【学生ボランティア(甲南大学)】名古屋研修に行きました!

甲南大学のIPJメンバー30人で、9月の終わりに名古屋で研修を行いました。コロナ禍前には毎年、東京や名古屋、台湾などに行っていましたが、久しぶりの遠方での研修になりました。1泊2日の研修では、名古屋拘置所、名古屋地方検察庁、名古屋地方裁判所、愛知県警察本部、名古屋市市政資料館(旧・控訴院)を訪ねました。集中的に刑事司法の現場を訪ねることで、これまで学んできたことをより深く理解することにつながります。今後の活動にとっても、大変重要な機会になりました。

参加メンバーが、訪問先ごとにレポートを執筆しました!甲南大学の社会連携機構のウェブサイトにアップしていますので、ぜひこちらのリンクからご覧ください!

1)名古屋拘置所

2)名古屋地検

3)名古屋地裁・愛知県警

4)名古屋市市政資料館(旧控訴院)

 下記は、名古屋研修全体を通して考えたことについて、メンバーが書いたレポートです。是非お読みください!

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 名古屋では、30人ほどのメンバーと共に様々な刑事司法の現場を訪れました。普段、私たちは大学の講義室で様々な法について学んでいます。研修では、 いつも学んでいる「法」が実際に運用されている姿を見ることができたという点で、とても貴重な機会だと感じました。

 訪れた場所では、実際に働いておられる方にお話を伺い、施設等の内部を見学させていただきました。

 個人的に印象に残っていることは、検察官に対して「弁護人の立会がもし運用されるとすれば、検察官として困ることはあるか?」と質問したところ、「現在、法律がなく、運用もされていないことなので分からない」との答えだったことです。私は、この答えを聞いて、「本当に、この国の刑事司法の根底には法があるのだ」 と実感しました。日本の検察官は法律に則ってお仕事されているという事に感心すると同時に、どれだけ多くの検察官が弁護人の立会を認めてよいと思っても、法律ができなければ現実に取調べへの弁護人立会いは認められないことを、ひしひしと感じました 。

 今まで学んできたことを思い返すと「法律を守っていない(違法な取調べが行われる)から、えん罪が生まれるのだ」と考える傾向がありましたが、本当は「えん罪がなくなるための制度のある法律を作るほうが、えん罪を防止できるのではないか」と考えが進みました。

 拘置所では、実際の部屋を見ましたが、やはり私たちのように自由になんでもできるという状況ではありませんでした。狭いし、欲しい物もすぐには手に入れることはできないし、困ることだらけです。何も悪いことをしていないのに、このような状況に置かれるえん罪被害者の方のことを思うと、いち早く救済しなければならないなと強く思いました。また、このような状況に置かれている人がいるという事をもっと世間の方に知っていただきたいです。私にできることは限られていますが、すこしでも力になれるよう、頑張ります。

 最後に、このような貴重な経験をさせていただいた、名古屋拘置所の職員さんや名古屋地方検察庁の検察官、検察事務官の皆様に感謝いたします。ありがとうございました。

[甲南大学法学部3回生・清水間菜赤]

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 9月21日、22日に名古屋にて研修旅行に行ってまいりました。笹倉香奈先生の引率のもと、計29名の学生ボランティアが参加しました。名古屋拘置所、名古屋地方裁判所、名古屋地方検察庁、愛知県警察、名古屋市市政資料館(旧名古屋高裁/控訴院)を訪れました。

 私たちはえん罪ボランティアの活動で弁護士や法学者の先生方のお話を伺う機会は多いですが、検察官をはじめとする国の行政機関に属する組織の方からのお話を伺う機会はあまりありません。研修では、なかなか見学することができない刑事施設の参観を通して、えん罪について多面的に考えることができました。また、一日目の夜に開催した懇親会では学年の幅を超えてコミュニケーションをとることができ、学びの多い貴重な二日間となりました。

 私は、今回の研修旅行を通して、「知ること」がえん罪被害者を救うはじめの一歩なのではないかと感じました。例えば、名古屋拘置所で教えていただいた収容者の生活、名古屋市市政資料館で見学した旧刑事訴訟法下の裁判の様子などを知ったことで、これまで私の頭のなかのイメージでしかなかった事実がリアルに立体的になったように思いました。

 二日間で得た知識をそのまま自分のなかに留めておくだけでは、えん罪はなくなりません。今回の貴重な経験をいかして、得た知識を多くの方に知っていただくために活動することが、私たちにしかできないえん罪救済の方法なのではないかと思います。

 えん罪についてあまり知らない方々にえん罪について知っていただく、つまりえん罪被害者を救うはじめの一歩を提供することが次に私たちがするべき活動です。この二日間を私たちの学びの時間として終わらせるのではなく、えん罪被害者を救う時間でもあったといえるように改めて学生ボランティアの活動を活発に行っていきたいと思います。

                             [甲南大学法学部2回生・西村友希]