【ニュースレター】vol.26を配信しました!

今西事件シンポジウム、大成功!

「えん罪のない世界へ」の横断幕と一緒に記念撮影

 8月28日に、今西事件シンポジウムを開催しました。このシンポジウムは、IPJの支援事件である今西事件の控訴審判決を11月28日に控え、今西事件がどのような事件で、なぜえん罪が疑われているのかをより多くの人に知ってもらうために、京都女子、甲南、立命館、龍谷大学のIPJ学生ボランティアが共同で企画運営したものです。

 今西弁護団の川﨑拓也先生をはじめ5人の弁護士先生にご登壇いただき、事件についてご説明頂いた後、オンラインで参加された今西貴大さんと今西さんのお母さんからもオンラインでメッセージをいただくことができました。会場には80名以上が集まり、シンポジウム終了後に「えん罪のない世界へ」の横断幕を広げて記念撮影をしました。

 次回は、11月7日18時より大阪駅付近で判決直前シンポジウムを開催します。まもなく参加申込の受付を開始します。ぜひご参加ください!

〇「シンポジウムを終えて」学生ボランティア

京都女子大学 担当:総合司会、タイムキープ

 私はシンポジウムで司会進行を務めました。言葉遣いや進行の仕方等、より良いものになるよう試行錯誤しました。当日は、予定通り進めることができるのか、かまずに言えるのかとても緊張しました。本番では、計画通りに物事を進められているか確認する余裕があまりなく、アドリブでコメントをすることも難しかったです。コメントの質も含め台本ばかりでなく前を向くなど余裕を持つことも改善していきたい点です。

 今回、今西事件についてより深く皆さんに知ってもらう機会になっただけでなく私自身も改めて確実な証拠がないにもかかわらず有罪としてしまうこと、身体の自由を奪う人質司法が無実の人を虚偽自白に追い込んでしまったり、無実をつかむことをあきらめさせてしまう原因になってしまうことを学びこのような問題について考える良い機会になりました。(4年 森さくら)

甲南大学 担当:パネルディスカッション司会、学生スピーチ

 私はシンポジウムで、パネルディスカッションの司会を担当しました。弁護団の先生方とパネルディスカッションをするにあたり、まず学内でそれぞれ質問を考えるところから始めました。出た質問をまとめ完成した質問案を先生方と共有し会議を行い、それから何度も修正を繰り返し本番に臨みました。本番では裁判での双方の主張、今西さんが保釈に至るまでの経緯また人質司法の問題点などを先生方にお話ししていただきました。

 今西さんのように人質司法で苦しんでいる人がまだまだいることを知り、私たちもIPJの活動を通して少しでもそういった方たちの力になれるようこれからも頑張っていきたいです。(T.S.)

 今回のシンポジウムでは学生スピーチを担当させて頂きました。文章を作成するにあたっては、今西さんの印象や面会を通しての思い出を文章にしました。今西さんは初めて面会に参加した私に対しても気さくに話しかけて下さり、試験結果の出来が悪かった事を今西さんとお話したことも良い思い出です。本番ではステージ上独特の緊張や、作成した文章の言葉の重みを感じてしまい、言葉を途中詰まらせてしまいました。参加して下さった方に少しでも今西さんのお人柄や、私が感じた印象等について伝わっていると幸いです。今回の貴重な経験を11月に開催されるシンポジウムへと繋げていきたいと思います。(M.K.)

立命館大学 担当:えん罪とIPJについて

台風の影響で一時はオンライン開催も考慮されていましたが、無事対面で開催することができ、充実したシンポジウムとなりました。今西弁護団からは、控訴審での争点の他に、「人質司法」の問題、保釈制度の課題、検察側の主張の問題点など多岐に渡るお話を聴くことができました。また、法学に関する話だけでなく、無実を証明するために必要な医学的な話を聴くこともできました。初めは、普段聞くことのない専門用語に戸惑いもありましたが、丁寧に説明していただいたおかげで知見も広がりました。

 終盤には保釈された今西貴大さんからもオンラインでメッセージをいただきました。私は今西さんにお会いしたことはなく、今回が初対面でしたが、常に笑顔が絶えず、気さくな方だと感じました。今回のシンポジウムは、11/28判決前のシンポジウムに向けての気持ちが一層高まった日となりました。(H.T.)

  本シンポジウムには、幅広い年齢層の方に参加していただきました。今西事件がこれほど注目を浴びているのだと実感でき、嬉しく思いました。

 またシンポジウムの内容は、法律を学んでいる者として興味深いものでした。特に弁護士の方のお話は、ニュースを通して得た情報としての知識とは違い、生の法律の運用に触れることができた気がします。貴重な勉強の機会にもなりました。

 私は今西さんにお会いしたことがなく、今回オンライン上ですが初めての対面でした。今西さんは良い意味で「普通の人」だと感じ、そんな普通の人が冤罪事件をきっかけに人生が左右されてしまう、冤罪事件の重大さを改めて実感することができました。11月の判決に向けて、少しでも多くの人に知ってもらえるよう、今後もお手伝いしたいと感じました。(Y.T.)

龍谷大学 担当:今西事件の概要

 今回のシンポジウムで、龍谷大学は「今西事件の概要説明」をメインに運営にかかわりました。今西事件の概要説明をするにあたって、湯浅先生はじめ、弁護団の先生方もお忙しい中、たくさんのアドバイスを下さり、他大学の学生ボランティアとも協力しながら、今の私たちにできる最大限を発揮できたと思っています。今西事件の判決に向けて、今西さんは無実であるという私たちの確信を少しでも、多くの人に発信していければと思います。 (シンポジウム参加学生一同)

IPJ活動報告

支援状況

新規申込件数:11件(7月)、8件(8月)

審査中件数 :33件(7月)、29件(8月)

現在支援件数:4件

 関西の審査会議は、オンラインでの実施が多いですが、3回に1度は各地から審査担当者が集まり、対面で審査会議を行っています。オンラインでも十分に議論はできますが、やはり対面で会議をするとより一層充実した議論ができるように思います。

 また、普段は関西と関東で審査体勢が分かれていますが、必要に応じて全体会で議論をした上で、支援の可否について検討しています。

 今後も全国各地の専門家と議論しながら、審査に取り組みたいと思います。

〈城使 洸司〉

 えん罪救済のための活動は、皆様からの寄付によって支えられています。IPJへのご支援方法には、いつでも寄付できる 一時寄付と、クレジットで継続的に寄付ができる マンスリーサポートがございます。

 

社会貢献支援財団より表彰されました!

 2024年7月29日、帝国ホテル東京におきまして、公益財団法人 社会貢献支援財団様より「第61回社会貢献者表彰」を受賞しました。この賞は、広く社会の各分野において、社会と人々の安寧と幸福のために尽くし顕著な功績を上げながら報われる機会が少ない団体や個人に贈られるもので、今回は全国各地で活動する30組が受賞しました。

 私たちIPJが目指す社会正義の実現に向けた活動が一般社会の目に留まり、栄えある賞を受賞できたことは喜ばしい限りです。通常周りからの推薦によって選考されることが多いようですが、IPJの場合は、その活動が社会貢献支援財団様の目に直接留まり、目指しているテーマと活動内容が高く評価されたとのことです。えん罪支援の相談に、一つひとつ丁寧に向き合い、地道に続けてきた活動が評価されたもので、大変うれしく思います。

 表彰式では、IPJの活動や成果についても紹介され、石塚理事長が表彰状を受領しました。祝賀会場では、受賞した様々な団体の皆さんと意見交換や苦労話に花が咲きました。分野は違えど幅広い地域や立場で活躍されている方々から勇気と元気をいただき、これからのIPJの更なる活動に向けて想いを新たにした表彰式でした。

ステージに並ぶ受賞者たち

ステージでの記念撮影。左端にIPJ理事長 石塚章夫

袴田事件市民集会のお知らせ

 9月26日に予定されている袴田事件の再審判決に向けて、市民集会「今こそ変えよう!再審法 ~カウントダウン 袴田判決」が開催されます。この市民集会は、日本弁護士連合会(第1部主催、第2部共催)と再審法改正をめざす市民の会(第2部主催)のイベントです。

 日時:2024年9月19日(木)午後5時から7時

 場所:日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)

 袴田事件の無罪判決を求め、そして、えん罪救済に数十年もかかってしまう現状を変えるために再審法をどう改正したらよいのか語る集会です。当日は、各界から錚々たるゲストが登壇されますが、IPJからも、関東在住の学生ボランティア有志が、リレーメッセージに参加させていただく予定です。「冤罪の悲劇を繰り返さないために、私たちが何をすべきかを共に考える貴重な機会です。多くの皆様のご参加をお待ちしております。」(中央大学法学部 中野栄二)

  事前申込不要のどなたでもご参加いただけるイベントです。またYouTube配信も予定されているそうです。詳細につきましては、日本弁護士連合会のサイトをご参照ください。

 ※このイベントはすでに終了しております。ご参加いただき、まことにありがとうございました。

学生ボランティア活動報告

1)京都女子大学

京都女子大学IPJボランティアは、8月20日に京都刑務所を参観しました。刑務所は普段立ち入ることのない場所であるため、非常に貴重な体験となりました。

 当日は、説明を伺った後、受刑者が作業を行う工場や、作業の合間に休憩を行う運動場や体育館、居室、浴場を見学し、最後は質疑応答の時間を設けていただきました。

 今回の刑務所参観を通じて、授業だけでは学べないことを学ぶことができ、また、自分の目で見て、経験することで様々なことを考える機会になりました。                                

(京都女子大学 1回生 K.I.)

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2)ロースクール生

 8月中旬に、台湾イノセンス・プロジェクト(TIP)のオフィスを訪問しました。オフィスを案内していただいた後、お互いの活動内容などについて共有しました。3月にアメリカで開催されたイノセンスネットワーク大会で知り合ったTIPのメンバーとも再会することができ、とても有意義な時間を過ごしました。冤罪をなくすために熱心に取り組むTIPメンバーの皆さんに接し、「自分も頑張ろう!」と奮い立たされました。(神戸大学法科大学院2年次 冨田大貴)

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3)中央大学

・冤罪について学ぶ:令和6年(2024年)5月から7月にかけて成城大学で開催された「冤罪について学ぶ〜袴田事件再審公判を契機として」の講座に参加しました。講座では、冤罪の原因や救済策、防止策などについて、指宿信先生の講義と専門家の対談を通じて学びました。冤罪は社会全体が取り組むべき重大な課題であり、司法制度の改善が必要と感じました。

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(中央大学法学部4年生 中野栄二)

・令和6年(2024年)8月24日、中央大学のOBからのお誘いを受けて、國學院大学の名誉教授である横山實先生の講義に参加しました。講義のテーマは、アメリカで非行問題がどのように社会学の研究対象となり、犯罪社会学の基礎が作られていったかという内容でした。講義では、フランスの哲学者オーギュスト・コントによる社会学の誕生や、17世紀初頭から18世紀にかけてのアメリカにおける移民問題が、青少年非行の増加につながった経緯が説明されました。また、保護観察制度やシカゴ学派の研究が非行少年の更生システムに与えた影響も学びました。この講義を通じて、犯罪や非行の背景にある社会的要因を再認識し、今後も社会学的視点を深めることの重要性を感じました。

(中央大学法学部4年生 中野栄二)

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