「ひとごとじゃないよ!人質司法」イベント参加レポート(4)

 当日のスタッフとして参加した学生、そしてオンラインで視聴した学生からのレポートが届きました。いずれも龍谷大学IPJ学生ボランティアです。

スタッフとして参加した人質司法イベント

 イベントの概要

 まず初めに、日本の刑事司法の特色である、人質司法についてのビデオを見た。例として挙げられたのは、朝の5時から夜の19時まで取調べが行われること、自白の強要、弁護士の立ち合いが認められないことなどである。 
 次に人質司法の問題点について説明が行われた。問題点として挙げられたのは、自白の強要、接見等禁止命令によって弁護人以外の会うことができない、23日間に及ぶ起訴前逮捕・勾留中、連日長時間の取調、黙秘・否認することで罪証隠滅の恐れがあると判断されてしまうことなどの点である。日本の取調べでは、被疑者に対して、要求をのめば解放してやるが、要求をのまなければ解放してやらないと圧力をかける、つまり司法が自白を要求して、被疑者・被告人を「人質」にとっている。そして、解放という目の前の利益を得るために、やむなく虚偽自白せざるを得ない構造となっているのが現状である。よって、人質司法はえん罪の直接的な原因の一つである。
 また、実際に人質司法を体験された山岸忍さんによれば、家族と面会できる時間は1日に15分程度であり、3帖の部屋に8時間も拘束され、弁護士とはアクリル板越しに1時間しか接見することができなかったという。人質司法の取調べといえば、大きな声で怒鳴られたり恫喝され、自白を強要されるイメージが強いが、山岸さんの場合は、女性の検察官が、とても親身になっての取調べが行われたそうだ。3帖の部屋に8時間も拘禁されているので、その女性検察官が自分の唯一の見方で、自分のことを全部理解してくれると人だと錯覚してまったという。逆に弁護士は、アクリル越しに1時間しか接見することができないので、山岸さんにアドバイスもあげることができないし、時間的にも信頼関係を築くことは難しい。そのため、取調べで発言をすると証拠となる可能性があり、不利になるため、黙秘することを勧めても、なかなか山岸さんが理解してくれなかったという。
 次に、国際的な視点から、日本の刑事司法制度や人質司法に関する問題が話し合われた。結論から言うと、ドイツやアメリカと比較して、日本では取調べ過程における人権侵害が甚だしい。23日間に及ぶ身体拘束は信じられないという。そして、日本の刑事司法制度は不透明であり、人質司法を行った捜査機関が責任も持たないのは、かなり酷いそうだ。その上で、先進国であるにも関わらず、人質司法を維持する日本の刑事司法制度は他国に誇れるのか、とパネリストのイェスパー・コールさんからの鋭い指摘があった。しかし、「カルロス・ゴーン氏の事件が起きた今こそが、日本の制度改革のチャンスである」と述べてくださった。

IPJ学生ボランティアとして

 そして、今回のシンポジウムでイノセンス・プロジェクト・ジャパンとヒューマン・ライツ・ウォッチが共同で、プロジェクトを行うことを発表した。キャッチコピーは「ひとごとじゃないよ!人質司法」である。また、プロジェクトの特設ホームページ「ひとごとじゃないよ!人質司法」を開設し、今後このホームページでプロジェクトでの活動やイベントを順次報告していく予定である。私も、イノセンス・プロジェクト・ジャパンの学生ボランティアの一員として、プロジェクトに参加し、えん罪の被害者支援などに力を入れていきたい。

龍谷大学3年生 米澤 翔一

当日は案内係を担当しました!

逮捕は刑罰ではない

 今回の人質司法イベントを観た後に、たとえ被疑者が逮捕され、おかしい点が見つかったら、他の人と同じように保釈されるべきであり、黙秘権を被疑者と確実に伝えたを確認しなければなりません。そして、有罪が確定するまで無罪である事が一番重要だと思いますと認識しました。
 しかし、これも非常に難しい事です。被疑者に間違いを認めさせることは、起こらなかったことに嘘をついて、本当に発生したになれば、間違って逮捕ではないと証明されるだけでなく、事件も早く「解決」になります。 そのため、逮捕を決める前に、改めて慎重に進めるべきではないでしょうか。 そして逮捕された後に、もし家族との接触を禁じられた後、普段話すことができるのは警察官だけで、そして親しいふりをしながら、外で待っている親族を心配する気持ちも相まって、次第に考えが変わっていく可能性が高いです。  
 もし私だったら、それによって起こってもいないことを自白することになるかもしれないと思います。 これは容疑者を傷つけるだけでなく、国の司法制度に不信任感や不安感を抱かせる可能性があります。
 最後に強制手段としての逮捕はまるでその事件を進行中の状態にすることであり、逮捕されることこそが、事件を解決するということになってしまい、有罪判決を意味したら、極めて怖い事じゃないでしょうか?被疑者を逮捕しないことが何もしていないと考える人が多いのだと私は考えています。 そのためまだ長い道のりがあります。このような考えが消えるように、人質司法を改善しなければならないという事を再び深く認識しました。 逮捕と人質司法は刑罰ではないはずです。

龍谷大学1年生 ラ ウコウ

龍谷大学IPJ学生ボランティアの定例ミーティングから