IPJニュースレターvol.13 新年号を配信しました!

2024年もどうぞよろしくお願いいたします。
IPJニュースレターvol.13 新年号をお届けします!

2024年を迎えて

 IPJ理事長・理事・事務局長・委員長から、年頭のご挨拶を申し上げます。

理事長 石塚 章夫
「年頭にあたって」
多難を思わせる年明けとなりました。世界に目を転じても、環境問題や戦争等、悲観的な材料が山積しています。しかし、そのような時代だからこそ、法の精神が一層実践されなければなりません。私たちは、その持ち場において役割を果たしたいと思います。 今年は、人質司法プロジェクトの2年目であり、支援中の事件においても具体的な進展が予想されます。また、審査を要する事件も増加しております。皆さんで力を合わせ、イノセンス・プロジェクト・ジャパンにふさわしい活動を展開して行きましょう。

理事(財務担当)渕野 貴生 
「持続可能な活動に向けて」
明けましておめでとうございます。 クラウドファンディングなどを通じて、皆さまから多くのご支援をいただいたことにより、昨年、一般財団法人としてのスタートを無事に切ることができました。その後も、多くの方に、継続的にご支援いただいていることに改めて深く感謝いたします。 一方で、支援事件が順調に増えてくるに従い、調査等を行うための支出も増えつつあります。えん罪を救済する取り組みが持続可能な活動として根付くために、財政的基盤の確立が重要な課題となります。今後、財政基盤の安定化に向けた具体的な方策を立て、実行していきたいと考えております。皆様には、一層のご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

理事(審査担当) 川崎 拓也
「一件でも多くの雪冤を」 
明けましておめでとうございます。 審査委員会では、一件でも多くの無実の訴えにお応えすべく、慎重にお申し込みいただいた事件を精査しています。本年も一件でも多くの支援決定を行いたいと考えております。 その一方で、本年は既に支援決定をした事件について、判決を迎えるものも複数あります。また、再審請求に至る予定のものもあります。これまで当団体が支援決定し、雪冤を果たしたケースもありますが、やはり雪冤を果たしたときの喜びは格別です。皆様によい報告ができるよう、支援事件の成果もご報告して参ります。 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

事務局長 笹倉 香奈
「新年のごあいさつ」   
昨年はIPJにとって発展の年でした。一般財団法人になり、新たな体制で活動を推進してまいりました。イノセンス・ネットワークの参加要件を満たすことができ、国際的なえん罪救済ネットワークの正式メンバーにもなりました。 他方で、メンバーの浅田和茂先生(立命館大学名誉教授)や布川事件の桜井昌司さんなど、IPJにとってとても大切な方々が旅立たれました。ご遺志を引き継ぎ、えん罪事件の救済活動にいっそうまい進いたします。 引き続き「ひとごとじゃないよ!人質司法」プロジェクトの活動を継続し、国際的な活動も活性化するなど、公正な司法の実現に向けた取組みに尽力いたします。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

科学者ネットワーク委員長 稲葉 光行
「正義のための科学を目指して」 
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。 昨年は、刑事裁判における科学的証拠の不適切な扱いが社会的に注目された年でした。IPJでは、刑事事件に関わる科学的証拠や科学鑑定のあり方を吟味し、えん罪の防止や救済に貢献することを目指しています。今年も、最新の科学技術や知見を活用し、また海外の科学的司法の動向を調査することで、司法における「正義のための科学」の実現に努めてまいりたいと思っています。皆様のご支援とご協力を引き続きよろしくお願い申し上げます。

広報委員長 古川原 明子
「IPJの輪を広げるために」 
昨年までの広報における目標は、IPJの前身である「冤罪救済センター」が育んできた繋がりを絶やさないことにありました。クラウドファンディングやチャリティーグッズ販売を経て、その繋がりが少しずつ広がってきたことを実感しています。人質司法プロジェクトとして意見広告にも挑戦し、これまで「えん罪」という言葉に馴染みのなかった方々にも関心をもっていただくことができました。 今年は国内だけでなく、日本のインセンス・ムーブメントの情熱と知見を国際的にも発信していきます。ご支援くださる皆様と共に、IPJの輪を広く太くすることが目標です。

IPJ活動報告

1)支援状況
新規申込件数    :10件(12月)
審査中件数  :32件
現在支援件数 :4件

 今年も昨年同様、審査会議を実施していきます。迅速に審査をする必要がある一方で、雪冤のためには粘り強い検討が必要です。審査会議では当該ケースの審査担当者以外のメンバーからも、様々な質問や意見が述べられ、議論を尽くした上で最終的な判断をしています。これからも迅速、かつ、丁寧な審査を心がけます。〈城使 洸司〉

2)今西事件
拘置所で5回目のお正月を迎えた今西貴大さん。今年こそえん罪が晴らされることを信じて、支援者の皆さんが面会や文通を続けています。今後の裁判の動向については、ひき続きホームページなどでお知らせします。〈湯浅 彩香〉

3)神戸質店事件
昨年実施した実験もふまえて、再審請求に向けた準備をさらに進めていきます。また、多くの方に神戸質店事件を知ってもらうために、学生ボランティアが主体となったシンポジウムを3月30日に開催します。詳細が決まり次第、ホームページ、SNS、ニュースレターでお知らせします。ぜひご参加ください。〈神戸質店事件弁護団〉

IPJサポーター募集中!

えん罪は過去のものではありません。支援を受けることができずに苦しんでいる方が、まだまだ多くいらっしゃいます。IPJは、えん罪被害者が適切な支援につながるための窓口となることを目指して活動しています。

 IPJへのご支援方法には、いつでも寄付できる 一時寄付と、クレジットで継続的に寄付ができる マンスリーサポートがございます。詳しくはホームページの「 寄付をするからご覧ください。

おおさか人権フェスタに出展します!

2月10日に大阪弁護士会で「おおさか人権フェスタ」が開催されます。

「人権」をテーマとしたコンサートや映画など盛りだくさんのイベントです。IPJは、初めてこのイベントにブースを出して出展することになりました。

 学生ボランティアが中心になって昨年から工夫を凝らして作ったパネルを、ぜひ見に来てください!IPJステッカーなどのプレゼントをご用意してお待ちしております。
>イベントの詳細はこちらから

「ひとごとじゃないよ!人質司法」プロジェクト

2023年12月27日、大川原化工機事件という冤罪事件に関して、東京地方裁判所が公安部による逮捕・取調べと検察官による起訴の双方に関して、違法を認定しました。
判決は、従業員の聴取結果に基づいて再度の温度測定を行っていれば、熱風によって対象となる細菌を殺菌する温度に至らないことは容易に明らかにできた以上、警視庁公安部が通常要求される捜査を遂行していれば無罪であることを明らかにする証拠を得ることができたといえ、その判断は合理的な根拠が客観的に欠如していることが明らかだとして、国家賠償法上の違法を認定しました。また、検察官も、公訴提起前にそのような報告を受けていた以上、必要な捜査を尽くすことなく起訴したとして、国家賠償法上の違法が認定されました。

人質司法サバイバー・ストーリー
特設サイトでは、人質司法の当事者による体験談を連載しています。上記の大川原化工機事件では無実の相嶋さんが、人質司法によって亡くなってしまいました。二度と同じことを繰り返さないために、相嶋さんの身に起きたことを知っていただければと思います。
無実を訴えたまま失われた命―相嶋静夫さんのストーリー

人質司法サバイバー国会
昨年11月に開催した人質司法サバイバー国会の動画を公開中です。相嶋さんのご遺族の他、検察官による取調べの映像が注目された江口大和さんのスピーチもご覧いただけます。

学生ボランティア活動報告

1)立命館大学:『冤罪学』(西愛礼)を読んで
私はIPJの学生ボランティアとして冤罪防止に関する活動に参加していますが、そもそも「冤罪」とは何かを明確に理解することはできていませんでした。本書では「冤罪」とは何を表すのか、という言葉の説明が初めの章で丁寧に書かれていたため「冤罪」という言葉が意味する中身を把握することができたのでよかったです。
本書では過去の冤罪事件から考えられる様々な冤罪発生の原因が説明されていました。特に、冤罪の原因を心理学の観点から分析する中で、被疑者だけでなく検察官や裁判官、弁護士など刑事司法に関わる人々の精神の動向1つ1つが冤罪に繋がるということは、自分にとって新たな発見でした。
また、冤罪を防ぐために過去の冤罪事件の分析が大切であるということは、私にとって勉強で問題を解いて間違いがあった時に、なぜ間違ったかを分析して理解することで次に同じ間違いをしないようにするという勉強におけるサイクルと同じように感じることができ、とても理解しやすかったです。
冤罪の問題は複雑なことが多いですが、本書ではそれらの複雑な内容を細かく分類してそれぞれについて丁寧に説明されているため、法律の知識が浅い私でも内容を理解することができました。法律の知識、刑法や刑訴法について詳しくない方でも自分の経験に照らして納得できるような説明がなされていたため、多くの人に読んでいただきたいです。〈立命館大学法学部1回生 S.S.〉

2)龍谷大学:人質司法に関するアンケート
学園祭で行った人質司法に関するアンケートに関するレポート第二弾です。逮捕された人に対するイメージや、1日の平均取調べ時間についての質問に、どのような回答が集まったのかを紹介しています。初めての学園祭出展は、寝る時間がないくらい準備が大変でしたが、IPJ学生ボランティアらしい活動ができたと思ってます。>もっと読む

3)獨協大学:狭山事件を考える
獨協大学では、2023年12月19日に、狭山事件の弁護団のお一人である河村健夫弁護士にお越しいただき、ご講演いただきました。実際に再審請求に携わっておられる弁護士の先生から、当時の捜査の杜撰さや、現在の再審請求審の状況、再審請求手続きの問題点などについて、丁寧に解説をしていただき、冤罪に対する意識をより高めることができました。>もっと読む

4)京都女子大学
京都女子大学IPJ学生ボランティアは、1月19日・24日に京都女子高等学校で高校生に向けた講演会を行いました。
講演会では、京女IPJの活動内容や、私たちが独自に調査した京都の痴漢事件と、豊川事件について説明し、最後には刑事司法における問題点について、京女生としてジェンダーの視点も踏まえながらお話しさせていただきました。
高校生のみなさんは、私たちの説明を真剣に聞いてくれていて、説明の途中で挟んだグループワークでは、高校生から積極的に疑問に思った点や興味を持った点について発言してもらうことができ、嬉しかったです。また、私たちIPJの活動について知ってもらうことができ、とても有意義な時間になりました。>もっと読む

2024年を迎えて:学生ボランティア編

2024年3月30日に、甲南大学の学生ボランティアは現在IPJが支援中の事件である神戸質店事件についてシンポジウムを開催します。私たちは昨年、神戸質店事件の目撃証言に関する実験もお手伝いし、目撃証言がいかに信用できないのか実感しました。
えん罪被害者を救うためには、まず事件について多くの方に知っていただくことが重要だと考え、昨年の終わりから企画・準備に取り組んでおります。
私は昨年、今西事件の公判や神戸質店事件の目撃証言の実験などについて知り、関わるなかで、無実かもしれない人の身体を長期間拘束してしまう司法制度に改めて憤りを感じました。また、これだけ弁護士や専門家が時間と労力を費やしても司法の世界はあまり変わらないという現状に落胆しました。しかし、一歩ずつ前進していることに違いはありません。一日でも早く、えん罪被害者が元の生活に戻ることができるよう、私たち学生ボランティアにできることを見つけ、さらに力を尽くしていきたいと思います。
〈甲南大学2回生 西村 友希〉

新しい年が始まり、4月からは学年がまた一つ上がります。
昨年から獨協大学IPJ学生ボランティアと合同で活動させていただき、「冤罪事件」における偏見や誤解を排除して客観的に「必要な情報を見極める力」を養うことができました。これもひとえに、冤罪被害者の声を聞かせていただいたおかげであると思っています。桜の咲く頃には4年生ということで、卒論の仕上げだけではなく、大学院の受験などで忙しくなります。冤罪被害者の方々に学ばせていただいていることを常に忘れず、冤罪の問題について社会に向けて啓発活動を行い、理解を深めるための努力をしていきます。
さいごに、ドイツの法学者イェーリング先生は「法の目的は平和である」といったそうです。裁判官は検察官の提出する証拠を盲信する傾向にあります。法の歴史からも、裁判官の方々には、外見に惑わされず、偏見や先入観を持たず公平な判断により、今年こそは冤罪被害者の方々に一日も早く平穏な暮らしが訪れますよう、心から願い祈っております。
〈中央大学法学部3年生 中野 栄二〉

獨協大学では、昨年取り組んだ裁判傍聴や、映画観賞会の企画、ポスター作りや拘置所への面会などの活動をより充実させるとともに、学園祭への出展などの新たなイベントを企画することで、冤罪事件についてより深く学んでいきたいです。
また、SNSでの広報活動をより活発に行うことで、学部学年を問わず新規学生メンバーを獲得し、公認サークル化に向けて精力的に活動していきたいです。
今年もよろしくお願いいたします!
〈獨協大学IPJ一同〉

新年、明けましておめでとうございます。
つい最近入学した気がしているのに、もう新しい年を迎えたのかと実感のわかない新年の始まりですが、たくさんのことを教えていただいた四回生の方々と共に活動できるあと少しの時間を大切に過ごしていきたいと思っています。
立命館IPJとしては今月30日に金聖雄監督にお越しいただき、布川事件の冤罪被害者である桜井昌司さんについてのドキュメンタリー映画「俺の記念日」の上映会と金監督によるトークショーを行います。このようなイベントは私たちにとって初めての試みですが、2024年の立命館IPJがいいスタートを切れるように全力で準備していきます。現在、トークショー後の質問を作成中です。みなさんも参加フォームから監督への質問を入力していただけるため、みなさんと上映会を作っていけたらいいなと思っています。よろしくお願いします。
〈立命館大学法学部1回生 S.S.〉

新しい年を迎え、寒さが一段と厳しくなってきましたが皆様はいかがお過ごしでしょうか。
能登半島地震に被災された方々に心よりお見舞い申し上げるとともに、一日でも早く、日常を過ごせるようにとお祈り申し上げます。
さて、昨年はコロナの影響も落ち着き、多くの活動に参加できたことを大変うれしく思います。2023年は、初めて龍谷祭にブースを出すことができ私たちの活動を一般の方々に幅広く伝えることができました。龍谷祭では、人質司法に関するアンケートを作成しその作成過程で私たち自身も多くのことを学びました。
昨年、私たちはことあるごとに龍谷IPJはパワーアップしていくと宣言していましたが、人数的な問題を始め様々な問題により断念した活動がたくさんありました。しかし、この2か月ほどの間に新しい仲間が数人増え、徐々に大学内での認知度も上がってきたように思います。2024年は学内、学外問わず活動をより活発にしていきたいと思っています。まだまだ、至らない点も多々ありますがご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。
〈龍谷大学IPJ一同〉