「ひとごとじゃないよ!人質司法」中日新聞にカラー全面広告 今年も掲載!

 10月2日(水)は、えん罪に対する問題意識を高めることを目的とした「世界えん罪の日」です。世界中のイノセンス団体が、えん罪問題への関心を高めるべくイベントを行っています。

 日本のえん罪の原因の一つに、人質司法があります。 「ひとごとじゃないよ!人質司法」プロジェクトを開始したHRWとIPJは手を携えて、昨年に引き続き、「世界えん罪の日」のアクションを起こしました。えん罪の温床となっている人質司法を解消し、えん罪のない世界に向けた輪を広げる一日にしましょう!

 袴田事件の地元の静岡県で、中日新聞東海本社版(静岡)朝刊​​​​​​​に「ひとごとじゃないよ!人質司法」のカラー全面広告「『正義』は暴走する」を掲載しました。58年たって再審無罪判決がでた袴田事件。人質司法がなければ、袴田さんが自白させられることもなかったでしょう。検察が控訴を断念すれば、袴田さんの無罪は確定します。この広告が「人質司法」への関心を高め、これ以上の「正義」の暴走を止める一助になればと願っております。

Screenshot

袴田巌さんも「人質司法」の被害者
10/2(水)掲載 「『正義』は暴走する」意見広告

👉 9月26日に袴田巌さんは再審無罪となりました。袴田さんは逮捕後、無罪を主張していましたが、人質司法に耐えられず嘘の自白をしてしまいました。結果、有罪とされ、釈放されるまで47年7ヶ月9日、日数にすると17,388日もの間、拘束されていました。ここでは拘束日数を5で割った3477個の「正」の字を掲載しています。 

 皆様からの写真やご感想をお待ちしております。SNSへの投稿の際には、ハッシュタグ(#ひとごとじゃないよ人質司法、#世界えん罪の日、#検察は控訴しないでください)をお忘れなく!

本広告はこう訴えます。

「正義」は暴走する。私たちが止めないかぎり。
犯人を絶対に逃さない。そんな正義感が暴走した結果、起きるのが「人質司法」です。
留置場や拘置所に閉じ込める。家族や友人、職場と連絡を絶つ。
いつ終わるとも知れない獄中生活の中、「自白しろ」と迫り、応じさせる。
そんな風にして、数多くのえん罪がうみだされてきました。
人質司法を止める方法は、ただひとつ。この問題に関心を持ってください。
そして、司法制度見直しへの世論を高めてください。
本日10月2日は世界えん罪の日です。

 長期かつ期限のない身柄拘束という精神的・肉体的苦痛の下、長時間の過酷な取調べにより自白を強制する。それが「人質司法」です。

  広告のデザインは、昨年に引き続き、株式会社電通のコピーライター橋口幸生さんと、同アートディレクターの岩下智さんが、本プロジェクトの鍵マークのロゴとともに、ボランティアで作成してくださいました。

袴田事件と「人質司法」

 長期かつ期限のない身柄拘束という精神的・肉体的苦痛の下、長時間にわたる過酷な取調べにより自白を強制する日本の「人質司法」はえん罪の温床となっています。袴田巌さんも「人質司法」の被害者です。9月26日の再審無罪判決でも、静岡地方裁判所は、三つの証拠の捏造(ねつぞう)の一つ目に、自白調書の捏造を指摘しています。1966年8月18日に逮捕された袴田さんは、当初から一貫して否認していましたが、警察や検察からの連日連夜の身柄拘束下の厳しい取調べにより、逮捕後20日目の9月9日に自白に追い込まれ、この自白に基づいて3日後に起訴されました。その後裁判では袴田さんは自白を撤回して一貫して無罪を主張したにもかかわらず、45通の自白調書のうち1通の検察調書が裁判で採用され、袴田事件は、自白事件として死刑判決が言い渡されたのです。前記静岡地裁再審無罪判決要旨では「非人道的な取り調べ」によって作成されたので刑事訴訟法319条1項の「強制、拷問または脅迫による自白」であるとして証拠排除しています。袴田さんの自白強制から58年を経た今も「人質司法」の本質は変わらず続き、強制された自白に基づくえん罪も生まれ続けています。