設立8周年を迎えたIPJから、IPJニュースレターvol.15をお届けします!
設立8周年のご挨拶と、一層のご支援のお願い
IPJには、えん罪を晴らしたいという支援のお申し込みが平均して毎月10件以上届いています。
皆様からのご支援が大きな力となっています!数ある団体の中から、IPJを選んでご支援を下さった方に、心よりお礼を申し上げるとともに、さらに手厚く、幅広いえん罪救済のために、一層のご支援とご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます!
設立8周年を迎えました本日から10日間でIPJサポーターを10人増やしたく、チャレンジいたします!ぜひ寄付を通じて、IPJサポーターとなってください。
IPJへのご支援方法には、いつでも寄付できる一時寄付と、クレジットで継続的に寄付ができるマンスリーサポートがございます。詳しくは下記の「寄付をする」からご覧下さい。
再審請求に向けて:神戸質店事件
2024年3月30日に、甲南大学にてIPJ支援事件の神戸質店事件に関するシンポジウム「神戸質店事件 再審請求に向けて」を開催しました!120名を超える皆様にご参加いただきました。本当にありがとうございました。シンポジウムの詳細は、こちらからお読みいただけます。近日中に動画を公開する予定です。どうぞお楽しみに!
また、MBSと関西テレビが、シンポジウムを取り上げてくださいました!
■MBS
19年前の強盗殺人「神戸質店事件」大学生らが”冤罪被害を考えるシンポジウム”開催
■関西テレビ
「神戸質店事件」を題材にシンポジウム 冤罪について考える「疑わしきは被告人の利益に」
ひとごとじゃないよ!人質司法プロジェクト
1)アジア・ソサエティで「人質司法」をテーマに議論
2月22日、アジア・ソサエティ(※)において「人質司法」をテーマにしたイベントが行われ、IPJ事務局長の笹倉香奈、HRW日本代表の土井香苗氏がスピーカーとして登壇しました。
セッションでは、HRWが昨年公表した報告書の内容や日本の刑事司法の問題について説明された後、大川原化工機事件の島田順司さん、そして、違法薬物の密輸の罪に問われ、後に無罪判決を受けたMarcus Cavazosさんが、逮捕勾留中の自らの経験を語りました。イベントは英語で行われ、多くの国内外の人たちが参加・視聴しました。参加者からは、「当事者の悲痛な経験を聞いて涙が出た」「こんなことが日本で起きているとは知らなかった」などの声が寄せられました。
当日のイベントの様子は、動画で見ることができます。また、島田さんのスピーチは、日本語訳とともにこちらでお読みいただけます。
※Asia Society:アジアや世界の国々が直面する幅広い課題に取り組むことを目指し、1956年にジョン・D・ロックフェラー三世によって設立された無党派の非営利組織。
2)取調べ中にメモをとれない? -国会で議論
取調べ中に取調官が被疑者にペンを持つことを許さず、メモをとれないことが常態化しています。しかし、それはおかしい-そんな疑問から、3月13日に行われた衆議院法務委員会において、寺田学議員(立憲民主党)と米山隆一議員(立憲民主党)がこの問題を取り上げ、質問しました。これに対し、法務大臣と法務省刑事局刑事局長は、メモを禁じる法的根拠はないことを答弁しました。
小泉法務大臣「それ(メモ)はご本人の意思を通されるということであれば、強制的には止められません」
松下刑事局長「メモを取らないでくださいというのはお願いでございます。ですので、法的な強制力のある禁止ではないというところも、ご理解いただきたいと思います」
法務委員会での質疑は、こちらから視聴できます。
●寺田学議員 2:53:00~3:07:00
●米山隆一議員3:07:00~3:14:00
詳細については、IPJのコラムをご覧ください。
3)大川原化工機事件-もう1つの裁判
大川原化工機事件で、技術者の相嶋静夫さんが勾留中に見つかった進行胃がんにより、その後死亡した事件で、拘置所の医師による処置を問う訴訟の判決が、3月21日にありました。この訴訟は、拘置所の医師が適切な医療をせず、説明義務も果さなかった上、がんであることがわかった時点でもなお適切な医療ができる医療機関に転院させなかったとして、国の責任を問うために相嶋さんの遺族が提起したものでした。
相嶋さんの長男は、3月6日、判決に先立ち記者会見を行い、当時の状況について「ただごとではないのに治療が始まらず、父が死ぬのを待っているように感じた」と述べ、社会一般の水準に照らした医療が行われない現在の拘置所医療を追認するようなことがあってはならないと訴えました。
3月21日に言い渡された判決で、東京地方裁判所は、措置は適切だったとして請求を棄却しました。
石塚理事長がNHK時論公論でコメント
3月21日放送の「『大川原化工機えん罪事件』 司法の責任は」(清水聡解説委員)では、上記の訴訟が取り上げられ、人質司法における医療問題について解説がなされました。自白した人の保釈率が、否認した人より遙かに高くなっていることを示すなかで、「罪証隠滅のより具体的な行為を理由にするよう法律を改正するか、裁判官が今の解釈の姿勢を改め厳格に運用する必要がある」との石塚理事長の指摘が紹介されています。相嶋さんが亡くなるまでが時系列に沿って詳説されており、とても参考になる解説となっています。
>NHK解説委員室「『大川原化工機えん罪事件』司法の責任は」
4)IPJが「人質司法解消要綱案」を公表!
「ひとごとじゃないよ!人質司法」に携わる研究者と弁護士が人質司法を解消するための法律要綱案を作成しました。
>全文はこちらから
(本要綱案は、2024年2月16日版です。今後、部分的に修正や追加などが行われる場合があります。)
IPJ活動報告
1)支援状況
新規申込件数 :9件(2月)
審査中件数 :31件
現在支援件数 :4件
2)今西事件
当初は、2023年11月30日をもって控訴審における証人尋問が終了する予定でしたが、2024年3月14日、病理を専門とする医師の証言について補充的な証人尋問がなされました。この日も大阪地方・高等裁判所201号法廷(大法廷)で法廷が開かれ、傍聴席は多数の支援者でほとんど埋め尽くされていました。マスコミ席も多数設置され、今西事件は多くの人々から注目を浴びています。次回はついに弁論期日です。2024年5月21日13時30分からを予定しています。引き続きご支援よろしくお願いします。
〈湯浅 彩香〉
3)神戸質店事件
2024年3月30日、IPJ学生ボランティアが主体となり、甲南大学で神戸質店事件のシンポジウムが開催されました。
供述心理学を専門とする厳島行雄教授や、一審から現在まで主任弁護人を務める戸谷嘉秀弁護士をはじめとした弁護団所属弁護士が登壇しました。法曹関係者だけでなく、たくさんの一般の方にご参加いただき、イベントは大盛況でした。
マスコミ関係者にも来ていただき、NEWSとして取り上げていただいています。みなさまも、どうぞご支援の程よろしくお願いします。*本ニュースレター冒頭の記事もぜひご覧ください。
〈神戸質店事件弁護団〉
えん罪をめぐる海外連携
3月は、国外のイノセンス団体との交流が深まりました。
まず、3月7日と8日にはスイス・ジュネーブで、ヨーロッパ・イノセンス大会が開催されました。スイス、イタリア、オランダ、アルゼンチン、イギリス等のイノセンス団体が集まる中で、IPJからは広報委員長の古川原が参加し、台湾と日本のイノセンス運動を中心にアジアのえん罪問題を報告する機会がありました。各国のえん罪問題が共通することを確認した上で、国連にえん罪問題をどう訴えるべきかを議論するという有意義なものでした。
また、3月22日と23日には、アメリカ・ニューオーリンズにて、イノセンス・ネットワークの年次大会が開催されました。昨年、念願のネットワーク正式加入を果たしたIPJからは3名のメンバーと学生ボランティア1名が参加し、多くのセッションに参加しました。大会の様子や、IPJ事務局長・笹倉の「人質司法」に関する報告など、ホームページで連載でお届けする予定です。
IPJメンバーの活躍
笹倉事務局長がラジオ番組「阿部亮のNGO世界一周!」に出演
2024年3月25日、4月1日の2回にわたって、ニッポン放送のラジオ番組「阿部亮のNGO世界一周!」に出演し、IPJの活動やえん罪救済における意義についてお話しています。同番組は、「日本国内や世界各国で活躍するNGOやNPO、社会起業家や企業のSDGsの取り組み等、社会貢献に関わる団体や個人、事業を紹介し、応援する番組」です。「人質司法」の実態や学生の活躍についても伝えていますので、本日放送の第二回もぜひご視聴ください! 関東圏以外では、RADIKOでもご視聴いただけます。
> 出演回の番組ブログ(3月25日)
IPJメンバー2人が「第21回季刊刑事弁護新人賞」を受賞!
第21回季刊刑事弁護新人賞(主催:現代人文社、協賛:株式会社TKC)の、最優秀賞を西愛礼、優秀賞を湯浅彩香が受賞し、授賞式が3月3日に行われました。
西のレポートでは供述心理学の知見等も取り入れながら緻密に組み立てられた反対尋問が、他方の湯浅のレポートでは検証・実験を繰り返した上での訴訟活動が特に高く評価されたとのことです。>詳しくは、こちらのページから!
コラム 「台湾の法科学も進んでる!」
連載は第3回まで進みました。科学鑑定の信頼を保証するための制度や仕組みはどのようになっているのでしょうか。次回は最終回です。
>第2回 各法科学研究所の概要
>第3回 台湾の各法科学研究所と科警研との比較
学生ボランティア活動報告&卒業おめでとうございます
1)狭山事件のイベントで模擬裁判実演!
2024年2月23日、西成区民センターで「狭山事件の再審を実現しよう市民のつどい in 関西」というイベントが開催されました。
イベントでは記念講演の他、狭山事件でえん罪を訴えている石川一雄さんからのビデオメッセージや、東住吉事件、湖東記念病院事件、清水事件のえん罪被害者・えん罪被害者の家族の方からのお話などがありました。
模擬裁判のテーマは、満員電車の中での痴漢事件です。女子高生が触られたと証言し、女子高生の同級生も、被告人が女子高生を触っているところを目撃したと証言しています。それに対して被告人は否認し、被告人の部下と、被告人とは無関係な乗客が触っていなかったことを証言しました。
この模擬裁判では、あえて判決を事前に作らず、会場のオーディエンスの方々に、検察側と弁護側どちらに賛成するか、挙手してもらう形をとりました。当日は京都女子大・近畿大・甲南大の学生が参加し、参加者に有罪か無罪を尋ねました。結果はどうなったのでしょうか。学生のレポートをぜひお読みください。
>近畿大学のレポートはこちらから
>甲南大学のレポートはこちらから
2)岐阜刑務所参観記
立命館大学IPJ学生ボランティアのメンバーを中心に、他の大学のメンバーも加わって、長期刑の方々中心に収容されている岐阜刑務所の参観を行いました。えん罪で長期間収容された経験を持つえん罪被害者の方もいらっしゃるため、どのような環境で収容されていたのかを知ることが第一の目的でしたが、それ以外にも色々な学びがありました。その感想の一部をご紹介します。
>学生のレポートはこちらから
3)関西学院大学
関学IPJ学生ボランティアは、2月16日にフィールドワークを行いました。
午前中に法務省の法務資料展示室を訪れ、午後から袴田事件弁護団の戸舘圭之先生にインタビューをさせていただきました。今回のフィールドワークは、袴田事件の知識を深めること、文献では知ることのできない疑問を解決すること、意見する力と質問する力を身につけることの3つを目的として行いました。
法務資料展示室では、日本の法制度の成り立ちについて、様々な歴史と背景から学ぶことができました。戸舘先生へのインタビューでは、参考書や本などでは得られないお話を聴くことができました。新たな視点を得ることができ、本当に有意義な時間となりました。
(関西学院大学2年生 Y.H.)
>全文はこちらから!
4)中央大学
現在、受刑者に選挙権を認めるよう求める裁判が行われています。私は、2023年10月16日と2024年3月13日に、東京高等裁判所へ傍聴に行きました。以前からこの問題について考えてきましたが、傍聴を通じて受刑者の選挙権制限の問題や倫理的な疑問について新たな視点を得ました。判決の言い渡しでは、憲法違反ではないとされましたが、社会の変化に適応した改革が必要であり、社会の意識や偏見をなくすことも重要だと感じました。
(中央大学法学部3年生 中野 栄二)
>全文はこちらから!
5)甲南大学
甲南大学の学生ボランティアは、神戸刑務所を参観しました。当日は、施設見学や職員の方々からのお話を通じて学びを深めることができました。受刑者の高齢化や受刑者を「さん」付けで呼ぶという決まりができたこと等、現在の刑務所での処遇について考えた貴重な機会でした。
普段は、弁護士の先生方、法学者の先生方からの見解を伺うことが多いですが、今回、刑務所職員の方々からの見解も伺うことで多面的な視点から、日本の司法制度について学ぶことができたように思います。日本の司法制度がよいよいものになるよう、私たち一般市民にもできることを実行していきたいです。
>全文はこちらから!
卒業おめでとうございます!
この3月に多くの学生ボランティアが大学を卒業しました。2022年のホームページのリニューアルから新しいロゴの決定、クラウドファンディングの達成、そして人質司法プロジェクトの立ち上げと、IPJの変革期に大きな力を注いでくれた学生たちです。その熱気と純粋な問題意識が、IPJの輪を広げてくれました。今後はそれぞれ社会で活躍し、IPJサポーターとしてえん罪問題に関わってくれることを期待しています。各大学が、卒業生からのメッセージと、在校生からのメッセージを寄せてくれました。
>胸が熱くなるメッセージの数々はこちらから!