新緑の季節となりました。いかがお過ごしでしょうか。
IPJニュースレターvol.16をお届けします!
世界のイノセンス・ファイター達との連帯
アメリカで1990年代に始まったえん罪救済のためのイノセンス運動。この動きは地域や国を超えて、現在はヨーロッパやアジアにも広がっています。国際的なイベントが続いた3月、IPJも参加してイノセンス運動に関わる世界各国の人々と交流を深めました。
まず3月頭には、スイスでヨーロッパ・イノセンス・ネットワーク大会が開催されました。ついに本格始動したヨーロッパのえん罪データベースや、イタリアで20年以上服役後に雪冤を果たした男性の体験などが注目を集めました。そして、法制度や文化が異なっていたとしても、えん罪の原因と悲劇には共通性があることをふまえて、国連の人権保障メカニズムを積極的に活用するべきこと、そのために国際的な働きかけが重要であることが確認されました。大会参加レポートはこちらから。
そして3月末にはアメリカで、イノセンス・ネットワーク大会がありました。世界各国のイノセンス団体とえん罪被害者が集まり、えん罪救済や刑事司法改革をめぐる様々な問題を議論し合い、情報を交換し合う一大イベントです。今回の参加者は、雪冤者350人を含む1,200人でした。
昨年12月にネットワークへの正式加入を果たしたIPJからは、3名のメンバーと1名の学生ボランティアが参加し、事務局長・笹倉が国際セッションに登壇しました。人質司法にも言及しながら日本の刑事司法について紹介すると、会場からは驚きの声が上がっていました。えん罪と闘う同志達との交流にも触れた参加レポート第一弾、ぜひお読みください!
8周年記念チャレンジ、大成功!
IPJの前身である「えん罪救済センター」は、2016年4月1日に設立されました。設立8周年を記念して、4月1日からの10日間でサポーターを10人増やすというチャレンジを行いました。その結果、なんと11名もの方が、IPJサポーターになってくださいました。新たにサポーターとなってくださった皆様、本当にありがとうございました!また、チャレンジ成功は多くの方が拡散にご協力くださったおかげでもあります。心よりお礼申し上げます。
「サポーターになってよかった」と思っていただけるよう、メンバー、学生ボランティア、世界のイノセンス団体、そしてサポーターの皆様と共に活動を進めてまいります。9年目のIPJを引き続き応援してください!
IPJへのご支援方法には、いつでも寄付できる 一時寄付と、クレジットで継続的に寄付ができる マンスリーサポートがございます。詳しくは下記の「寄付をする」からご覧ください。
IPJのこれまでを振り返ろう、ということで「えん罪救済センター」NEWSのバックナンバーから記事を紹介するコラムを開始しました。初回は、2016年3月に行われたセンター立ち上げシンポジウムの報告です。日本初のイノセンス団体設立のために駆けつけてくれた海外ゲストの錚々たる顔ぶれにはビックリ!
えん罪救済に向けて走り続けてきたIPJの軌跡を共に追ってみませんか?コラムはこちらから。
IPJ活動報告
1)支援状況
新規申込件数 :10件(3月)
審査中件数 :30件
現在支援件数 :4件
月1回の審査会議では、議論が白熱することもしばしばあります。法学者や実務家が議論を重ねることで、新たな視点から検討ができ、何とか雪冤する方法はないものかと頭を悩ませています。審査に時間を要することもありますが、丁寧な審査を心がけています。
〈城使 洸司〉
2)今西事件
この度、今西事件は国民救援会の支援決定を得ることができました。
国民救援会は、長年えん罪に苦しむ方々のための支援をしてきた団体で、イノセンス・プロジェクト・ジャパンの活動とも共通するところがあります。イノセンス・プロジェクト・ジャパンは今後も様々な団体と力をあわせ、今西さんのために支援をしていきたいと思います。
次回期日はもうすぐです。2024年5月21日13時30分から大阪地方・高等裁判所201号法廷で実施されます。次回結審予定ですので、是非傍聴にいらしてください。引き続きご支援よろしくお願いします。
〈湯浅 彩香〉
3)神戸質店事件
先月のイベントの盛り上がりに弁護団も勢いづけられています。
弁護団は、定期的に会議を設けて事件について議論をし、専門家の先生のご意見を聞きながら、再審請求に向けて着実に準備を進めています。一日でも早く緒方さんのえん罪を晴らすことができるよう全力を尽くしたいと思います。
〈神戸質店事件弁護団〉
神戸質店事件シンポジウムの動画を公開しています!ぜひご覧ください。
IPJ連続セミナーを開催します!
日本・韓国・台湾の刑事司法
――比較して見えてくるものとは?――
日本の刑事司法を世界から見たら、どう見えるのでしょうか。
本連続セミナーでは、日本と同じく東アジアにあり、日本法を基礎として刑事司法制度を作ってきた韓国と台湾の刑事司法の現状を学びます。
各国における捜査手法・法科学と鑑定の体制・再審制度を概観し、その先進的な状況を明らかにする報告をとおして、日本のえん罪防止に何が必要かを考えます。
各回とも有識者のコメントと質疑応答の時間を設定しております。是非、奮ってご参加ください!要お申込み・無料です。
【日時・内容】
■第1回 再審制度の現状
2024年6月22日(土)am10:00-12:00
講師:鴨志田祐美(京都弁護士会、IPJメンバー)
コメント:笹倉香奈(甲南大学法学部、IPJ事務局長)
■第2回 法科学と鑑定制度
2024年7月6日(土)am10:00-12:00
講師:平岡義博(立命館大学衣笠総合研究機構、IPJメンバー)
コメント:徳永光(獨協大学法学部、IPJメンバー
■第3回 捜査のあり方
2024年8月3日(土)am10:00-12:00
講師:安部祥太(関西学院大学法学部、IPJメンバー)
コメント:西愛礼(大阪弁護士会、IPJメンバー)
【お申込み方法】
こちらからお申込みをお願いします。後日、ZOOMのURLをお送りします。
【主催】
一般財団法人イノセンス・プロジェクト・ジャパン お問い合わせはこちらから
セミナー第2回の講師、平岡義博のコラム 「台湾の法科学も進んでる!」をセミナー前にいかがですか?
>第2回 各法科学研究所の概要
>第3回 台湾の各法科学研究所と科警研との比較
>第4回 台日法学研究会、台日刑事法研究会での報告
「ひとごとじゃないよ!人質司法」プロジェクト
人質司法サバイバー・ストーリー更新
覚醒剤取締法違反のえん罪で逮捕・勾留されたマーカスさんの人質司法の体験談を新たに公開しました。虚偽自白に陥った過程や身体拘束中の精神的な苦痛を詳しく語っていただきました。「世界中の人々が日本の人質司法の実態を知るべきだ」というマーカスさんの想いを1人でも多くの人々に伝えることができればと思います。ぜひお読みください。
>「この紙にサインさえすれば」:自分は書いていない「自白」~ マーカス・カヴァゾスさんのストーリー
学生ボランティア活動報告
1)中央大学
2024年3月20日に開催された一般社団法人「刑事司法未来」主催のイベントに参加してきました。このイベントでは、テロリストの濡れ衣を着せられ、約15年間もグアンタナモ米軍基地収容所に収容されたモハメドゥ・ウルド・スラヒさんを取材した動画を視聴し、リモートで参加されたご本人との質疑が行われました。グアンタナモ収容所はアメリカの大統領命令により設置され、アルカイダとの関係が疑われる者が拘束されましたが、その非人道的な運用に対して国際社会から強い批判がなされました。特に、中東やアフリカ系のイスラム教徒に対する差別も問題視されました。イベントでは、モハメドゥさんの経験が共有され、公権力による人権侵害は許されないことが改めて示されました。日本政府からビザの発給を拒否されたモハメドゥさんにとって、回復はまだ途中であり、入国拒否という人権侵害に対し、情報開示による公平な審査が必要であると考えさせられました。
〈中央大学法学部4年生・中野 栄二〉
>全文はこちらから
2)京都女子大学
4月17日、24日に、京女IPJボランティアは新歓説明会を行いました。説明会には、20人という予想より多くの人が来てくださり、説明を興味深く真剣に聞いてくださいました。その後の個別質問会では、沢山の質問をいただき、参加者全員がLINEグループに参加してくれました。京女IPJボランティアは、今年もえん罪事件の調査を行う他、裁判傍聴、少年院や検察庁の見学等、様々な企画をしていきます。
>全文はこちらから
3)甲南大学
IPJ支援事件の神戸質店事件について、2024年3月30日に甲南大学岡本キャンパスにてシンポジウムを開催しました。140名を超える方にお越しいただき、再審請求に向かう事件の現状について熱心に聞き入りました。シンポジウムは、甲南大学のIPJボランティア1回生・2回生が企画から準備、広報、当日の運営まですべてを担いました。どのような思いでシンポジウムを企画し、当日を迎えたのか、中心となった学生たちのレポートをお読みください。