世界中の冤罪救済団体から構成されるイノセンス・ネットワークの国際会議に参加してきました!
その開会式が特に印象的でした。
会場でみんな立ち上がり、ずっと拍手を送っていました。感極まって思わず隣の人とハグをする人や、すすり泣く音も聞こえました。
2日間を通し様々な講演やディスカッションが行われました。我々は、ストーリーテリングの講習、各国の冤罪救済の現状と課題、科学的証拠や法医学に関するセクションなどを聴講しました。
日本からも笹倉香奈教授と秋田真志弁護士が揺さぶられっ子症候群の冤罪事件について報告しました。
秋田真志弁護士と笹倉香奈教授が共同代表を務めるSBS検証プロジェクトの尽力もあり、海外の知見の多くはお二人の論文にまとめられていることが分かりました。揺さぶられっ子症候群に関する一般的な問題に関しては秋田真志弁護士らが編者となった「赤ちゃんの虐待えん罪: SBS(揺さぶられっ子症候群)とAHT(虐待による頭部外傷)を検証する! 」が2023年4月18日に出版されましたので、こちらもぜひご参照ください。
その他の分野に関しても、最先端の報告が多々ありました。例えば、指紋鑑定の誤りによる冤罪事件の紹介がされており、一般に思われているより指紋鑑定にもあい路があるのではないかという問題提起や、”死因”(cause)と”死に方”(manner)は異なるところ、その判断領域の区分やバイアスのリスクについて注意しなければならないということなどは示唆に富んでいました。
単に勉強になるだけでなく、良い刺激を受けることができ、また世界中で冤罪問題に尽力している人がいることが分かってとても心強く感じました。講師や冤罪被害者の方はよく「次はあなたの番です」と言い、会場が沸きあがり、これからも頑張ろうと気持ちを新たにしました。
今回は弁護士5名と研究者1名が参加しましたが、日本全国からもっと参加者が増え、裁判官や検察官からの参加者も出ると良いなと思いました。
西 愛礼(にし よしゆき)