大阪弁護士会の再審法改正実現PTのメンバーで、2023年9月11日から14日まで台湾へ再審法調査に行ってきました!IPJのメンバーからは、秋田真志弁護士、鴨志田祐美弁護士、亀石倫子弁護士、知花鷹一郎弁護士、そして筆者の松本亜土が参加しました。
台湾では、台湾イノセンス・プロジェクト(台湾IP)、台湾弁護士会、司法院、台湾高等検察庁、監察院を訪問しました!この台湾調査で驚いたことの一つは、日本と比べて検察庁が非常上告に積極的であったことです。台湾高等検察庁と交流の際には、検察官から「公の代表者として、誤判であったならば、適切な判決を求める責務がある」という趣旨の話がありました。これまでに検察官による非常上告が何件かあり、その中には裁判所に認められなかった例もあったそうです。このように検察官が非常上告をしても、裁判所が認めないというのは日本では考え難いことです。そもそも日本では、検察官が非常上告をするという事例は極めて稀です。では、その違いは何なのか。
台湾で各機関や台湾IPを訪問し終わったときに、台湾のえん罪救済過程が私の中で明瞭になりました。台湾では、監察院という憲法上定められた独立の最高機関があります。日本の憲法では三権分立となっていますが、台湾では五権分立です。その五権とは、立法、行政、司法、考試、監察です。
今回、日本にはない監察院も訪問しました。監察院は、国家機関として公務員や国家機関の不正を調査し、弾劾権などを行使します。その一環として、えん罪に関する調査や職権発動を行っています。監察院は、誤判・えん罪事件であるか否かを調査し、誤判であると判断した場合には、検察庁に対して非常上告をするよう勧告します。監察院による調査の開始の端緒となるのは、誤判調査の場合であれば、えん罪救済団体からの陳情です。台湾IPから監察院につなげる事件もあるそうです。
また、台湾IPを訪問し、その審査体制や広報活動についても話を聞いてきました。台湾IPの活動は、国家機関の監察院との協力のもとでのえん罪救済にとどまりません。監察院を通さずに、台湾IPのメンバーがえん罪を晴らしたケースも数多くありました。
台湾には、えん罪を救済するルートが複数存在していますが、それは法整備が充実してきた結果だと考えます。そして、法整備の充実は、やはり市民と専門家が現行の再審制度の問題点について共通認識をもつところから始まるのだと思います。私たちIPJも、再審法の問題について、今後もより多くの方と一緒に共有していけたらと感じました。
最終日には、夜市に行きました!夜風も気持ちよく、また訪問したいという気持ちになりました。
松本 亜土(まつもと・あど)