8月26日から27日にかけて開催された、台湾イノセンス・プロジェクトの年次大会で、IPJ事務局長の笹倉香奈が基調講演をしました。
台湾IPは毎年8月の終わりに年次大会を開き、テーマに沿って様々な講演やイベントを行います。今年のテーマは、「循路科學,邁向清白 (無実への道を科学する)」でした。笹倉のほか、アメリカ・テキサス州の法科学委員会の委員長のLynn Garcia氏が基調講演を行いました。
笹倉の基調講演「搖晃嬰兒症候群:日本平反冤案的經驗」は、台湾IPに依頼されてSBS(揺さぶられっ子症候群)をめぐる日本の議論について紹介したものです。笹倉は、IPJの姉妹プロジェクトであるSBS検証プロジェクトの共同代表を務めており、2017年からSBSえん罪の問題に取り組んでいます。SBS検証プロジェクトに所属する弁護士たちの弁護活動によって、2018年以降に10事件において無罪判決が確定しています。基調講演では、これらの無罪判決の背景にはどういう事情があるのか、何を今後変えていかなければならないのかが語られました。講演後に、台湾の議論状況についての情報提供や、日本の「子ども虐待対応の手引き」の位置づけなどについて、活発な意見交換と質疑が行われました。
大会では、先日逝去された桜井昌司さんの追悼も行われました。桜井さんは2018年に台湾IPの年次大会にIPJのメンバ―と参加し、親交を深めました。国境を越えて、桜井さんを惜しむ声があがりました。
*笹倉が共編著者に加わり、ケンブリッジ大学出版会から今年の6月に公刊された Shaken Baby Syndrome: Examining the Abusive Head Trauma Controversy では、台湾を含め、世界各国におけるSBSについての議論状況がまとめられています。ご関心がある方は、こちらも是非お読みください。