イノセンス・ネットワーク大会に参加しました!(1)

 20周年をむかえたイノセンス・ネットワーク大会に、IPJのメンバー6名が参加しました。
 イノセンス・ネットワークは、えん罪救済運動に参加する世界中のイノセンス団体で構成されています。アメリカだけではなく、カナダ、南アメリカ、ヨーロッパ、そしてアジアにもつながりが広がっています。

2023年4月14日・15日の2日間にわたり、アリゾナ州フェニックスで開催されたネットワークの年次大会には、アメリカを中心に多くの国から1000人を超える参加者がありました。各国のイノセンス団体で活動する弁護士、研究者、専門家、学生だけではなく、イノセンス団体によって雪冤されたえん罪被害者が300人以上出席しました。
えん罪被害者とその家族は参加費が無料になるのも、この大会の特色です。会場にはソーシャルワーカーが常駐し、支えています。

専門家・学生・えん罪被害者が仲間として一緒にイノセンス運動を推進するというのが、イノセンス・ネットワークの特長です。雪冤後にロースクールに入学し、弁護士資格をとって、現在では雪冤をする側に立っているえん罪被害者もいます。

大会では、えん罪救済のためのノウハウや最新の知見を共有するためのセッション、自分のえん罪被害の経験を語るためのストーリー・テリングのワークショップ、組織の運営の方法について相談するためのワークショップ、国際部会のミーティングなど、様々なセッションが開催されます。さらに、えん罪救済に尽力した人たちを称える授賞式、記念講演(今年はイノセンス・プロジェクトの弁護士として長きにわたってえん罪救済に関わり、現在は連邦地裁の裁判官として活躍するニーナ・モリソンさんが講演されました)、雪冤者によるストーリー・テリングのパフォーマンスなど、様々なイベントが続きます。

朝8時からの朝食に始まって夜9時過ぎまで、みっちりと2日にわたる濃密な時間を共有しました。

すべての人がお互いに感謝の気持ちを伝え合い、情報も悩みもすべて分かち合います。そして、えん罪事件の救済に向けてまた1年頑張ろうという決意を固めます。

筆者が大会に初めて参加したのは2012年でした。カンザスシティで開催された大会への参加者は、雪冤者100名を含む400名で、アメリカ国外からの参加者も、まだまだ少ない状況でした。今回、参加人数はその当時の3倍に増えました。イノセンス運動は国際的にも拡がり、世界中の国々から多数のイノセンス団体が集まっています。

ことばや制度が違っても、どの国にもえん罪事件は存在します。そして、えん罪の原因には、驚くほどの共通点があります。世界中に同じ目的に向かって闘う「自由のために闘う同志たち Freedom Fighters」がいることに、なによりも力を得た2日間でした。

IPJの若手メンバーたちが、イノセンス・ネットワーク大会への参加報告をしてくれます。ぜひ、世界に広がるえん罪救済のつながりを感じてください。

笹倉香奈〈ささくら・かな〉

*写真は、国際部会のミーティングでの一枚。アメリカ、カナダ、アルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランド、英国、スペイン、台湾、日本からの参加者たち。
IPJからは、秋田、川﨑拓也、西、湯浅、松本、笹倉が参加しました。