ニュースレターvol.9を配信しました!

10月2日は「世界えん罪の日」!

 毎年10月2日は、えん罪に対する問題意識を高めることを目的とした「世界えん罪の日」です。

1)「世界えん罪の日」とは
 2014年にイノセンス・ネットワーク(Innocence Network) によって創設され、今年は記念すべき第10回目となります(Wrongful Conviction Dayについて詳しくは こちら)。
 世界各地で毎年アクションが行われているほか、たとえば カナダでは30以上の都市が10月2日をえん罪の日として宣言しました。イノセンス・ネットワークのホームページ上にはえん罪に関するResource Libraryが整備されるなど、「世界えん罪の日」を世界に広げていく活動が行われています。今年初めて、「ひとごとじゃないよ!人質司法プロジェクト」が、日本でも「世界えん罪の日」のアクションを行う予定です。
 日本からは、イノセンス・プロジェクト・ジャパン(IPJ)が加盟申請中です。2023年4月にアリゾナ州フェニックスで開催されたイノセンス・ネットワークの年次大会には、米国を中心に世界各国から1,000人以上が一同に会し、日本からもIPJメンバー6人が参加しました(参加レポートは こちらから)。

2)ひとごとじゃないよ!人質司法プロジェクト
 ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)とIPJの共同プロジェクト、「ひとごとじゃないよ!人質司法」は、「世界えん罪の日」である10月2日に、えん罪と人質司法について多くの方に知ってもらうべくアクションを起こします。 人質司法特設サイトSNS、ニュースレター特別号でお知らせします。ご期待ください!

IPJ活動報告

○ 新規支援申込……7件(8月)
○ 審査中の事件……35件
○ 支援中の事件…… 4件

1)今西事件「今西事件を語る夕べ」を開催!
 2023年9月15日に「今西事件を語る夕べ」が開催され、弁護団は今西さんの支援者の方々と一緒に今西事件について語り合いました。今回も、今西事件のイベントに初めて参加してくださった方がいらっしゃいました。今西事件のことを知り、「今西さんのような境遇はいつ自分の身に起こってもおかしくないと思った」とコメントをいただきました。
 今西さんのえん罪が晴らせるよう、次回の尋問も頑張ります!次回の公判は10月26日木曜日です。

今西事件弁護団 湯浅彩香

うどんを食べる今西さんと桜井昌司さんのパネル。桜井昌司さんは、今西さんの面会に大阪拘置所を訪問してくださいました。

学生ボランティアが今西さんに面会
 龍谷大学の学生ボランティア3名が、今西さんとの面会に大阪拘置所へ行ってきました。以下は、初めて面会した学生の 感想です。「とても穏やかで優しい方でした。緊張して上手く話せなかった私のお話を真剣に聞いて下さり、すごく楽しく短い15分でした。」
 これまでに複数の大学の学生ボランティアが今西さんの面会に訪れています。学生からみると優しいお兄さんである今西さんと楽しい時間を過ごす一方で、「4年間というと、大学に入学してから卒業するまでですね」と身柄拘束の長さに愕然とする学生もいます。今西さんの保釈が認められ、そしてえん罪が晴らされる日が1日も早く来ることを願うばかりです。

2)神戸質店事件
 前号でお伝えした神戸質店事件について、ホームページの  「支援の実績」に詳しい事件概要や、逆転有罪判決までの経緯、有罪判決の問題点をまとめました。
 ある日突然にえん罪事件に巻き込まれてしまった緒方秀彦さん。一審では、現場にあった靴跡や指紋も目撃証言も、緒方さんが犯人であるという根拠にはならないとして無罪判決が2008年に出ています。
 しかし翌年、大阪高裁は逆転有罪判決を言い渡したのです。有罪という結論ありきで、緒方さんの主張を信用できないと切り捨てた高裁判決の問題点は多岐にわたります。ぜひ、ホームページをご一読ください。


 今西事件、神戸質店事件を分かりやすく説明する三つ折りリーフレットを作成しました!


IPJサポーター募集中!
 えん罪は過去のものではありません。支援を受けることができずに苦しんでいる方が、まだまだ多くいらっしゃいます。IPJは、えん罪被害者が適切な支援につながるための窓口となることを目指して活動しています。IPJへのご支援方法には、いつでも寄付できる 一時寄付と、クレジットで継続的に寄付ができる マンスリーサポートがございます。詳しくはホームページの「 寄付をする」からご覧ください。
 皆様からのご寄付により、神戸質店事件のリーフレットを作ることができました。心よりお礼申し上げます。

今月のコラム:世界のえん罪事情

 今月のコラムは、韓国の科学捜査がすごい!、アメリカの雪冤事件、ヨーロッパ犯罪学会報告の3本で、えん罪や科学捜査をめぐる国際状況をお伝えしています。
 今後のコラムでは、メンバーがお勧めする一冊や映画など、気軽に読めるコンテンツを増やしていく予定です。「こんなコラムを読みたい!」というリクエストや感想など、ぜひ フォームからお知らせください。

1)韓国:韓国の科学捜査が凄い!-韓国調査旅行記(その3)
 平岡義博(元科学捜査研究所主席研究員)による韓国調査旅行記の第3弾で取り上げるのは、警察組織です。警察庁の新たな組織体制のもと、科学捜査はどのような方針で進められているのでしょうか。全文は こちらから!

2)アメリカ合衆国:DNA鑑定による47年後の雪冤
 IPJがモデルにしたアメリカのイノセンス・プロジェクトが関わった雪冤事件のご紹介です。検察庁とイノセンス・プロジェクトが協力して新たなDNA鑑定を行ったことで、えん罪が晴らされたとのこと、日本では考えられない状況です。笹倉香奈(IPJ事務局長)が執筆しました。
 えん罪について立場を超えて検証することが重要であり、また、それが可能であると感じさせる内容です。ぜひ 全文をお読みください。

3)ヨーロッパ:EuroCrim2023で日本のえん罪について報告!
 2023年9月6日から9日までイタリアで開催されたヨーロッパ犯罪学会で、IPJメンバーが報告をしました。日本の再審の現状や誤判の原因についての報告は、国外の研究者からも高い関心が寄せられました。コラムでは、著書『冤罪学』の発売間近の西愛礼が報告の概要を動画・写真と共に紹介しています。全文は こちらから!
*発売前から注目を集めている西著『冤罪学』(日本評論社)については、 こちらをご覧ください。

学生ボランティアの活躍

学生ボランティアの工夫を凝らした活動により、えん罪問題が多くの方々に伝わっています!

1)獨協大学
 獨協大学IPJ学生ボランティアは、“Earth Week Dokkyo”という学内イベントで、人質司法、代用監獄をテーマとしたポスター展示を行いました。人質司法とは被疑者や被告人が事件の内容について否認、黙秘している場合に、身体拘束期間が長期化することを指します。
 今回の展示では、実際に拘置所で何カ月も拘束状態に置かれている方のお話を紹介させていただき、展示を見た人にも、その辛さをより自分事として感じてもらえるように工夫しました。コロナ禍で居室から出られなかったことや、冷暖房がないことで体調を崩してしまった話を書きました。これからも様々な活動を通してIPJの活動について知ってもらえるように励みたいと思います。(全文は こちらから)

2)立命館大学
 9月6日に、立命館IPJボランティアの4回生5人及び1回生12人は、大阪府堺市の初芝立命館中学校に、えん罪に関する知識を中学生にお伝えしに、出張講義を行いました。この講義では、多くの方が持ちやすいえん罪に対する間違った印象を払拭することが目標でした。中学生の皆さんに、積極的にクイズ形式の講義に取り込んでもらいました。今回の出張講義は、大変有意義だと実感しました。(全文は こちらから)
 また、9月8日に京都地方裁判所を訪問しました。刑事裁判を傍聴した後、庁舎見学をし、法服を試着させていただくという貴重な経験までさせていただきました。執筆者の私は今回初めて裁判傍聴に行ったのですが、裁判所の厳かな雰囲気をひしひしと感じました。皆さんもぜひ、裁判所に足を運んで実際の裁判の様子を感じてみてください!(全文は こちらから)

3)甲南大学
 甲南大学のIPJ学生ボランティアのメンバーが、甲南大学フロンティアサイエンス(FIRST)学部・研究科が主宰した学内交流企画で、DNA鑑定実習に参加しました。えん罪救済活動と自然科学の諸分野とは切り離せない関係にあります。滅多にない経験で、メンバー一同いきいきと取り組むことができました。(全文は こちらから)

4)京都女子大学
 京都女子大学IPJボランティアは、8月22日に京都医療少年院を訪問しました。職員の方のお話を伺い、医療少年院は心身に著しい障害があり、主として医療措置を必要とする少年に治療を施す、健全育成を目的とした施設であることを学びました。(全文は こちらから)
 また、9月12日に奈良少年院を訪問しました。はじめに法務教官から少年院の生活やどのような支援を必要としているのかというお話を伺いました。その後、実際に少年たちが教育を受けている陶芸・木工教室や農園、広報用に作り替えられた寮で、少年達の活動記録や給食のメニューなどを見学しました。(全文は こちらから)


編集後記
・ニュースレターが10号目前となりました。さらに充実した内容を目指していきたいと思います。ぜひ フォームからご意見やご感想をお知らせください。
・IPJでは広報活動を手伝ってくださるボランティアを募集しています! 動画や音声の編集、ライティング、デザインができる方など、IPJにお力を貸していただける方は ご連絡ください。