ニュースレターvol.14を配信しました!

イノセンス・プロジェクト・ジャパン

寒暖差の厳しいおり、いかがお過ごしでしょうか
IPJニュースレターvol.14をお届けします!

ひとごとじゃないよ!人質司法プロジェクト

人質司法サバイバー・ストーリー更新 「サンドバッグのように延々と罵詈雑言」

 特設サイトでは、人質司法の当事者による体験談を連載しています。

 元弁護士の江口大和さんは、2018年10月15日、犯人隠避教唆の疑いで横浜地検特別検察官部に逮捕されました。その2年前に起きた無免許運転の死亡事故をめぐり、運転していた男にうその供述をさせたという容疑でした。 江口さんは「事実無根。これ以上話すことはない」と述べ、その後は一貫して黙秘しました。そんな江口さんに対して、検察官は上から馬鹿にするような表情と言葉遣いで揶揄してきたのです。

「ガキだよね、あなたって」「刑事弁護を趣味でしかやれない人。プロではない」「着眼点がトロいな」「稚拙な主張、なんだこれ」「あなたの中学校の成績見てたら、あんまり数学とか理科とか、理系的なものが得意じゃなかったみたいですね。なんかちょっとさ、論理性がズレてるんだよなあ」…

 勾留中の取調べは、合計56時間22分に及びました。江口さんは、「否認や黙秘をすると身柄拘束が延びるぞ」と捜査官から煽られることで、いつ保釈されるかわからない不安が募り、争う気力が奪われるといいます。また、非人道的な閉鎖空間に置かれることでその不安が増大して大きな精神的ダメージを負うとも語っています。

取調べの録音録画が映す検察官による「精神的拷問」ー江口大和さんのストーリー

 江口さんの取り調べ動画は、2024年1月、民事訴訟の証拠として法廷で再生され、ネット上でも公開されたことで大きな反響がありました。
*検察官の罵倒など過激な音声が含まれていますのでご注意ください。


大川原化工機事件の島田順司さんが人質司法の解消を訴える

 2月22日、アジア・ソサエティ“Guilty Until Proven Innocent”にて、大川原化工機事件の島田順司さんが人質司法の解消を訴えるスピーチを行いました。

 警察は私に罪を自白させるために逮捕し、私を留置所に閉じ込め、家族や社員、社会から分断しました。黙秘する私に対し、警察は、「弁護士に言われたから黙秘しているのだろう。」「弁護士の言うことを聞いて失敗した人を多く知っている。」と言って、不安を煽りました。

 私たちと一緒に逮捕された同僚の相嶋静夫さんは、間違った起訴勾留により劣悪な環境に拘束され続け、勾留中に進行性の胃がんが発見されたにも拘わらず、適切な病気治療もなされず、2021年2月7日、他界しました。相嶋さんは勾留されてから8回保釈を求めましたが、最後まで認められませんでした。任意の取り調べの時に相嶋さんと交わした「潔白が証明されて終わったら1杯やろうね」という言葉が、最後の会話になってしまいました。

 疑いがあるというだけで長期の身柄拘束を正当化し、家族とさえ接触を禁止し、精神的に追い詰めて自白をもとめる、今の人質司法という制度を、1日も早く是正し、二度とこのような冤罪事件が起きないようにして頂きたいと思います。そして、警察や検察官による取調べの際には、黙秘権を認めること、そして、弁護士の同席、録音録画が最低でも許されるべきと思います。
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 ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表の土井香苗氏、IPJ事務局長の笹倉香奈も登壇し、日本の人質司法の実態と課題について説明しました。日本の人権問題を国際的に訴える貴重な機会となりました。
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IPJ活動報告

1)支援状況

新規申込件数    :16件(1月)
審査中件数  :31件
現在支援件数 :4件

 2024年1月は、16件もの新規相談がありました。えん罪を訴える相談が増えることは、決して喜ばしいことではありません。しかし、IPJが認知され、これまで拾われることの無かった声を拾う機会が増えているのだとすれば、意義のあることだと思います。引き続き、一つ一つのご相談に真摯に取り組みたいと思います。〈城使 洸司〉

2)今西事件

  昨年11月30日の第4回公判期日では、傷害致死について検察官が主張する頭部への外力があったのかどうかが争点となり、検察側・弁護側双方から病理を専門とする医師が証言しました。病理とは、組織や細胞等から、体の中で何が起こっているのか、その原因や発生機序を明らかにする分野です。本件において、非常に重要な尋問でした。
 検察側医師ですら、心肺停止の原因は外力の可能性があるという意見にとどまり、検察官から提供された資料からは心肺停止の原因は外力であると断定はできないと証言しました。一審の判決がいかに根拠のない証言に基づいて事実認定をしてしまっていたかが明らかになりました。
 控訴審もいよいよラストスパートです。最後までご支援よろしくお願いします。〈湯浅 彩香〉

3)神戸質店事件

 神戸質店事件で初めてのシンポジウム、参加申し込み受付を開始しました!
 3月30日に甲南大学岡本キャンパスにて開催します。シンポジウムを主催する甲南大学IPJ学生ボランティアが、現在準備を進めています。奮ってご参加ください!当日、皆様にお目にかかれますことを楽しみにしています!〈甲南大学IPJ学生ボランティア一同〉

お申込み・お問合せは、こちらから

IPJサポーター募集中!

 IPJには、えん罪を晴らしたいという支援のお申し込みが平均して毎月10件以上届いています。時間と人手が常に不十分な状況下、いただいた資料の整理と審査を慎重に進めていることから、支援可否の決定をお知らせするまでに長期間お待たせしてしまっていることは大変心苦しく、お詫び申し上げます。また、科学的にえん罪を明らかにできるかを判断するにあたっては、専門家への鑑定依頼や現地調査が必要となり、これに多額な費用がかかるため、財政的な不安にさらされているのが現状です。

 しかし、時にメンバーの息が上がりそうになる中で、皆さまからの支えが何よりの力となっています。数ある団体の中から、IPJを選んでご支援をくださった方に、心よりお礼を申し上げるとともに、手厚く・幅広いえん罪救済のために、ひき続きのご支援とご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。

IPJへのご支援方法には、いつでも寄付できる 一時寄付と、クレジットで継続的に寄付ができる マンスリーサポートがございます。詳しくはホームページの「 寄付をする」からご覧ください。

おおさか人権フェスタに出展しました!

 2月10日に大阪弁護士会で開催された「おおさか人権フェスタ」では、えん罪の問題とIPJや学生ボランティアの活動内容について広く知っていただくために、学生ボランティアがブースを出展しました。
 工夫を凝らしたパネルに足を止めて下さる方も多く、IPJの取り組み、学生ボランティアの活動、支援事件等についてお伝えすることができました。えん罪問題に取り組むことに共感を示してくださる方、新たな知識を得たと喜んでくださる方、元・学生ボランティアや、これから学生ボランティアになりたいという方との出会いを通じて、IPJ学生ボランティアも多くを学んだようです。
 舞台での説明もみごとにこなした学生ボランティアの姿など、下記レポートをご覧ください。
>甲南大学 学生レポートへ

IPJメンバーの活躍

新コラム 連載スタート!

 昨年、韓国の法科学制度をレポートした平岡義博の新連載が始まりました。今回は、台湾の法科学を取り上げます。連載第1回では、台湾の法科学を担う組織体制をご紹介。そこで取り扱う資料との関係も整理しながらお伝えします。日本の国立科学警察研究所とはどこが違うのか?ぜひお読みください。
台湾の法科学も進んでる!(1)


留置所でのブラトップ禁止

 警察の留置施設にいる女性被疑者がブラトップ着用を禁じられている問題は昨年から注目を集めており、国会でも議論となりました。着用を認めている自治体もありますが、それが徹底されていません。2018年から着用を認めているはずの大阪府警でも、不適切な対応がみられました。これが人権の侵害であるとして改善に奔走した松本亜土が、産経新聞の取材を受けています。
女性容疑者11日間「ノーブラ」、取り調べも 大阪府警対応改善へ

学生ボランティア活動報告

1)京都女子大学

 1月23日に京都地方検察庁を訪問しました。検察官、検察事務官の方からのお話の後、庁舎を見学し、模擬捜査(弁解録取)も見せていただきました。
 検察官からは、検察官の役割が、事案の真相を明らかにした上で、起訴すべきかどうかを適正に判断するとともに、起訴した事件について適正な処罰を求めることにあるというお話をうかがいました。また、事件の処理だけでなく、被害者・ご遺族の思いに寄り添った支援や、罪を犯した人に対する再犯防止、社会復帰に向けた支援などにも取り組んでいるそうです。そして、模擬の弁解録取では、被疑者が犯人であるか否かをはっきりさせることができる客観的な証拠の収集に尽くさなければならないと教えていただきました。学生の感想レポートへ

2)甲南大学

 立命館大学のIPJ学生ボランティアが企画運営した映画『オレの記念日』上映会及び金聖雄監督の講演会に参加しました。
 「布川事件」再審無罪判決の前年からの12年間を記録した桜井昌司さんのドキュメンタリー映画には、えん罪について桜井さんが世間や人々に情報発信する姿がいきいきと描かれていました。東住吉事件のえん罪被害者である青木惠子さんを励ます姿にも心揺さぶられ、上映後の金監督の講演会では、えん罪が作られる原因として警察・検察や裁判所の「組織論」だけでなく、マスコミの報道の仕方や、情報の受け手である私たちの姿勢があることを学びました。もっと読む


2024年の広報会議スタート!

 大学の定期試験が終わった2月頭、今年初の広報会議を開催しました。各大学の取り組みは、刑事司法制度に関する学びから、フィールドワーク、施設参観、えん罪問題の社会への発信までさまざまです。また、春休み期間を利用して、今西貴大さんの面会に行く学生も増えています。会議後の夕食会も恒例となり、楽しい1日となりました。