今年は裁判傍聴に興味を示してくれた1回生が多く、36名で大阪地方裁判所へ行きました。1回生の多くにとっては初めての裁判傍聴だったので、実際の刑事裁判の流れや裁判所の空気感を味わうことを目的としました。
初めての学生が多かったので、事前にパンフレットを配布することで、裁判所に入る際に手荷物検査があることや裁判所の敷地内では写真撮影や動画撮影が禁止されていることなどを伝えました。手荷物検査の後、当日に開廷している事件のリスト(開廷表)をメモして事件を選び傍聴するという流れも体験しました。開廷表には事件が「新件」、「審理」、「判決」で分類されて記載されており、私は「判決」と「新件」の事件を傍聴しました。
「判決」期日の事件は、傍聴席にとても緊張感がありました。不同意性交事件であり、被告人は前科がなく、反省をしている様子はありましたが、懲役5年6か月の有罪判決が下されました。
また、「新件」では、追い越し禁止の車線を越えて走行し、人身事故が起きてしまったという過失運転の事件を傍聴しました。裁判官は加害者に対しての謝罪文を書くよう被告人に促していました。検察の主張や弁護人の主張などを聞くことができ、被告人も言葉を選びながら発言している様子を見ることができました。
1回生は、弁護人と検察官の感情的に主張したり反論したりする様子がなく、テレビで見た裁判との違いに驚いたという意見や、緊迫した雰囲気を実際に感じることができる機会になったとの声を聞きました。
教科書だけでは得られない、事件の背景にある様々な事情や、当事者の心情を直接感じることができ、証拠や証言をもとに法的な観点から判断していく様子を見ることができました。また、精神障害を持っている方や相手方が許容していた場合は減刑されること、判決終了後に不服がある場合は、控訴や上告などの手続きを行うことができることなど学んだ経験から振り返る貴重な時間になりました。
【甲南大学2回生・森脇明子】

