【コラム】ヨーロッパ犯罪学会における日本の冤罪に関する報告(西愛礼)

この度、誤判救済センターの皆様とヨーロッパ犯罪学会で「日本における死刑と再審」という報告を行いました。私はその中でも「日本における誤判原因研究及び対策の現状と課題」という報告を行いました。

ヨーロッパ犯罪学会に行くまで

このヨーロッパ犯罪学会というのは、犯罪に関する世界最大規模の国際学会です。

私も名前だけは知っていたのですが、まさか自分が報告をすることができるとは思ってもいなかったので、審査が通ったということを聞いたときはとても光栄で嬉しく思いました。

私にとって、人生で初めての国際学会です。

弁護士になってから、人前で話す際には紙を見ずに話すように心がけているのですが、英語での報告は初めてでしたので事前に何度も練習しました。

ヨーロッパ犯罪学会での報告の様子

ヨーロッパ犯罪学会は2000人以上の発表者がいるため、同じ時間帯に別の場所で行われている報告がいくつもあります。

そのため、一つの報告に人が集まらないこともあると伺っていたのですが、当日は他国の研究者も押し寄せ、広くない会場は満席で立ち見が出てしまう状況でした。

まずは戸舘先生から袴田事件に関する報告がありました。死刑判決を受けて味わった恐怖について袴田さんご自身の手紙を紹介されたり、再審開始決定により身体拘束から解放され自由を手に入れてからの袴田さんの様子を紹介されたりしているのを、世界中の方々が見入っていました。戸舘先生がご自身の報告をYoutubeにアップロードされましたので、ぜひご覧ください。

 

次に私(西愛礼)から報告を行いました。報告の内容としては、

  • 日本で注目されてきた4つの証拠(自白、共犯者供述、目撃供述、科学的証拠)の統計や取調べ依存型捜査構造になっていること
  • 心理学(確証バイアス、ヒューリスティックス、認知的一貫性、認知的不協和等)を用いた冤罪原因分析の重要性
  • ③冤罪を再生産する社会構造の問題点
  • ④冤罪を防ぐためには「冤罪を学び、冤罪に学ぶこと」が必要であること

というものでした。

詳しくは今月発売予定の『冤罪学』をぜひご参照ください(『冤罪学』の出版について)。

四大冤罪証拠や心理学を用いた冤罪原因分析の重要性は世界共通の事柄であり、日本の冤罪の再生産構造はヨーロッパ諸国の誤判冤罪原因検証機関から学びたい点で、そして冤罪から学ぶということについてはグローバル・スタンダードになって欲しいという願いがあるため、これらを世界に報告するということは非常に貴重な機会でした。

そして、IPJの斎藤司先生から再審に関する報告がありました(斎藤先生の報告については、また別途IPJのコラムで掲載予定とのことですのでお楽しみに!)

最後に、IPJの鴨志田祐美先生から大崎事件と再審の問題点に関する説明があり、石塚伸一先生(龍谷大学犯罪学研究センター長)に総括いただきました。

ヨーロッパ犯罪学会における報告の感想

総じて、海外の研究者の方々もスライドを写真撮影したりして、熱心に聞き入っていたのが印象的でした。

日本の冤罪に関するヨーロッパ犯罪学会での報告を通して、冤罪は国際的な課題であることを改めて実感しました。

国際的に協力して冤罪問題に取り組むためにも、今回のような報告をすることができてとても良かったです。

引き続き、IPJの活動を通して国際的に冤罪に取り組んでいけたらと思っております。

しんゆう法律事務所 西 愛礼