レポート第二弾は、中央大学からです!
1 はじめに
私は、セクシュアルマイノリティ当事者として、セクシュアルマイノリティの健康問題の支援活動を行なっています。えん罪救済活動のボランティア活動にも関心があり、この6月から、中央大学法学部に在籍しながら獨協大学IPJ学生ボランティアと一緒に活動を行っています。
6月30日のHRW×IPJ第1回シンポジウム「人質司法を考える」をオンラインで視聴し、司法のあり方について考えました。
2 山岸忍氏とイェスパー・コール氏のディスカションから
法務省は、人質司法について「日本では、被疑者・被告人の身柄拘束について、法律上、厳格な要件及び手続が定められており、人権保障に十分に配慮したものとなっています。」と説明しています。しかし、捜査過程では、弁護人の立会いなく被疑者などが取調べられるため、人権侵害や、自白の強要による冤罪は、いまだに無くなっていないことが分かりました。
また、山岸忍氏は、無実を訴えたために248日間勾留されることになりました。元裁判官でプレサンスコーポレーション事件の弁護人であった西愛礼弁護士(IPJ所属)は、「カルロス・ゴーン氏の保釈条件に更に預金口座凍結などの2つの条件を付けた」そうですが、それでも否認、黙秘などをしていると保釈されないのが日本の司法の現状であると思いました。
捜査は強力な国家権力の行使です。取調室という密室で人権が侵害されたり、無辜の国民に捜査機関のストーリーで濡れ衣を着せる冤罪が起きたりすることを防ぐためには、国際基準の適正な手続きが必要であると感じました。
3 「#ひとごとじゃないよ!人質司法」
私は、セクシュアルマイノリティの健康問題の支援活動も行なっていることから、最後に以下のとおり述べておきたいと思います。
日本におけるLGBTは人口の約8%〜10%前後と言われており、つまり10人から13人に1人がLGBTであるとされています。LGBT当事者が逮捕された場合、供述調書にカミングアウトをしていないクローゼットの当事者が性自認や性的指向を書かれたり、自身の性自認や性的指向と異なることを書かれたりしている。人格権ないしプライバシー権などを著しく侵害するアウティングが平然と行われています。
また、セクシュアルマイノリティ当事者と分かれば独居房に入れられることが多く、HIV陽性者の場合には、特異被留置者に指定され約10分間隔で巡回監視がなされます。ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)とIPJ のシンポジウムで発表されたキャッチフレーズ、「#ひとごとじゃないよ!人質司法」からも自身のことと考えて多くの方に情報発信をしてもらいたいし、私自身も情報発信に努めていきたいと思いました。
中央大学法学部3年生 中野 栄二