11月28日にIPJが支援している神戸質店事件の当事者である緒方秀彦さんの面会のため、岡山刑務所を訪れました。
私は1回生の頃から神戸質店事件について勉強してきました。シンポジウムの企画開催や再審請求のために行った目撃証言実験に深く関わらせていただいたこともあり、卒業までに一度面会に伺いたいと思っていたので、今回の面会は貴重な機会となりました。
以前弁護団の先生方から、「緒方さんは本当に普通のおじさんという感じの方」だということを伺ったことがありましたが、実際にお会いしてみると、弁護団の先生方がそのようにおっしゃることに深く納得しました。お写真以上にどこにでもいそうな優しい方で、「遠いところからありがとうございます」と初対面の私たちに対して優しく接してくださいました。
刑務所ではちょっとした会話も制限されるからなのか、私たちに気をつかってなのか、緒方さんは私たちから話題を振る前に沢山お話しくださいました。刑務所では、社会の常識とは異なる刑務所内でのローカルルールのようなものがあるようで、それがとてもしんどいとおっしゃっていました。また、緒方さんは受刑者のなかでも3類という処遇で手紙の発信度数や面会回数にも制限があるようで、再審を目指していること、自白がないこと(=反省、更生の意欲がないという理由)から、緒方さんはこれ以上上のグレードに上がることも仮釈放されることもないと言われているようです。
これを聞き、再審を目指していることや自白がないことは、客観的に見てえん罪の可能性があるということであるため、そのことによって不利益な処遇がなされることはおかしいと思いました。
これまで神戸質店事件について勉強するなかでも緒方さんは無実だと思っていましたが、30分間の面会を通し、更に緒方さんは無実だという思いが強くなりました。学生や一般の社会人にできることは少ないかもしれませんが、これからも緒方さんの再審無罪を目指してお手伝いできることをしていきたいと思います。
【甲南大学4回生・西村友希】
初めて緒方さんの姿を見たとき、若い姿の写真しか見たことない私は、あぁ、こんなにも歳を取られたのだと、顔や首の皺を見て、無実の罪で自由を奪われている時間の長さを実感しました。
緒方さんに初めて会うということで少し緊張していましたが、緒方さんは私たちに対し気さくにご自身の話をたくさんしてくださいました。緒方さんの口からどんどん言葉が出てくる様子を見て、刑務所の中ではこのような世間話ができる機会がとても少ないのだろうなと思いました。
再審法改正についてお伺いすると、弁護士や司法関係者の方々が改正のために活動していることに対し、法務省や検察側が様々な理由を付けて自分たちの都合でそれを阻止しようとする行為は許されるものではない、とおっしゃっていました。
また、私たち学生ボランティアの活動についてお聞きすると、様々な形で助けていただいており、非常に感謝しているという言葉をいただきました。
緒方さんとの面会を経て、えん罪が生まれてしまう日本の司法制度と、再審法の不備が大きな問題を抱えていることを改めて感じました。
【甲南大学4回生・藤井春奈】
本日、緒方秀彦さんの面会に伺いました。神戸質店事件に関してこれまでシンポジウムの開催などを通じて支援を続けてきましたが、緒方さんにお会いするのは今回が初めてでした。実際に顔を合わせてお話しする中で、改めて自分たちがこの方を支援しているのだという実感が強まりました。
面会では、刑務所内での人間関係や厳しいルールについてお話を伺いました。価値観の違いから本当の自分を出せないと感じることがあること、またバッジの色によってカーストが変わる仕組みや、そこに長くいる人が“偉い”とされる風潮があることなど、外からは見えにくい実情を知ることができました。
初めてお会いしたにもかかわらず、明るく気さくにたくさんお話してくださりました。そして、私たち学生の活動が支えになっていると直接言葉をいただけたことが何より嬉しく、励みになりました。私たちには自分たちの信じた道をまっすぐに進んでほしいとの温かい応援の声も寄せてくださいました。
今回の面会を通して、支援活動の意義を改めて深く感じました。これからもこのつながりを大切にしながら、支援を続けていきたいと強く思いました。
【甲南大学4回生・岡本望寿】


