このたび、イノセンス・プロジェクト・ジャパン(IPJ)は、イノセンス・ネットワークの正式なメンバーになりました!
イノセンス・ネットワークは、国際的なえん罪救済団体のつながりです。1992年にニューヨーク州でイノセンス・プロジェクトが立ち上がってから、全米各地のロースクールを中心として、次々にイノセンス団体が立ち上がりました。2000年にはその数は10団体になり、これらの団体は、同年、シカゴのノースウェスタン大学で、初の会合を開催しました。この会合に集まった人数はわずか30人でした。
2004年、イノセンス団体は正式にネットワークを形成し、2005年11月には最初の21団体がネットワークに加入しました。以降、イノセンス・ネットワークはほぼ毎年、3月または4月に年次大会を開催し、全世界からえん罪救済に取り組む人々が集まっています。
現在はIPJ含め、71団体がネットワークに加入しており、そのうち58団体は米国内のイノセンス団体、13団体は海外の団体です。
海外のイノセンス団体は、ネットワークに加入していない団体も含め、地域ごとのネットワークを結成しており、ヨーロッパ、ラテンアメリカ(南アメリカ)、アジアにはそれぞれの地域のイノセンス・ネットワークがあります。アジアのネットワークは、IPJと台湾イノセンス・プロジェクト(台湾冤獄平反協会)と一緒に2018年に結成しました。イノセンス・ネットワークの正式メンバーは、台湾IPとIPJになりました。
加入には、(1) えん罪の証明をしようとする人々に、無償の法的サービスまたは調査サービスを提供することを専門とする団体、 (2) えん罪者の釈放後の支援に専従する団体であることのほか、いくつかの基準を満たす必要があります。今回、IPJもこの基準を満たすことができたため、正式なメンバーになったという次第です。
ネットワークのメンバーになることで、世界中のイノセンス団体とつながり、情報の交換をすることが可能であるだけではなく、ネットワーク支援部門の支援を受けることができたり、メンバーの団体により雪冤が行われた場合、雪冤者に対して2000ドルが基金から支給されたりするなどのメリットを得ることができます。
世界中に同じ志を持った仲間がいることは、とても心強いことです。また、それぞれの国の刑事司法制度や運用は異なるものの、えん罪には共通する課題があります。DNA鑑定や揺さぶられっ子症候群(SBS)に係る医学鑑定、指紋、その他の科学的証拠やそれらに関わる科学的知見・理論は国境を越えますから、諸外国における議論は欠かすことのできない財産になります。
IPJは、これからも世界に広がるえん罪救済のネットワークと協働し、国内のえん罪事件の救済に取り組んでまいります。
〈事務局長・笹倉香奈〉