【学生ボランティア(関西学院大学)】人質司法サバイバー国会レポート

 今回、人質司法サバイバー国会の動画を拝見し、人質司法の実態や問題点を知ることができました。

 日本の司法制度には多くの問題が存在しますが、今回は、取調べに関するものが多く取り上げられました。その中で、被疑者が黙秘・否認をする限り実質的に無制限の取調べが可能であり、取調べでは被疑者の人格を傷つけ、否定するようなことが行われているという事実を知りました。
 村木厚子さんは勾留中、「否認しているから保釈はなかなか認められないよ」と弁護士に言われたそうですが、その時、「裁判も始まっていないのになんでもう罰を受けているのだろうという違和感がずっとありました」と述べられていました。
 私も村木さんと同じ疑問を感じると共に、刑の確定後も未決勾留の時点でも、人格否定されるような捜査や処遇が行われてはいけないと改めて感じました。

 また、拘置所内の医療レベルの低さが問題として取り上げられ、受けるべき時に適切な治療を受けることができなかったというエピソードを聞きました。大川原化工機事件の相嶋静夫さんは、東京拘置所内で重度の貧血が判明したことをきっかけに、胃がんであることが判明し、都内の大学病院を受診しましたが、刑事被告人であることを理由に検査や治療を受けることができなかったといいます。それだけでなく、拘置所病院内のカルテによるともっと前の段階から貧血があったことが判明していたのにも関わらず、拘置所病院の医師はこの検査結果を見落としていた事実も紹介されました。
 拘置所の医療レベルの低さを知り、刑事施設全体に医師を常駐させることや、治療を受けることが被収容者の持つ当然の権利であることを検察や警察が改めて認識する必要性を感じました。

 今回人質司法の実態や問題点を知り、日本で人質司法が当たり前に行われていることに疑問に感じました。人質司法をなくすためには、やはり法制度の改正が最も重要であると思います。
 ただ、1人でも多くの人に人質司法について知ってもらい、社会全体で重要な問題として認識することも不可欠です。山岸忍さんは「弁護人の立ち会いが存在しないことでプロとアマチュアの闘いになってしまっている」と述べられていましたが、私たち一人一人が人質司法の存在を認識し、知識を付けていくことが、今すぐにできるこの問題の被害を減らす方法であるとも思います。自分や家族、友達が人質司法の当事者になる未来を想定して、身近な人たちから今回学んだことを伝えていきたいと思いました。

関西学院大学法学部3年 S.M.

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