは、私、想像力が必要だと思います。
ここから先は一般論で結構です。もしも自分が、もう何の罪も犯していないのに逮捕されて、裁判で有罪となって、で、一切自由を奪われると。何も悪いことしていないのにですね。やっぱり、想像力を働かせてみてください。自分が受けた判決は死刑です。もう明日には死刑執行の宣告を受けるかもしれない。何も悪いことをしていないのに、明日には私の命は奪われるかもしれないという、その恐怖。大臣、もし、もし大臣御自身がそのような立場になったら、どうお感じになられますか。 - 国務大臣(鈴木馨祐君)
ほかの委員の皆様方との質疑においても答弁させていただいておりますけれども、まさにこの場、法務大臣として立たせていただいておりますので、そういった意味で、個人のそういった所感ということで述べるということは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、まさに一般論ということで申し上げますが、やはり私としては、犯人でない人を処罰をするということ、これはあってはならない、決してあってはならない、これは、私、法務大臣としての立場でこれは繰り返し申し上げているところであります。その理由ということ、犯人でない人をなぜ処罰してはいけないのかという理由、ここについて法務大臣としてどう考えているのか、そのことについて述べるということで是非御理解をいただきたいと思います。
そうした中で一般論として申し上げる中でありますけれども、やはり犯人でない人に対して死刑判決が言い渡され、これは確定をした場合でありますが、公判において主張してきたことが真実であるにもかかわらず、受け入れられずに処罰をされるということとなった、そういったことに対する理不尽さ、これは当然感じることであろうと思いますし、いつ刑が執行されるか分からない不安にさいなまれるなど極限的な精神状況の中で日々を送ることとなる、これは容易に想像されるところであります。
もとより、言い渡された刑がこの死刑以外ということであってもそこは同様ということであろうと思いますけれども、このように犯人でない人を処罰をするということ、これは、いわれない理由によって人生を一変させるということでもあります。まさに、そうした耐え難い日々を送るということを余儀なくさせることになるということであって、まさにそういった意味で、私は、そういった犯人でない人を処罰するようなことがあっては決してならない、そういったことを申し上げているところでございます。 - 渡辺猛之君
ある事件が起こって、そこに被害者が存在するということ、被害者が存在したら、警察や検察というのは加害者という悪を必ず見付け出すという固い決意で日夜御努力をいただいているものと思います。その多分根底にあるのは、もう私は、揺らぎない正義感があるからこそ、検察、警察の皆さん方は頑張っていただいていると信じています。
ただ、人間である以上、やはり、常に一〇〇%正しいということはあり得ないという考えを頭のどこか片隅にはやっぱり置いていてほしいなと思います。頭の中心に置くわけにはいきません。頭の中心にはやっぱり圧倒的正義感を置きつつ、しかし、頭のどこかに少しだけ、本当にこの人が犯人なのかというもう一人の冷静な自分を持っていてほしいと願います。それを忘れてしまったら、正義を貫いているはずの検察や警察が、時には無実の人を罪に陥れる加害者になってしまう可能性があるということを忘れないでほしいと思います。これからも、正しい検察の活躍を期待して、正しい正義を貫いていただきたいと思います。
以上で終わります。